世界の涯ての鼓動のレビュー・感想・評価
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独特の世界観
Alicia Vikanderが演じる海洋生命科学者の教授とJames Macavoy演じるイスラム過激派に侵入するスパイという設定の 独特な世界観のラブストーリー。
設定が濃厚過ぎて、恋路もサスペンス要素も中途半端にかんじる。その為、所々の「ん、何で?」や「どうした、急に…」と感じる場面が否めない。
医者のやり取りは結局どうなった?自分の教養が足りないだけなのか、塩湖の場面って何?とか。
ストーリーは海底に探査に行くAliciaが音信不通のJamesに想いを馳せ、イスラム過激派に囚われたJamesが彼女に想いを馳せ、と2人の想いが叶わず悲しいラブストーリー。
戦争と生命誕生の神秘という設定が独特。話が進むに連れ、ストーリーには入り込んでしまった。
個人的には所々のドキドキと、所々のフィヨルドの自然豊かな島々は見応えあり。好き。
最後は死ぬ寸前に走馬灯か?と思えるので、分かりやすくハッピーエンドでも良かったかも、島々を2人で歩いてる、とか。
とにかく息苦しい
深海に潜る息苦しさ、テロに捕まり闇の中で監禁される息苦しさ、愛する人に会えない、言葉を交わすことすらできない息苦しさ、とにかく息苦しさを感じる映画だった。ラストはマカヴォイ助かったのだろうか、死んだとしたら、あまりにも救いがない。息苦しさが続いただけにスッキリしたかった。諜報員マカヴォイがあまりにも呆気なく捉えられ、もう少し活躍するエンターテイメント性があったら良かった。アリシアも今まで夢だった深海に潜ることを目前にして、死の恐怖に駆られ、不安になり、マカヴォイに連絡すれどつかまらず、情緒不安定になっていく。それぞれ重要なミッションを前にして、数日会っただけなのに恋に落ちると、不安から頼りにしたいと互いを思う様を上手く描いている。
「コレラ?」「新たな疫病だ」「武器にするのか?」
映画「世界の涯ての鼓動」(ビム・ベンダース監督)から。
「わずか5日間で情熱的な恋に落ちて」という解説に、
「えっ、そんなに情熱的だった?」とツッコミを入れたくなり、
「互いが生涯の相手であることに気付く」という設定に、
「僕たちは『水』が共通点だ」という台詞で、納得した。
けれど、私たちに何を伝えたかったのかわからなかった。(汗)
多国籍(ドイツ・フランス・スペイン・アメリカ合作)の意味、
気になっていた原題の「Submergence」の意味は、
「水中に沈むこと、潜水、浸水、沈没」だから、
主役は、生物数学者である彼女、ダニーなんだろうけれど、
インパクトは、MI-6の諜報員であるジェームズが強かった。
2017年に製作され、映画に描かれた南ソマリアの現状は、
そこで働く医師との会話で推察できた。
「禁じるべきだ、ドラッグを打ち、自爆テロさせるのは」
「ここでは空気だけが無料だ」
「日々、治療可能な病気で子供が死んでいく。
皆仕事も食べ物もない。学校もない。なんとかしなくては」
「雨が降れば泥と汚物が入り混じる。
こんな状態ではこの国に疫病が発生し、世界中に広まる」
「コレラ?」「新たな疫病だ」「武器にするのか?」
「私は医者だ」「殺人者と親しい」
「コレラはすでにある」「報告しろ!」「ここで?」「国連に」
「絶対にだめだ」「ユニセフは?」
「特にだめだ、多くを約束しながら子供たちに何もしない」
短い会話だったけれど、緊張感が増した。
2017年制作とはいえ「新たな疫病」・・参ったなぁ。
なんのために生きるのか
平和すぎる毎日を過ごし超現実派の自分にとって設定が派手すぎて浮世離れしすぎてついていけるか正直不安でした。
でもやっぱりヴェンダースだし観ないわけにいかなく観たわけですが、とてもよかったです。
愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛
ずっと耳元で愛のために生きるのだよと念仏を唱えられているような映画でした。
愛する人がいるということがどんなに自分の人生に希望を与えるのかということ。
ダニーがいなかったらジェームズはとっくに死んでたと思う。
愛は宗教を超えた。
それぞれの世界の涯て
あまりにも対照的な風景の中で、お互いを想いつづけるしかない2人。
インターネットが世界中に普及し、違う大陸にいようと当たり前のように会話ができてしまう今の時代だからこそ余計に、不安感が増すのかもしれない。
一昔前は、一度離れてしまった相手の安否を知る手立ては限られていたのだから、まだ人々にも多少の覚悟、耐性はあったのでしょう。
砂塵舞い上がる戦地ソマリア、押し潰されそうな漆黒の闇と無音の海底、それぞれいわゆる映画の舞台としてうってつけな極限状態を、さすがヴィム・ヴェンダース、静謐なトーンでまとめている。海岸、海底、人間、テーマの一つである水が、もしかしたら観る側の心を鎮めているのかな。
2人はそれぞれ本当に死ぬ間際まで追い詰められながらも、ひとすじの希望を見出したところで映画が終わる。実際に再会できたか?は神のみぞ知る、だけれども、心穏やかに映画館をあとにできました。
全てが現実なのだ
生命の誕生を研究するために命を懸けて海底の奥底に挑む女と爆弾テロを少しでも減らすため命を懸ける男、このふたりがホテルで出逢い濃密な5日間を過ごす。
こんなロマンチックなシチュエーションを考え、表現できる人は羨ましい限りだけれど、出会えただけでもよかった。また、いつものように映像が素晴らしい!
ヴェンダースは天使とサーカス女を恋させたり、子供と一緒に母を探し父や男である自分を取り戻したり、盲目の母親が初めて自分の息子を「観た」という感動だったりを届けてくれる私にとってかけがえのない監督なのだ。私のヴェンダース評はちょっと偏っているので、あくまでも強い個人的な感想です(笑)。映画好きの姉もヴェンダースは寝てしまうらしい。
私には難しいお話でした
予告編を見たことはない。前情報も、ほとんどない。ラブサスペンスという言葉だけで、観ようと決めました。
正直、面白かったけど、難しかった。ラスト、含みを持って終わりますよね。2人とも海で…。すごく意味があるんだと思います。でも、もっと、単純に、この美男美女のラブストーリーを観たいと思いました。もしくは、ジェームズ・マカボイのアクションものとか…。
ジェームズ・マカボイ、かっこよかったです。こんな熱い男を演じてるの初めて見たかも。いつもクールな役が多い気がするんですが…。
うーん…やっぱり、私には、難しかったです。
世界には知らないことが多すぎる。海の底も、人の住む世の中も。
で?ふたりは?と、あのラストに物足りなさを感じるだろう。成果を上げたジェームスのそのあとはいいとして、会えないとしても、ずっと待たされたままのダニーの気持ちのフォローがないことに。
だけど、そこを想像で補えるための、休暇の数日間の濃密さなのだ。二人だけに通じ合えた感情は、愛情だけではなく、知性や人間性や思想までも。つまり、お互いのすべて。一人が寂しいだけなら、ダニーの周りには男はいくらでもいる。ダニーにとって、ようやく見つけた相手がジェームスであり、彼の真実の姿が何者かは別の問題。ジェームスにとっても同じなのだろう。拘束されてるときに医者が「教養があるのは君くらいだ」と言って話し相手になるが、同じ心情なんだと思う。
かたやテロ組織のなかで、かたや未開の深海のなかで、極限の心理にさらされながら、お互いを求め、支えとする心境に共感が得られるとき、あの美しい風景がよみがえってくる。
たぶんラストのあのブチギリは、結局ふたりがどれだけ愛し合おうと、結ばれることがない運命を暗示しているのか。
無関係に見える人のつながり。知的で深い思想が横たわる
カンヌ国際映画祭のパルム・ドール受賞「パリ、テキサス」(1984)や、監督賞受賞「ベルリン・天使の詩」(1987)のヴィム・ベンダース監督(73歳)の新作。ベンダース監督といえば、音楽ドキュメンタリー映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(1999)などもある巨匠である。
迎える主演は、アリシア・ヴィキャンデルと、ジェームズ・マカボイという大スター。
フランスのノルマンディーの海辺のホテルでジェームズとダニーは、運命的な出会いを果たす。
ジェームズは英国MI6の諜報員(スパイ)。ダニーは潜水艇で深海に潜り、生命の起源を解明する生物数学者。わずか5日間だったが、2人はたちまち大恋愛に落ちる。
一見、接点の無さそうな2人の運命的な出会いだったが、すぐにそれぞれの責務を果たすために離れていく。
生物数学者のダニーはグリーンランドに向かい、深海調査の最中、潜水艇が操縦不能になる。またジェームズはソマリアに潜入し、爆弾テロを阻止するための任務中に、ジハード戦士に捕らわれてしまう。
2人は極限状態の中で、生命の危機に直面するが、遠く離れてそれぞれに想いを馳せる・・・。
原作はJ・M・レッドガードの小説。タイトルは、"Submergence=潜水、冠水、沈没"。大恋愛に"沈没"していくことや、スパイとしての"潜入"、はたまたストレートに潜水艇のことと掛けている。
この作品には、知的で深い思想が横たわっている。
生まれた国や成育環境、宗教に翻弄される人間。同じ人間なのに使命が異なって見えることもある。関係ないように見える人々が、それぞれ接点を得ることで、大きく変わることもあると示す。それは恋愛であったり、互いの主張や立場の理解であったりする。
それを象徴する2人の会話がある。
イスラム社会と欧米社会の相容れない歴史的な関係性を解き放つのは困難なことと考えるダニーに対して、それは深海の生命の謎に興味や理解を示さない多くの人々に理解を求めるのと、何ら変わらないと、ジェームズは話す。諜報員としての使命を持つ者の思考である。
本作は単純なラブストーリーでもなく、事故・事件のパニック映画でもない。映像化するには深すぎるテーマで、なかなか伝わりにくいことに、あえてヴィム・ベンダース監督は果敢に挑戦している。それを美男美女の2人が高い演技力で支えている。
ちょっと難しすぎるかも。
さて、本作はアリシア・ヴィキャンデルの可憐な美しさを拝むことができるのはもちろんだが、共演がジェームズ・マカボイというところが面白い。
アリシアの実生活のダンナは、マイケル・ファスベンダー。「X-men」的に見ると、エリック(マグニートー)と、プロフェッサーX(チャールズ)の二股。さすがアリシアの魅力が為せる業・・・なんてね。
(2019/8/2/TOHOシネマズシャンテ/ビスタ/字幕:松浦美奈)
旅先での恋の先
MI-6の諜報員である男は爆弾テロ阻止の任務でソマリアに赴く前に、生物数学者の女は種の起源の調査でグリーンランドの深海3400mへの潜航前に、それぞれ一人で訪れたノルマンディー・ディエップのホテルで知り合い恋仲になり、その後各々仕事に戻り会えない&連絡がつかない情況下で互いに想う話。
回想的な意味合いもあるのか時系列を弄って展開して行くが終盤に差し掛かるまで女は連絡がつかないの一辺倒。
男側は終盤以外は殆ど彼女のことを匂わすところなし…まあそれどころじゃないけど。
しかも最初はかなりキツい情況だったのに、途中から何があった訳でもないのに何だかやけに使われ方が緩くなっていくし。
タラタラと同じ様なことを繰り返し、やっとこそれぞれにその時がきたら、えっ?それだけ?
まあスリルやサスペンスをみせたい訳ではないのはわかるけど、恋愛映画としても特に盛り上がることもないし、自分にはハマらなかった。
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