「タロン・エガートンの歌唱力に脱帽!エルトン・ジョンらしいファンタジー・ミュージカル」ロケットマン さやさんの映画レビュー(感想・評価)
タロン・エガートンの歌唱力に脱帽!エルトン・ジョンらしいファンタジー・ミュージカル
映画「キングスマン」が大好きで、その時、タロン・エガートン(タロン君)はまだ演劇スクールを出たての若造ということで、それほど演技が上手だとは思いませんでした。
しかし、エルトン・ジョンの役をやるというので気になり、また世代的にエルトン・ジョンの曲はあまり知らなかったので、公開前にApple Musicでサントラを聴いてから映画を見たのですが、彼の歌声を聞いてびっくり!こんなに歌が上手だったとは!
確かにタロン君はイルミネーションのアニメ映画「シング/Sing」でも、ゴリラのジョニー役でエルトン・ジョンの曲を披露していたぐらいなので、映画業界でも既に彼の歌唱力は評価されていたんですね。
演劇スクールのオーディションでもエルトン・ジョンの「Your Song」を歌い、「キングスマン・ゴールデンサークル」ではカメオで出演していたエルトン・ジョン本人とも既に会っているし、タロン君自身が昔からエルトン・ジョンと不思議なご縁でつながっていたようです。
また、この映画の前に、かのヒュー・ジャックマンと映画「エディー・ザ・イーグル」で共演していて、その時にふとタロン君がヒューの前でミュージカル「ハミルトン」の曲をさえずり、びっくりしたそうな。
実際、数か月前に行われたヒュー・ジャックマンのコンサートで、タロン君がスペシャル・ゲストとして呼ばれて、「Your Story」を披露していました。
さて、映画についてですが、Queenの映画「ボヘミアン・ラプソディー」とは絶対に一緒にしてほしくないです!
前者がガチな自叙伝で、口パクである一方、こちらはミュージカル・ファンタジーで、すべてタロン君本人が歌っています。
この点は、「ボヘミアン・ラプソディー」の最後の部分とポストプロダクションの監督を担当し、今作でも監督をしたデクスター・フレッチャー監督も強調しています。
エルトン・ジョン自身も彼の物まねはしてほしくないとリクエストしたそうです。心で歌ってほしいから。
エルトン・ジョンもタロン君の歌唱力に太鼓判を押しています。
選曲も、エルトン・ジョンの半生を語るためにマッチした曲が使われていて、私は特に「Tiny Dancer」が好き。
相棒のバーニーが女性と仲良くしている様を、物哀し気に見るエルトンがとても切なかったです。
正直、Queenの曲の方が、CMなどで沢山使われているので、Queenを知らない世代の人がノリノリの曲が満載の「ボヘミアン・ラプソディー」を観て楽しめるのは理解できます。
一方、エルトン・ジョンの曲で有名なのは、「Your Song」や「Goodbye Yellow Brick Road」で、Queenほど有名な曲がなく、ミュージカルが苦手な方はこの映画はあまり楽しめないかもしれません。
ストーリー的には両者とも同じような内容で、私的にはあまり共感できず、映画を見て泣くことはありませんでしたが、奇抜な衣装が特徴のエルトン・ジョンには、やはりファンタジー調にして大正解だったと思います!
フレディ・マーキュリーのように、他界した人を振り返って映画にすることは多いと思いますが、本人が生きている間に映画になり、しかも本人がプロデュースしているのは珍しいと思います。
実際、今作はエルトン・ジョン自身が長年温めていた企画で、カンヌ映画祭ではこの映画を見て号泣していました。そしてそれにつられて、タロン君も号泣。
子役の子たちも上手だったと思います。
バーで家族を前に、エルトン・ジョンの少年時代を演じていたキット・コナー君が、「Saturday Night's Alright」を歌い始め、塀の穴を抜けた途端、タロン君に入れ替わる切り替え方が素晴らしいと思いました!
それに小さかった頃の子役が本人と瓜二つ。
また、「Your Song」の歌詞を渡された時、エルトン・ジョンが「紙に卵が付いている」と言うシーンがあり、このセリフはフレッチャー監督が作ったそうですが、エルトン・ジョンが大ブレークした象徴的な曲を表すにふさわしいセリフだと思います。
来年のオスカーではぜひ賞を取ってほしいです!
タロン君の次回日本公開作「ロビンフッドや」「シング/Sing2」も楽しみ♪