劇場公開日 2019年11月15日

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「リバタリアン運動って言うから、『バタリアン』が復活するのかと思った(ネタです)」ベル・カント とらわれのアリア kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5リバタリアン運動って言うから、『バタリアン』が復活するのかと思った(ネタです)

2019年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 予告編の段階では南米で起こった襲撃事件がストックホルム症候群に陥るのかと思ってた。いや、ほぼスト症(勝手に略してます)なのですが、テロリスト、人質ともに男女混合なので愛が芽生えてしまうという、メロドラマ風人質籠城事件になったことが目新しいのかも。

 アメリカ作品であるにも関わらず、派手な救出部隊劇やら、軍隊・警察至上主義みたいなものがない!いや、南米のどこかでやってることだから知らんぷり?フジモリ大統領就任時代にペルーで起こった日本大使公邸占拠事件を揶揄しているのだろうか。しかし、決して時間がかかった理由が政府側のミスではなく、一人のディーバによって加害者・被害者とも心を通じ合わせるという物語になっていました。

 犯人側の心情を描いた作品はそう多くありません。テロリスト=非人間みたいな構図を植え込もうと、「テロには屈しない」とか「テロリストの要求には応じない」とか一方的すぎるものが多いはず。ところが“交渉人”という警察内部の役職がクローズアップされてからは、いかに平和的に解決するかというテーマが増えてきたように思います。ここでは赤十字から派遣された交渉人演ずるセバスチャン・コッホがかっこいい。即座に撃たれてもおかしくない状況を、人命を優先し、テロリストの言い分にも耳を傾ける。この人、いつもいい役やってるなぁ。

 日本人は渡辺謙と加瀬亮が出演していますが、安定の謙さんは安心して観ていられるし、加瀬くんは何ヵ国語も喋れる天才的通訳であり、台詞を覚えるの大変だろうな~と応援したくなるキャラ。ちなみに日本語、英語、スペイン語、ケチュア語などが登場する。オペラなのでこちらはイタリア語。

 敵のコマンダンテも落ち着いた演技で、スペイン語英語を操ることができる。大学も出ていて、歴史の教師もやったことがあるという。喋ってみると、普通の人やんか!と驚くこと間違いなし。そこにはダメでもともと、失敗してもしょうがないという厭世的な表情さえ浮かべるのだった。結末が読めてくる・・・

 クライマックス。もう撃たないでくれ。やめてくれ。と祈るような気持ちになり、やっぱり泣けた。二組の新しい愛も芽生えようとしていた矢先の出来事。軍隊は銃を持ってないテロリストも容赦なく殺していくのだ・・・虚しさだけが残る中、やはりソプラノ歌手のルネ・フレミングの歌声が慟哭しそうになる心を癒してくれた。残念な点は、やはりジュリアン・ムーアの口パクが下手であり、高音域の震え方も感じられないほど感情がなかったことでしょうか・・・(-0.5)

kossy
NOBUさんのコメント
2019年11月27日

今晩は。

 今作のフライヤーでは、テロリストという言葉が記載されていましたが、(フジモリ大統領の際もそうでしたが)彼らは(偶発的に1名殺めていますが)反政府ゲリラなんですよね。リーダーは狂信的でもなく、ある程度の理性、知性も持っている・・。そこが、私には響きました。
 只、仰るように誰でも分かる口パクの部分は、歌によって、ゲリラと人質との垣根を低くした物語の肝でもあるので少し残念でした。

NOBU
ワンコさんのコメント
2019年11月27日

確かに、不人気ですねー
まあ、演出とか色々、イマイチっぽいのはありますけど、観る側のイマジネーションの問題もあるんですよね、きっと。
でも、おっしゃる通り、。ジュリアンムーアはミスキャストですね
けんさんやかせさんの演技も、なんか変に見えちゃう。

ワンコ
ねもちゃんさんのコメント
2019年11月27日

kossy さん

バタリアンとは!・・相変わらずの爆笑ポイント・・ネタ持ちですね~🌠

ねもちゃん