「表情筋の戦い」工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 前世は焼き鳥屋さんの映画レビュー(感想・評価)
表情筋の戦い
1990年代の朝鮮半島。北の核開発を探るため潜入した南の諜報員・黒金星。
実在するスパイとして唯一金日正と面会した、韓国史上最も「成功した」諜報員をベースにした話。これ、今季一番面白かった…!
アクションシーン一切なしの会話劇なのに130分間ずーっと緊張しっぱなし。
(韓国語分かれば猶更おもろいんだろうな…)
なんてったって主演のファン・ジョンミン(気付かんかったがコクソンの祈祷師役)と、南の主人公イ・ソンミンとの表情合戦が凄まじい。
ファン・ジョンミンの役柄的には「自分はスパイではなく一商人」という自己暗示をかけなきゃならん役だけど、同時に(観客に対しては)スパイとしての心情もきっちり表層化させなきゃならないという、半ば無理ゲー的パラドクスを絶妙な塩梅でやってのける。
その歪みを表すかのようにどこか崩した絵を散々積み上げておいて、ラストシーン、王道の構図で描かれる北と南2人の再会。もう号泣。
国家を超え個人として対峙するラストは極めてフィクション的でありつつ、案外あり得るのかもしれない…と思わせる強度がありました。
ずーっと喋ってるし、時代背景入ってないと置いてけぼり喰らう(観た後そうだったのか!ばっかり)けど、おススメです。
コメントする