もみの家のレビュー・感想・評価
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この優しさが広がりますように
押しつけがましくないのがいい。不登校児など、心に問題を抱える子供たち。そうした子らを預かり、共同生活の中で自立を支援する施設を題材にした本作は、実際の施設がおそらくそうであるように、おおらかで深い優しさにあふれている。心の動き方、他者との関わり方は人それぞれ。画一的な学校教育からこぼれ落ちてしまう個性を尊重し、一つ屋根の下で共にする寝食や、四季と自然の恵みに触れる農作業を通じて、子供たちに生きる実感を覚えてもらう。頑張れ、と闇雲に応援するのではなく、そっと寄り添う感じが好ましい。
彩花役の南沙良は「幼な子われらに生まれ」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」と、何らかの問題を抱えて周囲に馴染めない役のオファーが続く。現在17歳で、この世代では抜群の自然な感情表現が起用の要因ではないか。彩花がもみの家で成長する一年を見守ることで、子供たちの多感な心と大人たちの願いに観客も触れられる気がする。
【不登校になってしまった女子高生が、自立支援施設”もみの家”に居を移すことで、共同生活の中”自らの殻を破って”成長する姿を描き出した作品。】
ー 今作は、農業を福祉に役立てる実在の組織”はぐれ雲”がモデルだそうである。
そして、今作では”もみの家”を主宰するご夫婦を、緒方直人さんと田中美里さんが笑顔溢れる姿で演じられている。
今作に悪意ある人物は登場しない。
◆感想
・都会で不登校になってしまった彩花(南沙良)が、嫌々ながら”もみの家”の一員になり、精気溢れる表情になって行く姿が、印象的である。
ー 早寝早起きの規則正しい生活。
皆と囲む食卓
春には田圃で田植えをし、秋には収獲するという自然のサイクルに合った生活。
彩花が両親に贈った新米、美味しそうに食べる両親の姿。ー
・彼女は、地元の獅子舞にも参画し、仲良くなったおばあさんから振舞われた大福餅。
ー だが、そのお婆さんは人知れず亡くなっていて・・。ー
・施設の仲間も、負の過去を克服し、徐々に独立して行って・・。
<ストーリー展開は先が読めるし、大きな驚きはないが、富山県の四季の美しさをきちんと映し出した映像の中で、現況下”自立支援施設”を、善性溢れる中、運営している方々に感銘を受けた作品である。>
タイトルなし
静かに心を揺さぶられる映画でしたね。不登校については読んだり聞いたりした情報はたくさんあって、多少理解してるつもりになっていました。改めて映画でみると、いろんな人がいて、人と人とのつながりによって生活できる。他人を認めあうことが必要なんですね。心に残りました。もう一度みたい。
邦画の良さが生きる作品、北川亜矢子の脚本力も光る
のんびりゆったりと進む映画は嫌いじゃないけど、睡魔がお邪魔しがち。映画館で観たらもっと集中できたんだろうけど、寝てたかも。優しくて好きな作品だけどね。
脚本に好きな北川亜矢子の名があったこともあって観た。特別何か起きるわけではないのだけど、輪廻が回るように、命が巡る過程を丁寧に描く様はやっぱり心地がいい。意外と書かれがちなテーマっぽく見えるが、淡々と紡ぐ北川亜矢子の脚本が光っており、飽きが来ない。むしろ、出来事ひとつひとつが愛おしくて優しくて抱きしめたくなる。そこにヒールも存在しないので、めくるめく日々を刻むだけというのも好き。ただ、どうしても本能的な部分で言うと、ドラマの起伏があったとしても、どうも眠くなるのが自分の悪いクセ。絶対もっと引き込まれていたら、高かったはず。序盤から空気を掴めなかったのが悔やまれる。あと、富山が舞台だけに、宝物が『おもいで写眞』と被ったのが気になった。笑
個人的には、キャストが割とストライク。主演の南沙良の透明感と雰囲気が次第に変わる感じとか上手い。ただ、ちょっと録音さんが下手なのか、音が籠もって聞きにくい節はあった。陰キャで傷つかないようにしていた女の子が、自身でパドルを漕ぐように進む姿に心を掴まれる。また、中田青渚も中村蒼もドストライク。良いところにいい塩梅のかかったキャラでいるのが堪らない。特に中田青渚なんか、『君が世界のはじまり』や『街の上で』とも被らない変わり様で、もっと知ってもらいたいと思うばかり。アミューズよ、もっと推してくれ…。笑
テーマにある、めくるめくる日々の生き方の肯定が堪らなく優しい。風景と共に過ごすような映画は、邦画のいいところだと思う。南沙良のポテンシャルを堪能できるだけに、多くの人に観てもらいたい作品。
ナチュラルな視線に癒される
不登校になってしまい、 田舎にある「もみの家」という場所に行くあやかの物語。もみの家では毎日早起きして農業をする女の子は友達や大切な人々と出会い、心の傷が徐々に塞がっていく。
自然的なシネマトグラフィ、そして静香な音声に癒された。 ストーリー自体は見抜きやすい部分もあったが、 暖かいぬくもりは変わらない。
この世界は優しくてステキだ。
世の中には、
弱い者に寄り添ってくれる心が温かい人もいて、
優しいステキな世界もあるんだよ!
そう優しく問いかけてくれる、作品でした。
自分の背中をそっと押してくれるような、
勇気がもらえる作品に感じました。
遺作
志乃ちゃん以来だが、南沙良がやはり良い。彼女の表情の変化がこの物語の全てである。田んぼの真ん中で意外な人に出会したものだが、後で佐々木すみ江の遺作だと知って、この映画の味わいも少し変わる。緒方直人のにこやかな顔も印象に残る。
引き剥がしのような問題もあり、両親の強制的な対応は支持できない。施設内の衝突や問題の視点が少ない。田舎で暮らせば人間性を取り戻せるという訳でもないだろう。
今、生活に悩みを抱える中高生や親たちへこの映画が届けばいいな。
学校生活で悩みを抱え引きこもり、東京育ち16歳女子高生が親のススメで離れた田舎町の「もみの家」にて人生を変えていく話。
与えられるのは当たり前。
そばに有るのも当たり前。
嫌なら避ければいい。そんな事思ってしまう社会環境。
親理想のレールになんか乗りたくない。
しかし、自分のレールが見出せない。
そんな少女が主人公・彩花だ。
この映画のテーマは「自立」。
簡単に文字には出来るけど、行動とすれば簡単では無い。
それをこの映画では、もみの家の住人や町の住民の四季を通して描いてくれた。
「私は変われるかな?」
「成りたい自分って何?」
何がキッカケになるかなんて分からない。
生活や環境を変える事さえ大事。思春期の時期だからこそ。
出会いと別れ、生と死。
人間として避ける事は出来ない。
しかし、それは人にとって人生経験の糧になる。
次への「もみ」となる。
ラストは少女にとっては大事な一歩。
色々詰まった再スタート。
応援したくなる映画です。
(あっそうそう。BGMも少なく、日常生活の音が観る側を楽しませてくれる。耳を澄まして鑑賞あれ✨)
不登校からの成長
主人公の女子高生が不登校になって、このもみの家で農業したり家事手伝ったりしながら成長する話。不登校の子達がみんなここに来たらいいかも、って思わせるような作品。
富山の美しい自然も良かった。
佐々木すみ江さんを偲んで
2020年映画館鑑賞40作品目
わりと映画comの住民の評価は高い
このサイトに限らず他人とは好みが合わないのであまり参考にはしていないが
なるほどこういう映画が好きなのか
僕はニートや引きこもりになったことはないし身近にも誰一人としていない
だから引きこもりになるような人の気持ちはわからないし共感はできない
だから評価が今ひとつなのかもしれない
もちろんこの作品を高く評価したからといって引きこもりを経験しているということにはならない
優しい映画である
美しい映画である
戸塚ヨットスクールのようなスパルタの世界でもない
マリンスポーツではなく百姓やらせたら良かったのに
登校拒否を続けている主人公が東京から富山の自立支援施設に移り住み出会いや別れや近所の婆さんの死や出産立ち合いなどを経験し再生する映画である
主演女優は中村ゆりや徳永えりと同様に地味な美人さんだが演技はなかなかうまい方
コメディーに走りがちだがコメディー要素は低い
緒形直人の芝居が観れるのはわりとレアである
最近では『64』で殺人犯役をやっている
『予備校ブギ』の頃は売れていたのに
どうしちゃったんだろう
舞台を中心に活躍しているんだろうか
中村蒼演じる憧れの男性が埼玉に戻って学校の先生になると発表したときのヒロインと隣の元ヤンの温度差が大好き
獅子舞で婆さんと戯れるシーン大好き
もうすぐで亡くなるんだろうなと虫の知らせを感じたら本当に亡くなった
高齢者の一人暮らしは亡くなってから数日経って発見されるから悲惨である
出産シーンはもう少しリアルにした方が良かった
産んだ直後の母ちゃんはあんなに美しいわけでない
そういえばもみの家に来た子たちの経緯は元ヤンが紹介してくれているがその模様の映像はなく具体的な詳細は一切ない
ヒロインも虐められていたわけではない
パヨクなら日本人の醜い姿をありのままに誇張して描ききりドヤ顔するだろうに
それをしなかった
だからこそ美しい映画なのだ
あと『もみの家』の「もみ」は「樅」ではなく「籾」だった
棚田でもないんだから手作業でやることもないだろうと農村地区に住んでいる僕は痛感するのだが教育の一環なのだからそういうことではないんだろう
自分のやりたいことを見つけることの難しさ。
「早くやりたいことを見つけなさい。」なんて親から言われたことを思い出すと、いつからか自分にはやりたいことがあって、少しはやりたいことをやれて成長してきたのかもしれないと、嬉しくなる時間があったりする。
この映画は、そんな自分のやりたいことを見つけられずに塞ぎ込んでしまった女の子が農業を通して、人と触れ合い、街とふれあい、自然と触れ合い成長していく物語。ほのぼのとして心温まる、非常にいい映画でした。
学校に長い時間行っていないと、久々に行く時になんとなく恥ずかしい思いをしたりするが、そういった何気ない時間が積み重なって不登校は生まれるんだろうな。
いつのまにか集団で行動することを忘れ、社会から引き離されていく。
もみの家を通して、内なる自分をゆっくり、時間をかけて一つ一つ感じ取り、成長していくので、非常にゆったりとした映画だけれど、南沙良さんの成長していく様の表情が素晴らしい、、後半は急に明るい子になっちゃったので、少し経過が見たかったけど、悲しみの表情なんて最高でした。
塞ぎ込んだ役ばかりなので、こういった明るい役は珍しいけど、そのコントラストがまた良かった。
気を衒った演出はないが、カメラワークはFixの画よりもジンバルで撮影しているような画が多いのも、娘を見守る親の目線だったり、周りの環境に馴染めない主人公の目線だったりが現れているようで良かった。雄大な砺波平野の大自然がスクリーンに広がる光景は美しかった。
一つ欲を言えば、もう一山欲しかったところ。成長物語なので、課題を一つ一つ超えていくのは良いのだが、何くそ!と自分を奮い立たせるようなシーンがもう少し有れば、尚よかったなと思う。
地元のお祭りのシーン、非常に印象的でした。特に佐々木すみ江さん。遺作だったなんて知りませんでした。theおばあちゃん。なんとも愛おしい表情をもう見れないなんて残念です。
自然のなかで
自然のなかで主人公の彩花が人との繋がりから成長し自ら一歩を踏み出す姿が良かったですね。
佐々木すみ江さんとの会話が印象に残りました。
コロナ自粛後初の映画館は二ヶ月ぶりでしたがやはり良かったですね。
不登校児たち、みんな来ら~れ♪
なぜだか田中美里を見たときに涙が出てきた。そうです、かつては石川県のアイドルといえば田中美里さんだったのです。富山弁もいくつか聞かれるのですが、美里さんにはもっと金沢弁で喋ってもらいたかったところ。渡辺真起子も菅原大吉も安定の演技で支えてくれました。
自立支援施設の「もみの家」が舞台。多分、場所は砺波市の散居村という独特の町並みの風景があるところです。一軒一軒とても大きな家で周りには防風林が植えられている。前田家による農業政策の一環でもあったのです。そんな中の一軒家を10人近くの、学校生活が息苦しい、いじめに遭ったなど不登校生徒が共同生活をする物語です。
とにかく優しさ満載の作品で、自立できた=卒業することなので何人かは途中で家を出ていくのですが、個人差もあり、年齢もさまざま。農業を通じて米や野菜を作ることの楽しさ、達成感を生み出す工夫があり、何も勉強だけを支える場所ではありませんでした。
南沙良の演技も静かながら抜群でした。序盤には顔もろくに上げられなかった根暗少女が最後には満面の笑み。『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』でも好演してましたが、こちらはどこにでもいそうな女子高生。揺れ動き明るくなっていく表情の変化が絶妙でした。また、近所のお婆さん佐々木すみ江の遺作ともなりましたが、エンドロールを見たら涙が止まらなくなってしまいました。
たいしたことないと思ってたけど、この映画の春夏秋冬。1年かけて撮影したこともあって、四季それぞれの情景も見事でした。金沢・高岡から五箇山・白川郷へのドライブの際には途中に田園地帯と散居村が見られますので、ぜひご確認ください・・・
新しい生命が芽吹くということ。
田舎に建つ一軒家に心に問題を抱えた若者が集まり農業をしながら共同生活を送る自立支援施設「もみの家」。
まるでドキュメンタリーを見ているようでした。
早寝早起きすること。
汗を流して働くこと。
3食食べること。
笑うこと。怒ること。
嫌いだったトマトを美味しく感じること。
誰かにふと悩みを打ち明けること。
そして死ぬということ。
生きるということ。
なりたい自分になるために少しづつ成長していく彩花の姿に後半はもう涙、涙でした。
主演の南沙良ちゃんがすごくナチュラルで良かったです!
そしていい距離感と優しさで子供達を見守るもみの家の主、緒形直人さんがさすがです!
美しい四季を感じる心があったかくなる良作。
約3ヶ月振りに映画館で映画を観ました。
評判が良かったのですごく観たくて地元での公開がどうなるか不安でしたが無事に鑑賞できました。
映画に関わる全ての方に感謝です。
そうか、佐々木すみ江さんお亡くなりになったんですよね。今作でもとて...
そうか、佐々木すみ江さんお亡くなりになったんですよね。今作でもとてもやさしくて素晴らしい演技です。たくさんの映画をありがとうございます。今までお疲れさまでした。またスクリーンの佐々木すみ江さんに会いにゆきます。
主演の子、最近よく見ます。毎回自転車に乗ってる役のような気がします(笑)それはともかく無理して演じてないというか感情に上乗せしないでせりふが言える?と言えばいいのかなあ?この子好きです。
この物語自体、わざとらしさがなくて「そうだよな、そんなこと言われたらだまっちゃうよな」のような説得力があり素直に観られました。
佐々木すみ江さんの遺作とは知らずに。90歳にはみえない!
ドラマチックなことはなにもおこらないけれど引きこもりの16歳少女が富山の自立支援施設で過ごす1年を丁寧に描く。
もの凄く酷いいじめにあわなくても、ちょっとしたことがきっかけで学校に行けなくなる子供がいるということ、「人が人を作る」という事を実感するために学校ではなくても環境の違うところで生活してみるのも一つの手だよ、という気づき。
都会が悪、田舎が善とは思わないが(そういうつくりではない)。
頭の中でぐるぐる考えがちな十代は、体を目いっぱい動かすことで余計な事を考える時間がなくなって心身の健康には効果があるかもしれない。
公式サイトによると
監督は富山出身
乃南アサのノンフィクションノベル「ドラマチックチルドレン」が着想
はぐれ雲という自立支援施設が市内にある
ロケは
砺波市
南砺市
富山市
立山町
宮路獅子舞(立山町宮路)
散居村展望台の夕日
神通川さくら堤
主役も良かったが萌絵役の中田青渚が出番も多めで可愛らしかった
緒形直人の声も可愛らしかったが
ひさびさ心がなごみました。
人と人との、繋がりふれあいが心をかえて行くんだと感じました。何気に入って見た映画でしたが、コロナで精神的に弱ってたので、気持ちがすごくなごんでよかったです。主役の女優さんも、難しい役どころだと思いましたが、自然で演技上手でしたね。
「大丈夫。ゆっくりと進もう。」
ほとんど何の予習もなく,ふらりと再開されたばかりのテアトル梅田に足を運んで鑑賞しました。
ゆっくりといっしょに進んであげられる大人の存在が、一定数の子ども・青年たちには必要なんだろうなあ,と本作を見て改めて感じました。
その一定数の子ども・青年たちは,「不登校」や「引きこもり」という言葉で一括りされてしまうことが多いのでしょうが,それぞれ個別の事情があって,支えかたもいろいろなのでしょう。
そんな子ども・青年たちを支える<「もみの家」の大人たちを支える地域>もステキに描かれています,富山の自然とともに。
そんなところが見どころの本作ですが,
「早くしなさい」が口癖になってしまう大人にも観てほしいな。自戒も込めて。
米作りは人づくり
コロナ自粛解除後の最初の土曜日。朝から券売機前に軽く行列が出来てて。え?意外...と思ったら。幸福の科学の人達だった。すごいね、宗教の方々って。あれ、週間ランキングで一位になったりしそうです。と言うか、多分ランキングTOPになるわw
のんびりした物語。ありふれたお話。力み無し。邪悪な人は出て来ない。過剰で作り過ぎた演出無し。ふふふと笑ったり、シンミリしたり、ジンワリ泣けたり。学校では息苦しさを感じる少女が、そこで生活する自信を得て行く過程を、一つの言葉にも頼らず、緩やかな描写だけで伝える映画。
南紗良も、渡辺真紀子さんも、やっぱり良いですね。こういうのは、はまり役やなぁ、って思う。
のんびりした気分の時にどうぞ、って言う佳作でした。
それはさておき。南紗良の自転車乗率100%説、継続です。
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