世界の涯ての鼓動のレビュー・感想・評価
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私には難しいお話でした
予告編を見たことはない。前情報も、ほとんどない。ラブサスペンスという言葉だけで、観ようと決めました。
正直、面白かったけど、難しかった。ラスト、含みを持って終わりますよね。2人とも海で…。すごく意味があるんだと思います。でも、もっと、単純に、この美男美女のラブストーリーを観たいと思いました。もしくは、ジェームズ・マカボイのアクションものとか…。
ジェームズ・マカボイ、かっこよかったです。こんな熱い男を演じてるの初めて見たかも。いつもクールな役が多い気がするんですが…。
うーん…やっぱり、私には、難しかったです。
大人の“セカイ系”。
『世界の涯ての鼓動』っていう邦題がとっても良くて、それに印象が引っ張られてるのかもしれないけど、“世界の果て”感の両極の対比がとっても沁みる映画だったなー。
“世界の果て”というのは、“極地”というニュアンスよりは“人生が終わる場所”という感じ。
良い方の“世界の果て”は、前半にしっとりと描かれるリゾートホテルの日々。狂人でも超人でもない普通のジェームズ・マカヴォイと、アンドロイドでも冒険家でもない普通のアリシア・ビカンダーが普通に出会って、普通の恋をするの。
物語的には特に面白みはないんだけど、それがむしろ大事で、「帰りたいところ」として観客の心に浸透する。
「海辺」という水際も、“世界の果て”の舞台装置になっていて、そこで話す「人間の体の大部分は水でできている」っていうのも、「そもそも人間は“水際”な存在」という暗示もあるのかな。
物語の後半はそれぞれに、“悪い方の世界の果て”でお互いの存在を心の糧に、生き延びようと強く思う。
マカヴォイは、テロ最前線とソマリアの海の水際で、
アリシア・ビカンダーは、深海と海底の水際で。
世界に対して自分の成すべきことを、それぞれの世界の果てで、限界を超えて成し遂げようとしてる。でもその勇気の源泉になっているのは、「生きてまた愛する人に会いたい」という私的な意志だ。
『天気の子』が語ることに近い、大人の“セカイ系”の話だったように思えるのは、やっぱり観たばかりの印象に引っ張られているのかな・・・。
ただのラブストーリーでは無い
ポスターとムビチケの写真のイメージから爽やかなラブストーリーと勝手思い混んでいましたが、ただのラブストーリーでは無い…生物数学者とMI6の謀報員の恋愛も描かれていますが、テロ、戦争とテーマは深い、過酷な状況に置かれた恋人同士、離れ離れになりお互いを思う深い愛と見応えありの作品でしたが、個人的にはハマらずの作品。キャストが豪華なので期待しすぎた感がありました。
ヴィム・ベンダースを堪能
「パリ、テキサス」や「ベルリン・天使の詩」が好きな私としてはヴィム・ベンダース監督作品と言うことで期待。なんか懐かしい名前。
ミニシアター系の臭いがぷんぷん立ちこめるこの作品。とっても好きです。人によってはめっちゃ飽きるだろうな~なんて考えながら、私にとっては素晴らしい時間を過ごせた作品。
原題は「Submergence」で 深く潜る 的な意味合いがある。このままでは伝わらない。ということで付けたのだろう邦題がとっても素敵。珍しく良い邦題を付けたなぁと感心。
フランスの海辺のホテルで出会ったふたりの男女の愛の物語。濃密な時間から一転グリーンランドと南ソマリアという地球の対極へ。それも男は地の果て女は海の底という物理的な対極である。
女は宇宙の果ての生物と海底の果ての生物の結びつきを求め、男は宗教という精神的な対極で壮絶な体験をする。
世界の果て、「生」と「死」の狭間で生きる事への鼓動を感じる。愛という鼓動を求める。
ラストのその後、どうなったのか、それは見た者だけが感じ取れる特権。まさにヴィム・ベンダース的完結。素晴らしい。
世にも麗しき大人の恋の物語
人が人間性を試されるのは極限状況にあるときである。だから多くの物語の主人公は、普段の生活では体験しない特別の状況に置かれる。日頃どれだけ見栄を張ったり自分を飾っていても、究極の決断を迫られる場面ではその人間の本性が出る。主人公の決断によっては、読者や観客は感動したり興奮したり、時にはがっかりする。
本作品の主人公ふたりはMI6の諜報員と超深海を調査する数学者で、既に極限状況にあると言っていい。危険で重大な任務に向かう前の束の間の休息は、張り詰めた気持ちと孤独を癒やすためだった筈だが、同じような精神状態の異性と出逢ってしまったことで、あっという間に恋に落ちる。出逢いは偶然だが惹かれ合うのは必然だ。
夢のような5日間を過ごしたあと、二人が直面したのはそれぞれに厳しい現実である。特に諜報員ジェームズはソマリアに潜入するのだ。銃や火器による殺人や暴力が日常的におおっぴらに行なわれて、誰も取り締まらない国である。世界をよくするための任務であるという自覚がよほど強烈でなければ、潜入しようなどとは思わない。その熱意はホテルで過ごしているシーンの中で予め表現されていて、この人はソマリアに行くのだろうなと納得できる。
一方の数学者ダニーは、超深海への熱が治まらない。生命のよって来る根源の場所はどこなのか、調べずにいられない。その気持もホテルで過ごすシーンに表現されている。心に熱い思いを抱えた大人同士である。しかしその熱を若者のように直接ぶつけ合うのではなく、平静な表情の後ろに隠して、時々触れる指先から互いに感じ取る。世にも麗しき大人の恋の物語だ。
思い出すキーワードはたくさんある。テレビを見ている家に手榴弾、アッラーワクバル、塩田、西経2度北緯74度、宗教に強制があってはならない、マントルに生命、超深海、捕虜、ジハード、信じる能力、ネイチャー誌、ノルマンディー上陸作戦のときと思しき巨大コンクリートのオブジェ、そして処刑される女性と撃たれる子供、無慈悲なジハード戦士の意外な知性。
諜報員ジェームズに降りかかる凄絶な現実は、人類と共同体の不幸を象徴するかのようだ。襲いくる狂気を、我らはどうやって生き延びるのか。その問いかけの延長上に、人類及び生物はどこから来たのか、現れたことに何の意味があるのかを探るダニーの探究心がある。
親水性という言葉には様々な意味があるが、水が人間を落ち着かせる意味もある。それは生物が水から生じたことを示すのかもしれない。原題の意味はそのあたりにありそうだ。時間的にも空間的にも世界観が広がっていく、スケールの大きな作品だと思う。
世界には知らないことが多すぎる。海の底も、人の住む世の中も。
で?ふたりは?と、あのラストに物足りなさを感じるだろう。成果を上げたジェームスのそのあとはいいとして、会えないとしても、ずっと待たされたままのダニーの気持ちのフォローがないことに。
だけど、そこを想像で補えるための、休暇の数日間の濃密さなのだ。二人だけに通じ合えた感情は、愛情だけではなく、知性や人間性や思想までも。つまり、お互いのすべて。一人が寂しいだけなら、ダニーの周りには男はいくらでもいる。ダニーにとって、ようやく見つけた相手がジェームスであり、彼の真実の姿が何者かは別の問題。ジェームスにとっても同じなのだろう。拘束されてるときに医者が「教養があるのは君くらいだ」と言って話し相手になるが、同じ心情なんだと思う。
かたやテロ組織のなかで、かたや未開の深海のなかで、極限の心理にさらされながら、お互いを求め、支えとする心境に共感が得られるとき、あの美しい風景がよみがえってくる。
たぶんラストのあのブチギリは、結局ふたりがどれだけ愛し合おうと、結ばれることがない運命を暗示しているのか。
ラブストーリーとしては、面白く観れるといえばそうなんだけれど、ただ...
ラブストーリーとしては、面白く観れるといえばそうなんだけれど、ただMI-6のミッションとか、深海の話とか、なんとなく浅くて、ふたりの出会いとかの描き方に比べるとだいぶざっくり
ただ、それらを細かく描くと、今度はふたりの話が浅くなりそうで、きっとこの映画はこれでいいのだろうと思った
ふたりの出会う海辺と、ホテル、そしてその日々の描き方は、美しいなあと思えた
ノルマンディーの白い砂浜 エメラルドグリーン、深色ブルーの波 ...
ノルマンディーの白い砂浜
エメラルドグリーン、深色ブルーの波
美しき海岸線
小ぶりのラウンジ
暖炉に焚かれるゆたかな火
木の香り漂う造りのヴィラの様なホテル
生物数学者とMI6諜報員
マカヴォイの青い瞳
アリシアのブラウンの瞳
二人の語り合う瞳の美しさ
ソマリアの現実と深海の神秘
軽んじられる命もあれば
人目に触れる事は無くともたくましく
生き抜いてきた生命もある
たとえ光合成をしていないと思われても
そしてすべての“生”を繋げる“海”
そんな雄大な背景を讃えながら
“美しさ”を魅せてくれる素敵な作品でした
今思えば、中学か高校の時に公開されて
おしゃれだなぁと思ってただけで
ずっと観てこなかった
「パリ、テキサス」
ヴィム・ヴェンダース作品を見直さなければ!
何とロマンティックなヴェンダースが!
ヴィム・ヴェンダース×アリシア・ヴィキャンデル×ジェームズ・マカヴォイ。
私にとってヴェンダースは大切な監督の一人。なので彼の作品を観ないという選択肢はない。
今作はエンターテイメントに振れた作品。別々の道を歩んできた二人が恋をし、お互いが大切な人となるも、それぞれの使命を全うするために……
極限状態に置かれ死と直面したときに思うのは大切な人。ヴェンダースのフィルモグラフィにこんなロマンティックな作品が加わるなんて素敵じゃないですか。
絶景に息を呑み、ヴィキャンデルの少年のような笑顔と肢体に萌える。
この監督らしい知的恋愛映画
ばっくり言うと、仕事で訪れた異国の滞在先で偶然出会った男女が運命的な恋に落ちるが、滞在先を去る時が来て、再会を約束して別れる、という既視感のある内容。ただ出会ったのが、女性は深海を焦点にしている海洋生物学者、男性はイスラム国へ潜入するMI6という、本来なら共通点ナシの2人で、深海を研究することやイスラム信仰などを織り交ぜているところがこの監督らしい。また出会った当初は女性上位なのも面白い。
アリシア・ヴィキャンデル、ジェームズ・マカヴォイという配役も良くて、後からじわじわと思い出される映画になると思う。
美しい風景と閉塞感
主役2人の持つ、高い職業意識に裏打ちされた知的エリートっぷりと持って生まれた美形さに、圧倒されます。ただただ絵になる二人なので惹きつけられます。共感はしづらいけど。これこそ大スクリーンで見るべき作品でしょう。
離れた二人の居場所は共に、スケールの小さなレジャー気分の人間には決して近づけないところです。それぞれがお互いの短い逢瀬を反芻しながら過ごす時間の閉塞感を救ってくれたのは、地球規模の風景でした。
男女平等参画社会、原理的宗教持つどうしようもない暴力性、懐の大きい自然への畏敬と人間の科学的挑戦心、、、、現代社会を俯瞰した時に無視できない要素を背景に、今一番可能な悲恋を見せてくれたのだと思います。
ラストは各人の想像力に委ねられているので、尻切れとんぼとは思いません。
二人とも、背景の家族関係は出てきません。その意味で、全体的に抽象的な世界観が醸し出されていました。
『パリ・テキサス』の次位に好き。
多くの命が失われたノルマンディの小さな海辺のホテルで出会うべくして出会った二人、やがてそれぞれの場所で人生の終末を思う。
世界に繋がる海… 深海と言う未開の地で共鳴する二人のミステリアスで哲学的なストーリーに魅せられました。
ベンダース作品の中では『パリ・テキサス』の次位に良かった。
2つの世界の果て
ヴィム・ベンダースはさておき、アリシア・ヴィカンダー目当てで鑑賞です。「エクス・マキナ」のアンドロイドや、「ジェイソン・ボーン」のCIA局員など、知的な役柄がよく似合うが、本作でも研究者の役。調べたら、本作は昨年公開の「トゥーム・レイダー」の前、2017年の公開だったのですね。相変わらず、お美しい。個人的には、ナタリー・ポートマンの後釜というイメージなのですが。
といった背景はありつつ席に着いたのですが、気づいたらジェームス・マカヴォイに目を奪われた。「スプリット」や「X-MEN 」が印象強いが、「アトミック・ブロンド」のスパイ役が好きだったので、本作のスパイ役も期待どおり、いや、それ以上の出来だった。
ヴィカンダーとの馴れ初めのくだりも、ようやく普通の人間っぽい場面で、彼の良さがよく出ていた。次のジェームス・ボンドは、マカヴォイが良いのではないだろうか。
さて、ストーリーはよく練られていて、美男美女の恋愛を描きながら、お互い離れ離れ、しかも極限の状態に置かれた心情をつづる。厳しい環境の中、それぞれを想い、それを糧に困難を乗り越える。
海のシーンが多いが、美しい自然の画面から、寄せては返すメッセージが一定のリズムを刻んで、心地よく描かれる。ややテンポはダルな感じだが、風景画のような自然のシーンや2人の演技で、飽きずに最後まで観れた。アリシア演じるダニーの話、マカヴォイ演じるジェームズの話、2人の恋愛の話の3本分の話を、単なる恋愛ドラマで終わらせずに詰め込んだところが、本作の面白さだろう。
男目線の、男の苦しさと虚しさと弱さと強さを描く
背負ってしまった男の生への執着心を描く。徹底的に大人のオトコ目線の映画。
死ぬときはオンナに看取って欲しいよねというオトコの根源的な欲求を描く。
アリシア・ヴィキャンデルが相変わらず官能的
山本美月似のアリシア・ビカンダーが軸
映画の最初がロマンスで、残りはほぼイスラム武装勢力の過酷な虜囚生活でしょうか?イスラムテロ組織について、「彼らは姿を変えた我々の姿だ」と語るなど、アメリカ政府の十字軍的な一方的な断罪を否定する一方で、悪名高い"石打ちの刑"など偏狭な価値観のイスラム武装勢力の、思想警察の残虐さをこれでもかと描写します。綜合すると、アメリカの善悪とは違うヨーロピアンな共同体意識の価値観を考えさせられる、今の時代に相応しい映画です。やっぱり「愛」ですが、単純じゃないところが良い。
複数の深遠なテーマを絶妙にブレンドした見応えのある作品。ジェイムス・マカヴォイのベストアクト作でもある。
原題 Submergence 水没 私は邦題もセンスが良いと思う
お互いの機知と知性に惹かれ合い、あっという間に深い恋に落ちる男女。ノルマンディー海岸沿いの瀟洒なホテルでの数日はあっという間に過ぎ、それぞれの世界の涯ての責務に赴くのだが・・・。
水をキーワードにその後の二人の姿がシビアに哀切に描かれる。特にマカヴォイ演じるジェームズの過酷な境遇はリアリティー感が凄い。
ラストは解釈を委ねられるが、実に美しいシーンである。深海の風景や殺伐としたソマリアの風景も見応え抜群である。
色々な見方があると思うが、私はこの作品は二人の男女の美しいラブストーリーと感じた。近くには居なくても、厳しい責務を遂行する中、お互いを想う気持ちが、きちんと描かれているからである。
巨匠 ヴィム・ヴェンダースは健在であった。
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