「因果応報 合縁奇縁。 地獄・恐竜・法廷・歴史・人情、エンタメ全部盛りな娯楽超大作!!」神と共に 第二章 因と縁 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
因果応報 合縁奇縁。 地獄・恐竜・法廷・歴史・人情、エンタメ全部盛りな娯楽超大作!!
四十九日の裁きを題材にしたファンタジー・アクション映画『神と共に』シリーズの第2作。
怨霊となり騒ぎを起こしたキム・スホン。本来ならば即消滅させられるところなのだが、カンニムは彼が「無念の死」を遂げた事を主張し、裁判を受ける権利を要求する。それを聞いた閻魔大王は、開廷と引き換えにある条件を提示する…。
○キャスト
カンニム…ハ・ジョンウ。
ヘウォンメク…チュ・ジフン。
成主神…マ・ドンソク。
ウォン・ドンヨン…ド・ギョンスa.k.a. D.O.
韓国人の半分が観たとすら言われる歴史的大ヒットシリーズの2作目。
前作『罪と罰』(2017)は正直ハマらなかったのだが、今作は良い!!人情噺から法廷劇、時代劇に恐竜パニックと、ありとあらゆるエンタメ要素を詰め込んだ、娯楽の王道を征く快作!見事!
エンタメ全部盛り感、そして過去と現世を行き来する壮大な物語構造は、『マガディーラ 勇者転生』(2009)や『バーフバリ』シリーズ(2015-2017)などの、インド映画界の雄S・S・ラージャマウリ監督の作品を思い起こさせる。
本作は間違いなくラージャマウリ監督作品の影響化にあると思うのだが、ただ真似をするだけでなく、自国の歴史や現代社会の暗部と向かい合いそれを物語に加え入れることで、他に類のない独特かつ確かな強度を持った映画となっている。返す返すも見事な映画である。
本作を観ると、前作が序章に過ぎなかったことがよくわかる。完全に今回が本番。
前作で散りばめられていた伏線が本作で一気に回収されるわけだが、そのいずれもが予想を上回る衝撃を与えてくれる。
なんだかんだで人情味に溢れる人だと思っていたカンニム様が実は…とか、生意気なオレ様キャラだったヘウォンメクが実は…とか、生真面目で誠実そうな青年だったキム・スホンが実は…とかとか、前作で固定されたキャラクターに対する観念が良い意味でガラッと覆される。
こういう物語になるとは予想もしていなかったので、続編でありながら全く新しい映画を観たかのような新鮮さがあった。
新キャラクター・成主神が本作の面白さを大きく底上げしていることは言うまでもない。
マ・ドンソクはいつだって素晴らしいが、今作のMVPは間違いなく彼でしょう。実はかなりシリアスな物語なのだが、マ・ドンソクがコミックリリーフに徹してくれたおかげで、爽やかでコミカルな、とてもとっつき易い映画になっていたように思う。
神様なのに株とかファンドに手を出し、挙句大損こくというダメすぎるオッさん。マブリーの見た目も相まって、確かに漂うこち亀感。ファンドは絶対上がるんだよ!!
惜しむらくは今作で彼が消滅してしまったこと。次回作の構想もあるようだが、ヘウォンメクとのお笑いコンビをもう見れないと思うととても悲しい…😭是非とも成主神を復活させてくだされ閻魔大王さま〜。
前作の死者キム・ジャホンが常にメソメソウジウジしていたのに対し、今作の死者キム・スホンはさっぱりした男。なんたってこれ以上苦労するのは嫌だから生き返りたくないと言い切る男ですからね。
この辺りから、「ヘルコリア」と言われる韓国の窮状を窺い知ることが出来る。成主神も韓国の現状に対し批判的な発言をしていたし、娯楽大作に見えて実は結構ポリティカルな内容ですよねこの映画。
スホンがさっぱりした性格だから、映画自体もなんだかカラッとした印象を受ける仕上がりに。前作のお涙頂戴なジメジメ感が嘘のよう。前作にはハマらなかったという人にこそ今作を観てほしい。マジで全然違うから!
映像面の美しさも見どころの一つ。
今作では1000年前の高麗と女真族の戦が描かれるが、この時代劇パートの美しさがとにかく素晴らしい✨
耽美的でありながら、ちゃんと泥と血の匂いが画面から漂ってくる。
この時代劇パートだけで2時間観たい!そう思えるほどの満足感でした。
一方、ストーリー的にはツッコミたいところも多い。
カンニム様、おめぇ自分のことばっかりだな!
1000年前の宿業に焦点が当たり過ぎていて、スホンの裁判がめちゃくちゃおざなりになっていたのは否めない。クライマックスとか、完全にスホンは添え物扱い…💦
それに、カンニム様に1000年間の罰が下されるのは良いとしても、ヘウォンメクとドクチュンは完全に巻き添えじゃね?
爺さんの寿命の件も何だかモヤモヤ。小学校卒業までは生かしておくって、そのあとはどうなんのよ。それって解決になってるのか…?素直に里親探したりした方が良かったんじゃね?
とまぁ、ツッコミどころは正直めちゃくちゃあるが、全体の面白さを損なうものでは無いからOKOK。
とにかく勢いが凄まじく、観客を楽しませようという活気に満ちている。
ちょっとランタイムが長く、中弛みするところもあったものの、概ね最初から最後まで楽しみながら鑑賞する事が出来た。
たった2作品しかないにも拘らず、シリーズ累計観客動員数は2700万人越え。超絶大ヒットも納得の、見事なエンタメ大作でした♪早く続きを作ってくれぃ!!