劇場公開日 2020年10月2日

「写真と家族と。」浅田家! まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0写真と家族と。

2020年10月20日
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近年まれに観るとても良い家族映画だった。
実際にいる、家族写真を撮る写真家・浅田政志の実話を元に作った映画。そもそも浅田さんという人間の写真愛と家族愛、人間愛が凄くて、人柄・才能・魅力が凄くて、この人の人生がもうドラマや映画みたいなんだなと思った。
主人公の政志は浅田家の次男として生まれて、小さい頃から写真の好きなお父さんの影響もあり写真家への道を歩み出すが…その後色んな苦悩や希望や出会いがあり、物語が進んでいく。最初の家族写真のくだりのパートと東日本の震災によってまた違う面で写真と向き合うパート…どちらも良いんだこれが…。
写真という才能や物語の起承転結で起こるエンターテイメントとしての出来事を差し置いてもまず主人公が魅力的なので、その時点でこの人の先をどんどん観たくなる。例えるならこの世界の片隅にのすずみたいな感じで。
そして政志だけじゃなく、浅田家という家族自体の魅力も凄い。家族を支え看護師として働くお母さん。その為に主夫として生きることを決めたお父さん。まずこの夫婦のバランスが良いんだ…。お母さん・お父さん、としての役割も全うしつつ、自分のしたい事や好きなことにも割と正直だし子供や家族との接し方や考え方も愛情が溢れてるけどそれだけじゃない感じ。魅力や可愛らしさもあるし、すごい素敵だったなぁ風吹ジュン・平田満。そして兄ちゃんを演じた妻夫木…。弟政志に振り回されるけど人一倍家族への愛が強くて、兄としての考えもちゃんと伝えられる人ではあるんだけど結局みんなの言う事を聞いてあげちゃう優しい性格。妻夫木って、「優しい人」「振り回される人」「情けない人」を演じさせたら普段の自身の人柄もめちゃくちゃ滲み出てくるからそこがまた良い。そこにプラスして、「兄」役だよ…。「ぼくたちの家族」とか「若者たち2014」とかさ、兄ちゃん役が似合い過ぎる笑。それは決してかっこいい兄貴!て感じな兄貴ばかりじゃないんだけど、兄としての立ち位置がしっくりきすぎる。そしてニノ…。演技力は勿論だけど、自由奔放な感じとか才能持ってる感じとか、弟感とか、全部当てはまってる上に、人間を惹きつける浅田さんという写真家の魅力が体現できるキャスティングだなぁと思った。あと単純に20代〜40代を違和感なく演じてるニノも妻夫木も、役者としての実力的なところも含めて見た目が老いを感じない…笑。
幼馴染みを演じた黒木華も、政志が写真洗浄で知り合った青年を演じた菅田将暉も、実在の人を演じてはいるんだけど、本当にナチュラルで、そして変な話作品自体を良い意味で面白く深くしてくれてめちゃくちゃ良かった、人間としての魅力がじわじわ出て来て何度も感動した。
全体を通して強く感じたのは、写真というものの価値や魅力を再認識したところ。私は写真に関してあまり詳しく無いし、私のお父さんも浅田政志さんと同じ職であり浅田父のように家族の写真を撮るのが大好き人間だから、小さい頃から撮られすぎて随分長い間お父さんから撮られるのがウザったい時期があったけど、この映画観て色んな箇所で写真撮影にまつわる共感や同感や気付きが沢山あって、普段の感動作の映画を観ている時よりも妙に感動して泣いてしまって、それが凄く恥ずかしくなった…。けど、「写真」という媒体の良さと、「家族」というグループの良さが嫌味なく詰め込まれているこの映画は、皆が愛おしいと思える作品だと思いました。

まつこ