「最後のセリフを是非味わって欲しい‼️」いなくなれ、群青 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
最後のセリフを是非味わって欲しい‼️
私は原作が好きです。
原作シリーズは文庫で全6巻、そのうち、4巻まで読んでます。話としては、第1作目だけでもひとつの完結した物語として十分に読み応えがあります。
私は物心ついてからずーっと、他人との関わり方における問題のほとんどが、自己の自意識に起因しているのだということにある時、気がつきました。そういう私にはとてもしっくりくる内容なのです。
(自意識とか自己の内面を描く小説・映画はたくさんあって、最近では原作、映画とも強く印象に残る出色の出来だったのが『勝手にふるえてろ』でした。)
この映画の前半は、原作を読んでいない人にとっては、なかなかその世界観についていけないまま進行します。
ファンタジー色が強いくせに、セリフは理屈っぽい原作の雰囲気をどう受け入れてもらうかに腐心しているのは伝わるけれど、原作を知らない方には正直言って、状況も登場人物のキャラクター設定も腑に落ちないままだったのではないでしょうか。
しかしながら主人公二人の他、委員長とか堀の人物像が、ストーリーや映像やセリフを通じて何となく分かりかけてきた頃には、真辺由宇の存在がなぜ〝キケン〟なのか、真辺との関係性が生まれることによる変化は、初めは危険なのに、いつのまにか相手を強くする作用として働いていることに気がつき、映画の世界にどっぷり浸かってしまいます。
階段島とは何か。
魔女は誰なのか。
魔女は何の目的でこの島を作ったのか。
最後まで謎は明かされないので、不満な方もいらっしゃるかもしれませんが、思春期や青年期にあれこれと自分の内面と格闘してきた経験のある人にとっては、とても懐かしい痛さと眩しさとに包まれる映画です。
〝どうしても好きになれない自分〟との付き合い方は、もうとっくに慣れた、と思いこんでいる大人の人たちにとっても、鮮烈で清々しくて、気持ちのいい作品だと思います。
七草と真辺の関係性をもう少し具体的にイメージしたい方のために、原作から一部引用します。
真辺の真っ直ぐな発言に対する七草の言葉。
『違うよ、真辺。あらゆる言葉は、誰かを傷つける可能性を持っている。明るい言葉でも愛に満ちた言葉でも、どんな時にも間違いのない言葉なんてないよ』
『でも君はちょっと極端なんだ。正しいことの正しさを信じ過ぎている』
もうひとり、気になる堀さんについての七草の見方。
『きっとあの子は、そういうことに敏感なのだ。つまりは、人間関係が持つ強制力について。』
原作でも、映画でも、最後の真辺のふたつの言葉が私は一番好きです。ここには書きません。ぜひ、原作か映画で確かめてください‼️
コメントありがとうございます。
続編ではないですが、この映画の主題歌のМVも監督の作品なんですよね。
そのМVも、原作シリーズの表紙を意識しつつ、この映画では深掘りしなかった堀の苦悩や優しさが上手く表現されてると思うんです。
YouTubeで見れると思うので、機会があったら見てみて下さい。
琥珀さんへ
原作は読んでいないので映画を見た限りの解釈ですが、「人格」にあたかも生命がありヒトとしての実体があるかの如く扱い、実体のないはずの「人格」だけが生活する場所として島や村や学校を作っている。現実の物理的な3次元の世界から、完全にぶっ飛んでる世界観ですよね。私も、飯豊まりえの絶叫演技にノックアウトされました!