劇場公開日 2019年11月8日

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「チューイングガムのように」グレタ GRETA KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0チューイングガムのように

2019年11月13日
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鑑賞方法:映画館

拾い物は駅員または警察へ。
知らぬが仏、触らぬ神に祟りなし、親切心は命取り。

寂しさをたたえたグレタの瞳に吸い込まれ、うっかり好きになりかけてしまった。
似た寂しさを抱えるフランシスが彼女の中に母を見て慕ってしまうのも分かる。

グレタの異常性はわりと早い段階で示される。
棚に並んだ大量のブツ、一目見てわかる彼女の目的と手段。
さあこれからどんな悪いことが起きるのかしらとワクワクゾクゾクした。

期待通りエスカレートするストーキング行為には絶妙にリアリティがあり、音楽の効果も相まってかなり怖い。
レストランのシーンは衝撃だった。
周りの知らぬ存ぜぬな態度と何もしてくれない警察への苛立ちも含めて。

ただ、だんだん見え見えになってくる展開と、面白そうな要素が全然活かされないことへのストレスが増してくる。
箱に閉じ込められた時は本気で息が詰まって恐怖満載だったのに、一瞬で出されてその後全然活用しないのはいかがなものかと。
ベッドに縛り付けてもガタガタうるさいし、放置プレイ確定なら箱にしまったままにすればいいのに。
カムバック絶望感。

娘のエピソードはもっと掘って欲しかったし、カウンセラーの女ももっと使って欲しい。
グレタの正体を暴ける良い機会だったのに。
実の娘にも発揮されていたその異常な執着を詳しく聞きたかった。

フランシスの不用心さもあまり好きじゃなかった。
夕食時の強い拒絶はちょっと不自然で無鉄砲過ぎる。
態度を豹変させるんじゃなくて上手く理由つけてフェードアウトすれば良いのに〜と思ってしまった。
まあそうしたところで未来は変わらなかっただろうけど。
ただ、立場が本当にマズくなってからのちょっとした機転と行動力には昂った。クッキー美味しいね。

前半で感じた興奮がことごとく萎んでいく悲しさはあれど、グレタの魅力はやはり強い。
品のある気持ち悪さを常に保ち、映画全体に流れる空気を支配していたように感じる。
画面のどこかに彼女が立っていやしないかと、フランシスやエリカが映るシーンではついつい後ろの方を気にしてしまった。

チャラチャラして見えるエリカの強さも好きだった。
腸内洗浄の話は詳しく聞かせて欲しいし、彼女の人となりをもっと知りたい。キャラが面白すぎる。
タイプの違うフランシスとどう友達になったんだろう。
そして役立たずの父親よ…。お金持ちで羨ましいな。私にも綺麗なお部屋買って頂戴。

映画としては微妙だったけれど、やっぱり自分に起きたらと思うとたまらない。
私には一緒に暮らしているギャルな友達もいないし、マンションの防犯性はアホみたいに低い。
次に引っ越す時はマイカ・モンローと一緒、もしくはマイカ・モンローの隣の部屋に住みたい。

KinA