「どれみオタク女子旅日記」魔女見習いをさがして よもぎさんの映画レビュー(感想・評価)
どれみオタク女子旅日記
基本的に映画は前情報無しで、地雷を踏むも満足するも一興ってスタイルで観に行くので、この作品は最初「大人になったどれみ達の話」かと思っていました。
実際には歳も出身地も境遇も違う、どれみ好きの女子3人が偶然どれみ聖地巡り中で出会って友達になり、あちこち一緒に聖地巡りしながら人生の悩みなんかを打ち明け合うお話。
なるほど、「魔女見習いをさがして」とは確かにマッチしたネーミング。
私も男ながら子供の頃、日曜朝にリアタイで観ていた世代(アイちゃん派である)。
今空前絶後の大ブームである鬼滅の刃等であれば聖地にはとんでもない数の人が居ようが、今どれみの聖地に行ってバッタリ同胞に出くわせば運命の一つや二つは感じる気持ちはよく分かる。
将来の夢に悩む二十歳、選んだ道が自分に合っているのか悩む女子大生、無能上司に悩むキャリアウーマンと、幅広い年代の3人組なので、観客が3人のうち誰かには共感し易い打率の高さ。そしてその3人を開始5分で繋ぐ役目を「おジャ魔女」が担います。
話が逸れますが、この構成はおジャ魔女だけじゃなく、聖地巡り出来る懐かし系アニメなら同じように出来ますね。デジモンアドベンチャーとかでやっても面白いかもしれません。
俺も昔は選ばれし子供だったんだぜ、お前もそうだろ?みたいな。
話を戻しますが、基本的には3人で夜な夜などれみトークで盛り上がったり、時々一緒に聖地巡りの旅行に出掛ける女子旅話。
オタクトークをしながら美味しい物食べて観光して、夜はそれぞれ人生の悩みを相談しながら所々でどれみ作中の台詞を用いてアドバイス。
共通の趣味を持った理想の友達という感じです。
この作品を観にくる人は程度の差はあれどアニメファンでしょう。この辺は憧れの陽キャ充実オタクライフ像として楽しめるかと思います。
しかしながら事件が起きると急転直下。ここからは少々女性的な感性なのでしょうか。
「えっ?そこ!!?」
って所にいきなり怒り出したり、不満があると状況問わず顔や態度に出す事を隠さなかったり。
正直オヂサンには彼女達が喧嘩した理由もあそこまで大事になった理由も分からない…。何に対してそんな怒ってんのこの子達…って困惑が強かった。
あとも一つ気になったのは、出てくる男が全員へっぽこって所ですかね。
自称ミュージシャン目指してるヒモ男、無能上司、妻子捨てた元父親、子犬のように慕ってくれる後輩男、絵を褒めたら好感度ゲージ一発で振り切れる発達障害男児、人付き合い恐怖症男。
後輩と男児はお手軽主人公引き立てマシーン役、上司は因果応報として弄りようが無いですが、ヒモ男と元父親はわざわざ登場させたなら立ち直って夢に再出発するシーンと別れたワケが分かるシーンくらいは欲しいですね。
女性は徹底的に強く、男性は徹底的に醜く描かれてるのが正直気になりました。
あと最後の店を開くシーン。三人で一緒にやるにはちょっとそれぞれの配分が微妙というか、ぶっちゃけ絵の人と教育実習の人、そこに居る意味やメリットある…?
経験や勉強のためだとしても規模が小さいというか限定的というか…。無理矢理はめ込んだ感が強かったです。
総じて、起承転結の承までは良かったですが、転からちょっと強引な展開やよく分からない感情変化や描写の足りないシーンが目立って、最後はちょっと無理矢理着地したという印象です。
「泣ける」という感想も幾つかありましたが、出来の良し悪し以前に泣きどころが分からない。そういう感想では懐かしくて泣けるようですが、その為にはおジャ魔女のDVD見て泣けるくらいのハマり度が必要かと思います。
かつておジャ魔女に憧れた女性もしくは女心の分かるナイスガイ向けの映画です。