「「中年の危機」は乗り越えたいものだね」シンクロ・ダンディーズ! りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
「中年の危機」は乗り越えたいものだね
中年男性シンクロチームの実話をモチーフにした英国製映画。
同じ題材のフランス映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』は見逃したのですが・・・
有能な会計士エリック(ロブ・ブライドン)の息抜きはプールで泳ぐこと。
先ごろ妻が地方議員に当選したこともあり、ここのところミドルエイジ・クライシス(中年の危機)を感じている。
息子とも折り合いが悪く、そんなこんなで妻の当選祝いのパーティに遅刻したことがきっかけで、家を飛び出してホテル暮らしをすることに・・・
といったところから始まる物語で、その後、彼が通うプールで集まってシンクロスイミングをしている7人の男性グループから「境遇が似ている、是非に」とスカウトされ、一緒にシンクロを始めることになる・・・と展開する。
シンクロチームなので登場人物は多く、中年男性の群像劇かと想像していたが、主役のエリックに焦点を当てたつくりとなっていて、ちょっと物足りない気もするが、出演者は他にテレビ『SHERLOCK/シャーロック』シリーズのレストレード警部役が有名なルパート・グレイヴスぐらいした見知った顔がいないので、あまり他のメンバーのエピソードが描かれてもくだくだしくなるだけ。
他のメンバーの挿話がまるでないわけでもないので、主役に絞るこの作劇は悪くない。
他のメンバーでは、無口を通り越して一言もしゃべらないサイレント・ボブが、最後のひとことだけ助言するところは、定石だけれど、洒落ている。
ルパート・グレイヴス演じるルークが離婚して、ボート暮らしなのも侘しい(ただし、ボートはそこそこのクラスのものなんだけど)。
というわけで、いろいろあった中で、主人公がミドルエイジ・クライシスを乗り越える結末も悪くはなく、水準点の出来栄えかしらん。