「夏休みの甘酸っぱさ漂う前半と、恐怖全開の後半とのギャップが凄い」サマー・オブ・84 かちかち映画速報さんの映画レビュー(感想・評価)
夏休みの甘酸っぱさ漂う前半と、恐怖全開の後半とのギャップが凄い
性欲バリバリ思春期の高校生たちが探偵となり殺人鬼に迫る話。青春×ホラーの融合。夏休みの甘酸っぱさ漂う前半と、恐怖全開の後半とのギャップが凄い。面白かったポイントは2つある。
1つめは、「デイビーの証言が真実か嘘か読めない」こと。
デイビーが妄想癖ということもあり、証言が本当かどうか分からず常にハラハラさせられた。マッキーが犯人ってのはデイビーの勘違いで、実は他に真犯人が居るんじゃ...と思いきやデイビーが正しくて驚き。シャベルとかTシャツとかデイビー視点からのマッキーの行動がいかにも犯人です、みたいな感じだったから逆に裏をかかれた。今考えると「冷凍保存したいくらい」って発言と、電話借りようと家にあがろうとするマッキー怖いな。それにしても証拠品うっかり残しちゃうマッキーさん、間抜けすぎませんかねぇ...。
デイビーの両親はもっとデイビーの話を聞くべきだったね。一方的にウソだと決めつけるのはよくないよ。最後デイビーの推理が正しかったと分かった時の、周りの英雄扱いが気持ち悪い。両親とか今まで信じてなかったくせに、デイビーが正しいと分かった途端に手のひら返すなんて。
2つめは、「人はそう簡単に本性を出さない」というのを考えさせられた。
もしかしたら、殺人鬼ってマッキーみたいに一見人当たりがよさそうな人なのかもしれない。TVでみる殺人鬼の写真とかも「え、この人が殺しをやるなんて」みたいな雰囲気の人が多いし。今のご時世、殺人鬼が隣人ってありえるから他人をそう簡単に信用できないわ。
マッキーが本性むき出してからの森の鬼ごっこはホラー。デイビー追い詰めた時の「俺は必ず戻ってくる。その時まで怯えて暮らすがいい」ってセリフが怖かった。あそこでデイビーを殺すことも出来たのにあえて野放しにするとは。それほどデイビーが欲しかったのか、お楽しみは最後に取っておきたかったのかね。マッキーやられてハッピーエンドかと思いきや、捕まらず逃亡したのはモヤモヤする。不気味な余韻。人の本性は暴こうとせず、そっとしといた方がいいのかもしれない。
ちなみに、俺の本性は誰にも見せたことはない。家族、友人、恋人にでさえも。みんなは誰かに本性を曝け出したことはある?