トールキン 旅のはじまりのレビュー・感想・評価
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人間は同じ過ちを繰り返す
実話ということ、トールキンが何者か知らず見た。孤児でありながらも、上流階級の学校で人生の親友たちに出会う。彼らを引きつけたのは、言葉、誌、文学。また、孤児として引き取られた家で生涯の伴侶とも出会う。互いを引きつけたのは言葉や音楽。言葉は単体では意味をなさないかもしれないが、詩となり、物語となり、音楽となり、人々の生活を実りあるものとする。しかし、戦争によって、その親友とも一生会えなくなってしまう。人は悲しい時に、文学や芸術に触れると、より一層心を癒やしてくれる。戦争と言う過ちを幾度も繰りす人類への警鐘、人々を豊かにするのは戦争ではなく、文学や芸術であること、そこから得られる友や家族との時間、ということが言いたかったのかな。もう一人の親友がどうしてしまったのか、気になった。
2019-78
フロドには、サムがいて、ピピンがいて、メリーがいることが、そうだったんだ、と、、、。
こないだサリンジャーを演じたばかりのニコラス・ホルト君が、今度はトールキン。
すみません、そこまで期待せず、『ライ麦畑の反逆児』も良かったからいくかーくらいのテンションだったんですが、素敵でした。
気付いたらエンドロールだったし、
気付いたら目から水が、、、。
孤児のトールキンと3人の裕福な家庭の青年が出会う。
彼らの友情が素敵。
トールキンが3人を妬むこともなく、
3人がトールキンをいじることもない。
互いが互いの才能を認め合って、ちょっと羨ましながらも、楽しい時間を過ごして、、、
特に素晴らしいなと思ったのが、トールキンが奨学金をもらえなくなり、退学になりそうなとき、この3人は親に頼んでお金出してもらうという考えがハナから頭にないこと。
トールキンの立場に立って、トールキンが出来る最良の手を考えてる。
もちろんトールキンもねだるなんてことはない。
これが本当の友情だし、本当の友達の手助けだと思った。
戦争のシーンも、お涙頂戴的な描かれ方ではなかった(それを否定しているわけではありません)。
友人のお母さんと、若い頃よく通った紅茶店で、その頃の思い出にふけるというシーン。ここ、、、目から水が止まらなかった。
助かっても精神的な病を負ってしまった友人の名前を子供に名付けたというトールキン。
一生の友情でしたね。
敷居が高そうに見えて、とても観やすい映画でした。
指輪物語で描かれていた仲間との友情や愛が、トールキンの中で自然に生まれたものだったというのがよくわかりました。
重厚で奥が深い映画です!
久しぶりに重厚で濃密な作品に出会えて良かった!
彼の作品のジャンルはファンタジーですが、純粋で人生の苦悩を見事に昇華させているという意味では、大河小説のような深い味わいがあります。
その源は、芸術で世界を変えようという4人の友情にあったということが、この映画で良く判りました。
この4人の友情はエベレストよりも高く、神聖で美しい。彼らのうち2人は第1次世界大戦で戦死し、1人は戦争から帰還したが精神的な病に侵される。
トールキンは戦死した詩人の作品を刊行する。生き残ったものとして、せめてもの彼の才能の足跡を残してあげたかったのである。
トールキンは孤児であるが、沢山の人々の尽力と、惨たらしい戦争体験、そしてやはり孤児であったヒロインの海のような深い愛によってファンタジー作家として大成して行く。
戦争のシーンは不快で忌避感しかないが、最後にトールキンは勝利者になるのである。その余韻がいつまでも冷めない感動の作品でした。
特に友情を語るシーンは泣けます。ヒロインとの再会も。
この彼がロードオブザリングの作者とは、凄すぎて動けません。
是非、観て欲しい映画です。自分の価値観ですが、傑作10選には入ると思います。
ヘルヘイム! T.C.B.S の固い絆は、トールキンのファンタジー物語の礎となった
「フェローシッブ」 トールキンの物語の基盤にある大切な言葉。
孤児になり孤独な彼を、作曲家の卵クリストファー、画家志望のロバート、詩を愛するジェフリー達との些細なケンカをきっかけに「僕らの芸術の力で世界を変える」秘密結社〈ティー・クラブ・バロヴィアン・ソサイエティ〉を結成する辺りから、青春物語は徐々に熱を帯びて行く。
リリー・コリンズ演じるエディ・ブラットとのハラハラする恋も美しく描かれる。劇場裏でのシーンは忘れられない。
又、トールキンが一度は訳あって別れたエディを忘れられず、ずっと出せずにいた手紙を震える手でポストに投函するシーンとその後の劇的な再会と抱擁のシーンは感動的である。
第一次世界大戦の悲惨な戦場の姿とトールキンの友人達との青春時代が交互に描かれるが、この場面対比の見せ方が素晴らしい。
厳格な父親にヘルヘイムの気概で、友人との約束を守らせて欲しいと毅然とした眼差しで訴えるロバートの姿や、戦死した友ジェフリーの想いを遺すためにトールキンが母親にある説得をするシーンには涙する。
トールキンが紡ぎ出した、ファンタジー物語が産まれ出た背景を丁寧に描き出した秀作。彼は独りぼっちで数々の壮大なファンタジーを創作したのではなかった。彼の周囲には、3人のかけがえのない友人(学生時代の友は一生の友になると思う)、愛しいエディ、そしてラスト近くになると彼とエディとの子供たちが元気そうに飛び回っており、彼の創作の源が何であったのかが良く分かる。
デレク・ジャコビ〈言語学者ライト教授を厳格に且つ言語愛に満ち溢れた人物として好演〉は別格として、若き英国男優達が生き生きと躍動し、リリー・コリンズの美しさ、当時の英国意匠の素晴らしさも堪能できる英国映画好きには堪らない作品でもある。
It's a fellowship. 「指輪物語」へ至る道
今では映画や小説、ゲームやアニメ等の1つのジャンルとして確立されている「ファンタジー」。その元祖と言われる「ホビット」、そして「指輪物語」の作者J・R・R・トールキンの物語です。
ファンタジーは自分が子供の頃からもう既にジャンルとしてあったので、ずっと慣れ親しんできていますし、「ロード・オブ・ザ・リングス」も大好きな映画の1つです。原作「指輪物語」も日本語版は(訳の文章のお陰でかなり読むのがしんどかったですが)最後まで読破しております。
ああいうファンタジー物って白人が作り出した世界観なのに今では不思議と日本が一番量産しているような。ゲーム、アニメ、小説とちょっと増えすぎてるので、きっと全ての作品を把握できてる人はいないでしょう。でも、その数え切れない全てはトールキンから始まったんですよね。と言っても元祖は言語を作ってしまう程なので作品に対するディテールが桁違いですけどね!
映画はトールキンの幼少時代から「ホビット」の執筆直前までを描いていきます。イギリスの田舎を駆け回っていた幼少時代、都会の一流の学校へ進学して仲間を見付けた学生時代、幼馴染みのエディスとの恋、オックスフォード大学での恩師との出合い、そして戦争。その経験一つ一つが物語を創る糧になったんだなぁっと感じました。エディスとオペラの楽屋裏に忍び込んでのキスシーンは素晴らしかった!そして、友人の母親に遺された詞を出版する事を勧めるシーンはジンっときました。
トールキンの人生に陰を落とす第一次世界大戦。何だかんだでホントは戦争なんて行きたくなかったと思うんですが、世の中の空気的に行かざるを得ない。戦争って政治の1つの手段ですけど、参加した人間の人生を間違いなく狂わせてしまいます。やっぱり一般人にとっちゃ良くないですよね(ちなみに「戦争」は手段なので反対は「対話」、「平和」は状態なので反対は「混沌」です)。そんな戦争の経験は「指輪物語」の最後の重いシーンを書く事に繋がってたのかなぁっと想像したり。
尚、一番最初の「ホビット」が刊行されたのが1937年。「指輪物語」の第一作「旅の仲間」の刊行が1954年。1954年って日本でいうと「七人の侍」と同じ年です。何となく物凄く古い文学かと思いきや意外と新しいんですね。そこからこれだけ世界に広がったって改めて考えてもスゴい!ちなみにトールキンの後の友人に「ナルニア国物語」で有名なC.S.ルイスがいたりします。
個人的に好きな作品の原作者の人生の片鱗を観る事ができて、やはり後世まで残る作品を作った人の人生はハードでそれ1つ取っても物語になりますね。また「ロード・オブ・ザ・リングス」を観ようかな?
ハリー・ギルビーが可愛い
突然、トールキンの俳優が変わり馴染めなかった。
主役がおっさんのトールキン変わり最悪なものとなった。
折角の精神的な映画が我欲の強い嫌味な物語に変質した。キャスティングの難しさを感じる。
彼が話を始めるまでの、絆と愛の物語。
あ。っと思った時には泣き始めてた。イヤ、これ、中洲中洲中洲、じゃないでしょ、アホか俺のiPhone!泣かす映画だった。
Tell your story.
夢を見た。仲間が出来た。ただ一人の女性を愛し愛を失い愛を復活させて。自分が欲するモノを悟り没頭し。志願して戦地に赴き死で友を失い。教職に就き家族を得、友の夢を代行して。
話を始めるまでに、トールキンが経験した事。
絆は、美しくない。むしろ不恰好だ。
愛は、不確実な外乱に左右される。永遠には程遠い様に見えてしまう。
In a hole in a ground.
何処かの穴の中で。
それは、誰かの人生の一日の事かも知れない。一生の事かも知れない。長い歴史の物語かも知れない。刹那であれ、永遠であれ。人は愛と絆があるから生きている。生きようと思う。
そんな話。
イングランドの風景が美しい。林を家族と散歩するトールキン。何でなのか分からないけど、ここで泣けしまって。予想よりかなり良かった!
ちなみにリリー・コリンズが最高に魅力的でした。劇場通路の接吻シーンが素敵だった!
映画の前知識無しインクリングスの映画かと。
情報サイトでも簡単に省略されている若き日の
友情と戦場が後にあの素晴らしい物語を書かせたのか。。。
また一番よく耳にする息子の名前が親友の名からとは知りませんでした。
最初は素っ気なかった教授が彼の物語のファンになっていてニヤリ。
戦場で横になるトールキンの姿が別の映画のシーンとダブってまたニヤリ。従者はサムだし。
詩や絵や物語は、例えその人がいなくなったとしても、文化を継承してく...
詩や絵や物語は、例えその人がいなくなったとしても、文化を継承してくれる人がいれば、永遠に残る。
私たちも、文化の担い手として、その想いを未来に繋けていくことができるんだ、と気づいた。
この先何年も、何十年も、何百年も、続いていくと考えると、なんだか凄い!泣けた!
個人的に指輪物語やLOTRが大好きなので、トールキンのことが知れて良かったし、トールキンが戦争で死なないで本当に良かった。
みんなでわちゃわちゃしてる所がメリー、ピピン、サムといるフロドみたいで涙が出た。仲間との絆、感じました。
大戦勃発の報に学生達が喜んでいた時代…。
とても良い作品でした。
イギリスの田園地帯で、伸び伸びと幸せに暮らしていた少年が、父の死と、続く母の死によって辛い人生を歩むことを余儀なくされます。
過酷な彼の人生を支えたのは、母が語る物語が掻き立てて呉れた豊かな想像力と、紡がれていく数々の言葉の持つ魅力とその奥深さです。
やがて彼は生涯の恋をして、そうして生涯の友人達とも出会います。
厳しい階級社会の中で、彼の頭抜けた才能とその努力とによって、人に出会い、人に認められながら、彼の人生は少しづつ豊かになっていきます。
そうして訪れるグレート・ウォー。全てを飲み込み破壊し、虚無と死と悲惨を持たらすグレート・ウォー。
辛い経験と辛い悲しみを抱えながら、彼は又一歩を歩み始めます。
そうして愛する人と愛する家族を抱き締めながら、彼は過ぎ去った日々と空想とに思いを馳せて、ノートに万年筆を走らせます…名作「ホビット」誕生の瞬間。
主演のニコラス・ホルトは、それ程好きな俳優でもなかったのですが、彼の癖の無い素直な演技に好感が持てました。D.J.サリンジャーの伝記映画の主演も演じている様なので、其方も観てみたくなりました。
他の方のレビューにも有りますが、当時のイギリスの情景描写がとても素晴らしい!
戦場の過酷な描写も物凄かったです。フォックスの手堅い丁寧な作品作りに敬意を表します。
公開初日にも拘わらず、客席はまばら。こういう人が見落としている隠れた佳作を見つけた時に、映画好きの喜びと醍醐味をとても感じますよネ。
著名作者の若き日の、表面を撫でた感じの出来
第一次世界大戦下のフランスのソンムの戦い。
少尉として塹壕で戦っているロナルド・トールキン(ニコラス・ホルト)は、親友ジェフリーの安否を気にしている。
ロナルドには、他にロバート・ギルソン、クリストファー・ワイズマンというかけがえのない友人がいた。
そして、もうひとり、ロナルドが引き取られた先で、一家の女夫人のコンパニオンを務めるエディス・ブラット(リリー・コリンズ)という女性もいた・・・
というところから始まる映画で、『ホビット』『指輪物語』の作者のハイドストーリーもの。
製作はFOXサーチライトで、『くまのプーさん』の作者であるA・A・ミルンとその息子クリストファーのハイドストーリーを描いた『グッバイ・クリストファー・ロビン』と同じ系列。
真摯な製作で知られるFOXサーチライトなので、映画の作りは手堅く、押しつけ感もなく、まずまずの仕上がり。
特に、時代背景を丹念に描いた美術と撮影は見事。
だが、個人的には作家トールキンに興味も薄く、ニコラス・ホルトにも関心が薄いので、映画的な面白さはよくわからない。
20世紀前半のイギリス社会とだと、もっと階層意識は強かったと思われるが、上流階級の3人がすぐにロナルドを仲間に受け容れるあたり、彼の才能が凄かったのかもしれないが、意外と葛藤がないような感じもする。
『指輪物語』の原点がワーグナーの『ニーベルンゲンの指輪』にあったり、「旅の仲間」の原点が親友たちとの関係にあったりというあたりはそこそこ面白いが、個人的には、なんとなく表面を撫でただけの、作家トールキンの若き日の物語、という感じでした。
Helheimr! の意味なすところ?
この作品は、トールキンの子供時代からオックスフォード大学を経て、将校として第1次大戦の激戦地、通称:"ソンムの戦"に臨むまでの時間軸と、今まさにドイツ同盟軍と戦っている連合軍の将校トールキンが、ざん壕にいる時間軸が交差をする、いわゆる"Nonlinear narrative"と呼ばれる形式でシナリオが進んでいく。そのわかりずらいとされる形式においても、映画に入りやすく、またシナリオを飲み込みやすい作り方がされている。
冒頭、トールキン兄弟の母親が椅子に座ったまま亡くなっているのをトールキン自身が見つける。悲しみも冷めやらぬまま、その後、後継人の神父が裕福な婦人の家を紹介し、そこからキングエドワード校に通うこととなる。ある日、お屋敷のある部屋からピアノの音が聞こえる。誘われるようにいくとそこでは、エディスがいた。初めての出会い。ただし、演奏の邪魔をしたくないのか、彼女に気づかれないように部屋を後にするトールキン。でも2人が親しくなるのは時間の問題となる。
転校してきたばかりのトールキンは、クラスメートとの折り合いが合わないでいたところを1人の学生が近づいてきて、お茶に誘われる。その彼が、後の親友となり、グループ"The Tea Club and Barrovian Society(Aka:The T.C.B.S.)"を彼を含め4人で作ることとなる。
トールキンはオックスフォードの試験に失敗してから、神父からエディスとはもう付き合うことを禁じられたり、スカラーシップが取れないおかげで大学を退校しようとしたりもする。そしてエディスとの関係はどうなってしまうのか? 昔から何故、自分の母親は、あのような亡くなり方をしたのか? そのことを指摘されると怒りを爆発させてしまう。でも殴られた友人は、そのことについて
What you need to understand, Tolkien, you.........
poor lawless orphan, is that we are your brothers.
Through everything.
Yes, absolutely. Exactly.
This is more than just a friendship.
It's an alliance.
An invincible alliance.......... Helheimr!
そのことを戦場で考えているトールキンだったが、戦場の場は過酷で、彼自身も生死の境をさまよっていて、彼の面倒を見て、いつでもそばにいた1等兵のホッジスを他の部隊との連絡を取るために行かせた後は、死を待つだけのものとなっていく。
Stay alive
and come back to me.
その戦場の地こそが、彼の小説の土台になったかのようにホッジスを待つ彼は、兵士の死体が折り重なるようにおびただしく、また血の池地獄を思わせる真っ赤に染まった大きな水たまりに彼は、横たわっていた。そして彼の親友のジェフリーを捜すために今まさに迫撃戦が始まろうとしている戦場に夢遊病者のようにさまようところは,その幻想とも幻影とも呼べる光景を作り出していて、その芸術的な映像は、素晴らしいの一言でしかも誰もいなくなった後の様子は言葉では表現ができないものと言ってよいほどの出来栄えとなっている。
彼、トールキンが描きたい本質は? 冒険活劇、旅、心の勇気、怪物?
Fellowship,
It's about fellowship. "Friendship".
忘れていけないのが、エディスとの関係、愛をとらずに勉学を選んだトールキン。彼が自ら放校をとる道を選び、その時にはエディスがすでに婚約者がいるという現実に自己矛盾のはけ口を見いだせないでいる彼が、フランスに出兵する船に乗ろうとしたとき...........! 冒険活劇において必ず必要なラブロマンスも描かれている。個人的にはお気に入りの場面。
この映画に対する一般の視聴者の支持は高いにもかかわらず、相反するように批評家からは高い支持されていない。そのことは、南半球で最も古いとされる新聞紙、Sydney Morning Heraldの記事から「洗練された時代の一品のように見かけは良く見えるが、小説家についての多くの映画に見られるように結果として、社交辞令的でだらけた説得力のかけらもないものとなっている。」スタンドなどで一般に売られている、例えが悪いかもしれないが日本で言う東スポのような存在か? シカゴの大衆新聞紙、Chicago Sun-Timesによると「フォックス社の映画の中でも最も想像力豊かな文章の感じ方を教えようとするなら、何故もっと“想像力”を映画に注ぎ込まなかったのか?そうするべきだ。」
DocがMartyに言ったラストのシーンで見られる言葉、 "What the hell!?" と同じ様にそのもっともな意見に返答することが出きる。
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