劇場公開日 2020年9月25日

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「鏡に映る自分と、他人に映る自分と、同じなのかな?」甘いお酒でうがい 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鏡に映る自分と、他人に映る自分と、同じなのかな?

2020年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

一人は気楽だし、仕事も順調。衣食住は足りてるし、遊びも十分してきた。もうそろそろ恋をすることもないかな、と思い始めている独り身。これって、女性を描いているけど、独り者の男もこんなもの。一人で生きることは男も女もない。見映えの点では、歳をとった男のほうがやや分が悪いけど。新しいものに挑戦するよりは、かけがえのないものを守り続けた方が意味があると思っている。むしろ、思いたい。そんなささやかな日常。ゆきずりのアバンチュールも、自分を安売りしているんじゃなくて、まだ自分に魅力があるか確認したい。貞操を守るほどウブではないし。けして不幸じゃない。だけど、幸せというとそうでもない、かな。その絶妙なバランスが画面からにじみ出てて、なんだか泣けてくる。笑い顔を見ても、泣き顔を見ても、じわっと泣けてくる。でも、それは悲しみの感情とはちょっと違う。自分には、自分をわかってくれている若林ちゃんと岡本君がいる、ただそれだけの安心感から。で、この恋の結末は?とちょっと心が焦れる気分がなんか気持ちいい。たぶん川嶋さんを応援しているからかな。
そうそう、メールの誤送信した後のやっちまった感を出してる黒木華がめちゃくちゃ可愛い。泣いて喜ぶ黒木華もめちゃくちゃ可愛い。この子がいるだけで、川嶋さんの人生は拾い物。あ、やはりこの役、ジロウさんがやってもよかったんじゃないかな?でもそれじゃバカリズムの二番煎じになっちゃうか。

栗太郎