シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢のレビュー・感想・評価
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不器用な男が建てた石の宮殿が訴えかけてくるのは
死んだ妻に愛情のかけらも表すことなく、家を離れていく息子に別段別れの言葉をかけるでもなく、ひたすら、寡黙に、フランスの田舎道を行き来する郵便配達人。しかし、彼はある日、山道で見つけた風変わりな石のかけらを発見したことから、そんな人生への、家族への償いの気持ちを投入するかのように、石の宮殿の建設に没頭する。途中、神はさらに過酷な運命を彼にもたらすが、得られなかった普通の幸せや、家族との団欒の代わりに、遂に完成した宮殿は人々の目の前にそそり立つ。理論ではない建築物の圧倒的な存在感と、人生に於いてはすべてが平等だという真実が、深く胸に突き刺さる実話の映画化。不器用にもほどがある男の生き様は、器用さが重宝される今の社会への警鐘とも取れる。
まさか宮殿が実在すると思わなくて驚いた。 不器用な父親の娘への変わ...
まさか宮殿が実在すると思わなくて驚いた。
不器用な父親の娘への変わらぬ深い愛情を感じて辛いシーンも多かったけど、良かった。
フランスの美しい景色がたくさん見られたのも良かった。
可愛い人達
シュバルを始め、回りの人々が皆んな良い人で愛すべき人達。
実際には周りからは奇異な目で見られた様だが、妻なんてシュバルには勿体無いくらい可愛いくて素晴らしい人。男のロマンは女の不満、と思っていたが何と理解のある。
子供達も可愛いらしい。それだけに二人の死は悲しく辛い。特にアリスの死は堪らない。
たった一つの石から一途にあの様な建造物を作り上げたシュバルには感嘆するしかない。
周りの風景も素晴らしく、いい映画みたなぁと思える一編。
「ものごとを成し遂げるには、頑固であれ」
最初に簡単に感想を書いてしまうとこれは、
「一途に思いを貫き通した男のロマン」の話だと思いました
対人関係に難あり(発達障害?)の主人公、郵便配達員のシュヴァル
「歩くことが好きだから」郵便配達員を選んだという彼
それが、望んでいなかったはずの子供誕生が、女の子だった事と
アンコールワットの記事や、転んで見つけた変わった石をきっかけに、
この子が暮らす、おとぎ話に出てくるような宮殿を作ろう!と思い、
実行するのです
一歩一歩、歩む配達の仕事のように
ひとつひとつの石を積み上げてコツコツと・・・
それはもう、一途に頑固に・・・
娘アリスは最初、自分の好みではない宮殿を作ろうとする父親に反発
妻も全治一か月の怪我を負い寝込むシュヴァルに
「こんな事はもうやめて!」という
しかし、寡黙で妻曰く
「話さないけど、行動する人よ」のシュヴァルは行動する
毎日10時間郵便配達をして、10時間宮殿作りをして眠る日々
アリスは近所の悪ガキどもに、シュヴァルの作る宮殿を
「ヘンテコ宮殿」とからかわれ嫌がるが、むしろそのことで
父親の不器用な愛情表現を受け入れていこうと気持ちが
変わっていく
妻も、「男のロマン」に生涯を捧げる意思が変わらない夫に
寄り添っていく
昔亡くなった前妻の息子、成長したシリルとシュヴァルが再会
少しづつ、ふたりの距離が近づいていく
宮殿作りが人々の噂に上って、新聞記者の取材があったり
(「ロマンから来ました」には笑ったw)出来上がりの形が
見えてきた所で写真撮影(当時は一日5枚しか撮れなかった)が
行われて、シリルとシュヴァルが一緒に写って、最初距離が
離れていたのに、次は距離が近くなっていて、そんな所に
ふたりの距離感が変わった事が暗示されていて
じんわり良いシーンだな・・・と思いました
派手さはないけど良い場面が沢山ある映画です
冒頭
郵便配達の為に歩くシュヴァルの後ろ姿から、物語が始まる
はっ、と意表を突かれたさりげないオープニング
前妻を亡くしたシュヴァルが、配達途中で山道や田舎道を黙々と歩いていて
美人でよく気がつく女性とぎこちなく言葉を交わし、水を振舞われる
「この先は上り道だから(のどが渇くでしょう)」
次のシーンで彼女が寡婦である事を知り
次のシーンで、仲良く長椅子に腰掛け話をし
次のシーンで、彼女が花嫁衣裳を着ているので
(あぁ・・・結婚したんだな)という事が分かる
そして妊娠
大きなお腹を撫でている妻を家の窓の外から覗く夫シュヴァル
次のシーンで、子供が生まれている・・・とまぁ
話の展開の早い事w
無駄なシーンがなく、言葉少なに多くを語る系の映画で
セリフは少なめ、説明的なナレーションは一切入らない
なのに「出会い」「結婚」「妊娠」「出産」「娘にひとりよがりな
宮殿の夢を語る父に娘が反発」「しかし、そんな父親を受け入れるようになる娘」
「咳をする娘」(死亡フラグ)
「シュヴァルの悲痛な叫び声が聞こえて、その場にいないのに
娘の死を悟る母親」「絶望するシュヴァル」「息子と再会」「不器用に
繋がる父と息子」「息子が自分の娘につけた名がアリスで、シュヴァルは
亡くなった自分の娘アリスの思いを重ねて、失意の思いを乗り切り
宮殿完成までこぎつける」「33年がかりで完成させた宮殿で、それまでの
人生で見送った娘と妻と息子たちと、「一緒に眠る」というシュヴァル、
孫娘アリスが完成した宮殿で結婚する場面で、「王子様と結婚」したんだな
・・・長年の自分の夢が叶った・・・と、こと切れる
・・・ここまでの流れが、過不足なく、
視聴する側が、自然に飲み込めていく話の作りはすごいの一言
だって、画面に成長した息子や孫娘が現れた瞬間に、彼らが誰だか
わかるんですよ 何の説明もないのに
寡黙なシュヴァルの、たった一言で気持ちが分かる
(わかり辛い所は妻が一言フォローを入れる・・・
あぁ・・・この妻は、夫の事をよく理解しているんだと思える)
娘の為に、宮殿を作ると決心し、身を粉にして頑張る父親
息子の為には何もしていない
そんな父親に、認めてもらいたくて遠い所で頑張ったであろう、
立派な店を開くまでに成長した息子シリルの言葉少ない話に
シュヴァルが興味なさそうに、
宮殿作りの為の石を郵便配達のバッグから取り出した後
一言ぼそっと
「よくやった」
この時の、シリルの
抑え目な表現だけど、感無量・・・みたいな一瞬の表情が
それまでの人生と父親への思いの深さを髣髴とさせる
そんな、ぐっと胸に染みる場面が多いです
特筆すべきは、優れた演技の俳優陣と絶妙なキャストや脚本
主役が別の俳優だったら、ここまでのクオリティーと説得力は
出なかったかもしれない・・・迫真の演技も勿論なのですが
彩度をやや落とした色合いの映像
絵画のような美しい風景の数々
これも見どころ
プロジェクターの大画面で観られて良かった
エンディングで、これは実話と初めて明かされます
あまりにも物語としてよく出来ているので脚色多いんだろうな~
と思いつつ
監督は、これを「男のロマン」映画として撮りつつ
ちゃんと女目線での見方も出来て作っているなぁ・・・と感じました
女たちが、絵に描いたようにものわかりがよく優しい「いい人」
ではなく、地に足の着いた、現実的に物事を感じ、とらえる事の
出来る、その上で人物の魅力があったのがとても良かった
シュヴァルの夢は「彼の夢」
彼は、死にゆく妻に「この宮殿はおまえのものでもある」と
語るのですが
妻は、夫の(自分が良かれと思ってやった事だから、家族にも喜んで
もらえるに違いないという)思い込み(男のロマンは大抵の場合
ひとりよがり・・・そして、男の愛情表現は女が好む「共感」よりも
「行動」であったりもする)と、
郵便配達員のままで一生を終わりたくない気持ちがどこかにあって、
娘の為と言いつつ何か人生を賭けて大きな事を成し遂げたいという夫の願望を、
わかった上で、そういう生き方しかできない夫を
受け入れたんだと思う
「おまえのものでもある」という言葉は、自己満足的だと思うけど
それでも妻は、死の際で繋がれたような気持ちがしたんじゃないかな・・・
観終わって、号泣するタイプの映画ではないです
でも、
胸の、奥深い所にずっしりと
根を下ろしたような、深い・・・染み入るような感動・・・
この映画は、あらすじや結末わかっていても
一見の価値ありです
ひとりでも多くの人に見ていただきたい
ずっと・・・
記憶に残る、一作になると思います
*********
映画の中で
シュヴァルが自身の作った宮殿の中で刻んだ文字が
「ものごとを成し遂げるには、頑固であれ」
だったのを思い出しました
感想、いろいろ書いたけど
結果(宮殿の完成)が出せたのは良かったと思う
タイトルなし
ジョゼフ·F·シュヴァル [1836-1924]
フランス南部田舎町の郵便配達人
何キロも歩いて郵便を届ける毎日も
『配達中。歩きながら夢を見ている。
空想に浸る時間は楽しい。』
その空想は
石を集め運び一つ一つ積み上げ
33年の歳月をかけ
たった一人で完成させたのは宮殿
「シュヴァルの理想宮」
(Palais idéal du facteur Cheval)
感情を表にださない
愛情表現を知らない
寡黙な男シュヴァル
周囲から「偏屈」と思われているが
彼は心が美しく善人
優しく強いフィロメーヌが寄り添い
彼女の支えがあり
数々の苦難に心を痛めながらも
宮殿を作り続ける
.
美しい景色·家族の愛情
家族のために作った宮殿
シュバルの表情を観ているだけで
涙が止まらなくなる
二本立て二本目。 「目標を達成するには頑固であれ」 蓋し名言。今回...
二本立て二本目。
「目標を達成するには頑固であれ」
蓋し名言。今回は偉人(変人)特集の模様。
主人公の生活、行動に少々違和感。単なる頑固を通り越してる気もした。
・即再婚、娘誕生。することはする(笑)どうやら偉人はお好きなようです。
・娘溺愛。息子は?孫も娘と同じ名前の方しか可愛がってないような…
・主人公の家族には究極の不幸が次から次へと襲ってきます。
偉かったのは寧ろ奥さんだったような気がします。それにしても凄い建造物ですね。やっぱり偉人(変人)
変人は偉大
高知市の手作りマンション『沢田マンション』をTVで観た時にとても驚かされたのですが、シュヴァルの理想宮にも驚かされました。正しく、やる気があれば何でもできるを超越したかの様な建物。シュヴァルが変人扱いされていましたが、後世に残るのはやはり変人です。変人は偉大です。
不器用口ベタ男の究極のDIY
愛娘に何かを残すために奮闘する父親の実話――と書いてしまえばありきたりだが、その「何か」が宮殿というところにまずビックリ。
それも金に物を言わせてではなく、自ら石を運んで(それも、形が歪な物を選んで)DIYで作ってしまったというから二度ビックリ。
とにかくこのシュヴァルという人物が、不器用かつ口ベタ過ぎることこの上なし。それでも2回も結婚できるのだから、人生とは不思議。
決して性格が悪い人物ではない分、中盤以降に降りかかる様々な不幸が本当に気の毒。
『探偵!ナイトスクープ』の名物企画「パラダイス」では、独自で遊園地や戦車を作ってしまうような、ちょっとやり過ぎなDIYをする人が出てくるが、その多くは男性。中には、夫の没頭ぶりに呆れながらも、「しょうがないわね」と苦笑いして受け入れる奥さんが映る。
シュヴァルの宮殿づくりも偉業なのは間違いないが、その影に奥さんの内助の功があった事は忘れてはいけない。
後半部でちょっと間延びする部分もなくはないが、少々物悲しげで切ないラストが余韻を残す。
この映画観て決めました。死ぬまで映画を観続けてやろうと!
何か一つのことに打ち込むことは大切。彼の場合、それが宮殿だっただけだ。しかし、郵便配達だけでも地球5周分配達して回ったわけだし、その上に毎日10時間も費やすなんてのは凄すぎる。かかった年数33年。アリスのために作り始めたのだけど、幼くして不幸にもアリスが病死してしまい、その墓を作るのにも8年かけているのです。
そんなシュバルも前妻を亡くしたときに息子シリルと生き別れ。なぜだかわからなかった序盤の出来事だったのですが、仕立屋の丁稚奉公してたのですね。独立できるようになってから戻ってきたときには涙が出てきました。寡黙な父だっただけに会話も少なかったのですが、それでも父や義妹アリスのことを愛していたことも伝わってきます。まさかの孫にまで・・・といった感じで。
19世紀半ばからの長い年月の物語だっただけに、周囲の人もどんどん亡くなっていきます。戦争が始まったと聞いたときには、まだまだ不幸が続くんじゃないかとヒヤヒヤさせられましたが、そこまでは描かれず。彼の地道な努力が世界遺産クラスにまでなったことに感動でした。建設途中の建物がニセモノなんだろうけど、それでも美術さんは大変な苦労だったのだと思います。
真摯に生きる、という事
について、改めて考えさせられる映画でした。
この宮殿の事をそもそも知らなかったからか、
役者さんが演じているというより、実際の映像
を見ているようでした。
利発で愛らしい娘アリスと主人公のやり取り、
ラストシーンの美しさが心に沁みました。
宮殿、監督、本人かのように演じた俳優さん
を知りたく、パンフレットを購入 (^^;
まるで絵画のような映像美でした。
美しい映像
アンコールワットに魅せられて作った自分のお城。そんな趣味の世界を描いたふわっとしたイメージで観に行ったら見事に覆された。
真面目で無口な郵便局員の根底にある不器用で、でも深い愛情。
途中で不意に訪れた不幸に、涙が止まらなくなる。
考えられないような長い距離を、毎日黙々と歩く道の映像は、フランス映画だけあって光と影のコントラストがただひたすらに美しい。
彼が残した建物に、家族との愛情が絡まって、痛いくらいの繊細さを感じることができた。
久しぶりに心に染みる作品に出合えました。
エンドロールが終わるまで動けなかった。
人の心の底深くを見抜ける女性が存在したのだ。
それだけで充分だ。
周りの風潮に流されず黙り続ける男。自分の気持ちを口にできない男。世の中の人々は後者を選び、彼を嘲笑い僕はまだ大丈夫だと安心する。他者と比較することでしか自己評価できない。どちらが不器用なのか分からなくてなってしまう。
夫を亡くしたばかりの彼女がシュヴァルに話しかけたあと友達に彼のことについて話をするシーンに釘付けになった。
絶好調の時には人は集まって来る。でも、大切なのは自分がどん底にいる時、誰が側にいるのか…
この映画はそんな大切なことを感じさせてくれた。
やはり生きていくうえで大切なことは女が教えてくれる。
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