「エルトン・ジョンの素顔を知る」ロケットマン おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
エルトン・ジョンの素顔を知る
エルトン・ジョンについては、名前と派手な外見ぐらいしか知りません。それだけに、周囲を笑顔にするような明るい人かと思っていました。しかし、本作から、彼の半生はむしろその真逆だったことを知り、衝撃でした。子供の頃からずっと愛を求め続ける、孤独な人生だったことが、切ないほどによく描かれていると感じました。
本作では、彼の独白によって半生を振り返る構成がとられており、幼少期から話を起こしています。そして、それが実にテンポよく、ターニングポイントを絞ってまとめられているように感じました。無論これは彼の「孤独」を描くという視点から切り取ったもので、彼の人生の全てではないことは言うまでもありません。しかし、おかげで彼についてほとんど何も知らない自分でも、彼の人生を間近で見てきたような錯覚にとらわれるほどわかりやすかったです。
物語が進めば進むほど、彼の寂しさや悲しみは深まり、苛立ちが隠せず、酒やドラッグに溺れていく姿が本当に痛々しかったです。そして、それと相反するようにド派手になっていくステージ衣装が、彼の孤独感の裏返しのようで、今までとは全く別の意味を持って見えてきました。
そんな彼を変わらぬ友情で支え続けてくれたのが、生涯の相棒バーニー。エルトンの求めるものは、ずっと前からすぐそばにあったのです。そのことに彼が気づいた時の感動がとても心地よかったです。私たちの知らないエルトン・ジョンを、圧倒的なパフォーマンスと熱量で演じ切ってくれたタロン・エガートンに心から拍手を送りたいです。