「Queen Poofter Fairy Fag and Who'll never be loved properly」ロケットマン Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
Queen Poofter Fairy Fag and Who'll never be loved properly
断っておきます。エルトン・ジョンのことは好きではないし、己の映画を自分自身が製作するって、その神経がどうよ? だから評価はあてにできません。そしたら書くなってか?
この映画は、エルトン・ジョンが数名で行われている "グループセラピー" の最中、 "Abaddon"のような鮮やかな悪魔の衣装に身を包んだ彼が、そこに割り込んできて、自分の負の部分を話し同情心をあおるようにし、彼のいわゆるサクセスストーリーを見るのに入りやすい演出が始まる。それと同時にフラッシュバックするかのように子供の レジナルド・ケネス・ドワイトが現れ、その場を離れるとそれと同時に彼の曲 ”The Bitch Is Back” がながれ始める。エルトン・ジョンが子供の後を追いかけ、セッションの場所をあとにし、表に出ると、そこにはあからさまにモノトーンの町の人たちがどこからともしれず現れ、カラフルな2人とダンスと音楽のコラボが始まる。その一見不自然さが、正反対のように躍動する映像とそれに伴うかのようにノリノリの音楽の融合したものが、観ている者に跳ね返ってくる。
映画全体のシナリオとして、グループセッションで自分の過去の出来事を話すエルトン・ジョンの時間軸と彼の子供のころから90年代の更生施設から復帰して、アルバム『ザ・ワン』の制作辺りまでの半生を描いた時間軸をフラッシュバックや
”Nonlinear narrative” のストリー形式を取り入れて描写している。そこには、彼の中での精神的葛藤やところどころで起こった出来事をその幻想的ともサイケデリックとも呼べるミュージカルシーンで表現し、その一つ一つの場面が、記憶に残るというよりも記憶に植えつけられるように斬新な構図として観る者を圧倒している。ただし、コカインの吸引場面や "シスジェンダー" 以外の性的な場面も出てくるので観る者を選ぶ映画となっている。そんな中でも暴力シーンがないので視聴制限 "PG12" に落ち着いたものと思われる。
You've got to kill the person you were born to be
in order to become the person you want to be.
シナリオを断片的に言っていくと何故? 名前をエルトン・ジョンとした経緯などが出てくるし、しかも映画も40分を過ぎたところで運命的な出会いをしたバーニーと2人して金無し、家無しでジョンの実家に転がり込み、母親から小言を言われていたが、ある朝、無精ひげを生やし一睡もしていないのではないかと思えるバーニーができたばかりの詩をジョンに手渡す。 "There's egg on this.” この小さな実家のリビングから今まさに名曲が生まれようとする。あれほどガミガミといった母親も黙り、そこにいた家族全員が聞き入ってしまう。 うかつにもカウンターパンチを食らってホロッとしてしまった自分がいた。
動画サイトでも出てくる "Don't Go Breaking My Heart" でのキキ・ディーとのセッションのシーン。10㎝以上エルトン・ジョンのほうが背が高かったのが1993年の "True Love" ではキキ・ディーのほうが背が高く見えるし、またマドンナのことを口パクを理由に「ドサ回りのストリッパー」なんて揶揄していたのにあなたも口パクですよと言いたくなる。そのセッションの時にマネージャーであり恋人であったジョン・リードと再会する。しかし、その後、そのリードとの小さかった確執が話が進むにつれて溝のようになっていく。彼を揶揄した言葉が..............!
"Your very expensive painting is upside down."
ジョン・リードとの関係、母親と別れた父親が義理の兄弟たちに対しては、優しさを注ぎ込む事、そんなことを母親に尋ねると?
Frankly, I don't care.
But I'd rather you keep that sort of thing to yourself.
I just hope you realize you're choosing a life of being alone forever.
You'll never be loved properly.
有名になればなるほど、またレコードやコンサートが成功すればするほど、彼の心は蝕まれ、ドラッグや酒に依存するという先人のミュージシャンと同じ轍を踏んでしまいステレオタイプの自己崩壊の道を進んでいく。
Mother, you had me but I never had you
I wanted you, you didn’t want me
So I, I just got to tell you
で始まる曲をご存じなら............。ジョン・レノン。彼の名前からとされるエルトン・ジョン。そのジョン・レノンほど多くの人に生活ぶりや音楽作りなどで知られている人はいないのではないかと思われるほどミュージックシーンでは必ず登場し、ローリング・ストーン誌が選ぶ歴史上最も偉大なシンガー100 の中で5位に位置する人。そんな彼も"負の部分"を抱えていた1人で、蒙昧なものにとっては理解が出来ない、彼自身が自分の声が、音楽に適してはいないのかと悩んでいたことや、一番に彼を苦しめたことは酔っぱらった非番の警官に母親を車でひき殺されたことによる言葉に表せられない苦痛・悲しみといった傷。その苦痛を取り除こうと音楽にのめり込んだり、ドラッグやお酒に逃避するパターンに彼自身も陥ってしまう。しかし彼は悟ります。音楽やドラッグが心の傷を癒すことはない事を............。 ”Scream therapy” との出会い、しかし..........
"Platinum Paradise"と題する本の中には多くのハリウッドの映画人やブロードウエイで活躍された歌手が、いつの間にかどこからとも現れるともしれない ”白い粉” がお金の匂いを嗅ぎつけてくることを。その代表選手が47歳で夭折したジュディ・ガーランド女神。ア〇ルセックスをせがむ性的変態マイノリティ及びドラッグアディクトの女神。13歳の時はすでにプロデューサーの愛人であって、17歳の時には人間 ”ON,OFF” となっていた人。"Platinum Paradise" に載っていた彼女のポートレイトは恐怖さえおののく。
映画、テレビ、アートなどの24時間の報道を提供するアメリカのカルチャーに特化した、そう言ったものに着目している大人向けのエンターテイメントニュースサイト。 "Vulture"
Rocketman Tries to Levitate Its Audience, But It Falls Flat Instead という見出し記事より
「ロケットマンはジュークボックスミュージカル(ミュージカル用に書き下ろされた新曲ではなく、既存の楽曲を使ったミュージカル、またはミュージカル映画)としては珍しくドラマティックな影響力を持っているが、その人物像は、うわべだけの代物でどのくらい悪いかと言えば大変なごまかしたものと言える。」
ルポルタージュ、批評、エッセイ、風刺漫画、詩、小説などが掲載し、また映画レビューやイベント情報はニューヨーク市が主に掲載される雑誌 "New Yorker"
“Rocketman” and the Inevitable Shortcomings of the Hollywood Pop-Star Bio-Pic
「ロケットマンは、内省的つまり自分自身の心のはたらきや状態をかえりみるドラマとはかけ離れていて、しかも不幸にもフレッチャーの演技指導では、彼のパフォーマンスが主人公の精神的内面の生活描写を増すことはない。」
ジャーナリズムの文学的スタイルと芸術、特に映画と演劇の報道で有名な雑誌 "Chicago Reader"
「物語は現実、特に時間と事実を再編し、映画はより楽しいものになっている。」
主役のタロン・エガートン。ご本人より背が高く、またハンサムときている。そして彼は、W magazineという雑誌のインタビューでは自身がシスジェンダーと言っているという事は、俳優魂を観れる映画という事か..............!? それと植毛の話は................内緒?