「実在の事件をネタに映画を撮る話の映画、ややこしい・・。」盗まれたカラヴァッジョ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
実在の事件をネタに映画を撮る話の映画、ややこしい・・。
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未だ真相不明のカラヴァッジョの名画「キリスト降誕」盗難事件を題材に映画の中に入れ子したロベルト・アンドー監督の推理によるセミ・ドキュメンタリー風のミステリー映画。
当初からマフィアの関与が噂されていたが監督は独自に関係者に取材したようです。
絵を盗まれたサン・ロレンツォ小礼拝堂はシチリア島のパレルモにあり、監督の生地だそうで事件当初から関心が高く、美を踏みにじるマフィアの所業が許せなかったそうです。
なぜ、劇中で盗難事件を入れ子の映画にする必要があったかは疑問ですが、関係者を誘き出す為と映画界は熟知しているのでトリュフォー監督のように映画の映画をいつか撮ってみたかったと監督は語っています。(フランソワ・トリュフォー監督「アメリカの夜」、1973年)
カラヴァッジョはバロック絵画の革命児で写実と大胆な明暗の手法は有名ですがイタリア人ほどの思い入れは薄いですし事件のことも知りませんでしたのでこの話が傑作と劇中で絶賛されるほどには思えず奇妙なプロットと言う程度の印象、黒幕のミスターXが年寄なのに007顔負けの凄腕というのも違和感、実は○○だったというベタな話にする為とは・・。マフィアに弱みを握られ右往左往する政治家などは強烈な皮肉ですね。
イタリアは美人女優の宝庫なのに実に地味なキャスティング、オールドミスという役柄上の性格からなのは分かりますが物足りません。映画通が見れば画期的な手法なのかもしれませんが妙な入れ子構造のせいで純粋なミステリー感は薄まった気もします。要はロベルト・アンドー監督の作風ですので好みの問題でしょう。
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