「幸福論」夏、至るころ 玉川上水の亀さんの映画レビュー(感想・評価)
幸福論
女優の池田エライザさんが原案&初監督を務めた本作は10代で上京した自身の経験を基に、豊かな自然の福岡県田川市を舞台に、2人の男子高校生が自らと向き合って幸せな人生を歩むべく、葛藤していく様を繊細にリアルに描いていく。
主人公の大沼翔は今まで幼馴染みで親友の平川泰我の後を金魚のフンのようにくっ付いて歩んできたが、高校3年になって泰我が受験勉強に専念すると言って一緒にやってきた太鼓も辞めてしまう。
人生の羅針盤のような泰我と一緒に歩むことが難しくなった翔は大いに惑い、これからの行く末に悩む。
本作では歩む道が分かれる2人が、そのことにどう考え、どう行動していくかの顛末を、彼らの周りの人々のドラマを交えて描いていく。
そのドラマでは何度も「幸せとは何か」という問い掛けが出てくる。
それは緑の鳥であったり、或いは2本の煙突であったり、またはパプリカのピクルスであったり、そしてパートナーの横顔であったりする。
監督の若い頃の分身のような不思議な少女・都が、この葛藤する2人の高校生の心に波紋を投げ掛ける役割を果たしているが、紆余曲折の末に彼らは或る決断をしていく。
2人がその迷いを吹っ切るようなラスト近くの夏祭りでの和太鼓の力強いパフォーマンスが心に残ります。
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