「アメリカとイギリス合作で、なんで「エンテベ」?」エンテベ空港の7日間 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカとイギリス合作で、なんで「エンテベ」?
バットシェバ舞踊団「エハッド・ミ・ヨデア」というダンスで始まる本篇。「俺、間違ったシアターに入っちゃった?」なんて、一瞬不安になりましたが、「あぁ、この訳わからん具合がイスラエル映画だわ」なんて一人で納得。でも、これ、アメリカと英国の合作ですからw
このコンテンポラリー・ダンスは「イスラエルとパレスチナが互いに傷つけ合っていること」の比喩的表現であるそうな。ごめんなさい、解説されても、やっぱりよく判らない....
1970年代はマルクス・レーニン主義の中の、極左過激派によるテロやハイジャック「も」繰り返された時代。この1976年のハイジャック犯が要求した解放者リストの中には、1972年にテルアビブ空港でチェコスロバキアのチェスカー・ズブロヨフカ国営会社で開発されたアサルトライフル、Vz 58を乱射し26人を殺害した「日本赤軍」の岡本公三の名前をあったとされています。つまりは、私たち日本人にとっても、全く縁の無い話では無いってこと。
1972年5月、ベルギーのブリュッセル発、テルアビブ行きのボーイング707を4人のテロリストがハイジャック。イスラエル政府に逮捕されている仲間317人の解放を要求しましたが、イスラエルはこれを拒否。ハイジャック犯を制圧し93人の人質の解放(乗客1人が銃撃戦で死亡)に成功した履歴が、「エンテベ」の背景にあります。
奇襲作戦の代名詞とも言える「サンダーボルト作戦」の場面には、コンテンポラリー・ダンスの公演が重ねられます。が、ダンスを称える観衆の拍手とサンダーボルト作戦の成功が重なる所で、ちょっと気分複雑。
リアルなサンダーボルト作戦では、102人の乗員・乗客が救出され、3人の人質が、突入部隊の誤射によって命を落としています。かなり後に、突入部隊が叫んだ「伏せろ」の言葉がヘブライ語であったため、これを理解できなかった者の行動が遅れ、誤射されたとの証言がありましたが、映画の中では描写されていません。映画の中では、ドイツの過激派組織RZのメンバーが「伏せろ」と叫んでいました。また、テロリスト制圧後も、イスラエルの部隊はウガンダ軍と交戦を続けていますが、そこも描かれていませんでした。
言って良いかなぁ。
確かに、一般人を巻き込んだテロはダメです。悪です。いかなる理由があろうとも。でもね。パレスチナ問題はパレスチナ問題なのであって。このサンダーボルト作戦が、さもイスラエルの勝利、正義の勝利と言わんばかりの演出には、ちょっとだけ違和感を感じました。あ。RZメンバーには同情無用ですけどね。
この日は、プライベート・ウォーとエンテベのハシゴ。ロザムンド・パイクの連荘。今年、パイク5本目です。「社会性のあるテーマでアクティブな女性役のパイク」のイメージが固定化してしまいそうでw
ちなみに、どうでも良いけど一応突っ込んどくと、アミン大統領車はメルセデス・ベンツ600のリムジン。Eクラスじゃないから....