「主役は黒狼熱ではなかった?」鹿の王 ユナと約束の旅 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
主役は黒狼熱ではなかった?
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原作は未読です。
◉長編連続ドラマの第1回感
いや、もちろん作品は完結するのですが、物語の醍醐味がぐっと迫り来ることはなかった。ツォルとアカファの二つの王国の有為転変に絡む合戦シーンとか、独角のヴァンたちの激闘ぶりが画面に登場することはなかった。サエが刺客になった経緯とか。
歴史の流れをステージにした作品ならば、そのあたりは見たかったです。
一番の物足りなさは、黒狼たちが病を振りまいて、人々の間に蔓延するシーンが少なかった点。もっともっと、詳細に描かれてもよかったかなと感じました。親は助かったのに子は命を失ってしまうとか、罹患した家族が村を逐われるとか。一つの部隊が全滅するとか。
私は黒狼熱こそ、この作品の大テーマの一つだと思っていましたから。
◉秘めたる思いを示す声
ヴァンやホッサル、サエは、やるせ無さや情熱、怨念をどこまでも押し隠して、目の前だけを見つめていた。それを感じさせてくれた堤真一さん、竹内涼真さん、杏さんたちの声の力は良かった。
◉木の枝が示したもの
曲がりくねった木の枝が、風景の中にも幾度も登場して、黒狼の現王位もごっつい樹形の中にいた。作品のキャッチが「運命に抗え。未来を変えろ。」なので、その樹形が運命の象徴として、しかし黒狼を継ぐ定めはヴァンとユナで、作品全体を貫くものではなかったですね。
「運命」は、やっぱり王国に流行した黒狼熱と考えた方が自然かも知れないと、私は思いました。
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