山懐に抱かれてのレビュー・感想・評価
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人間ドラマ
長期間にわたる豊富な取材力を生かしたヒューマンドキュメンタリーで見応えがあった。
人間模様だけでも相当に惹かれた作品だったけれど、そればかりではなく、農業問題、家族問題、親のエゴなどなど、色々と考えさせられる事柄も多くて、集中力がずっと途切れることがなかった。
劇的なことが起こるでもなく、ある一家の小歴史が語られているだけの作品だけれど、何度も何度も訪れ丁寧に取材し続けたところがすごくよく見て取れるので、それだけで感動してしまう。
ただ、欲を言えば、あれだけナレーションを使い方丁寧に語っていたのに、終わりは何となく漠然としていて、少しだけ肩すかしだった。現在進行形なのは分かるけれど、多少エピローグ的な情報を欲するところ。
よく生き延びている、よく撮り続けている
金じゃない、モノじゃない、山地酪農への執念。それが家族を支え、家族愛を育む。70〜80年近くの時間的ズレを感じざるを得ない生活環境と苦労の中、よく生き延びてきたとしかいいようがない。
監督は、主人公の生き方に興味が湧き、生きざまに引き込まれていたから、撮り続けたのかもしれない。それは分かる。けど、それを認め続けているTV局の懐の深さ・広さにも敬意を表する。
幸せのカタチ
今も近くで生きている話であり、違う幸せの定義がそこにある。決して物に恵まれているわけではないが、そこには確実に自分が魅力に感じる幸せがあった。
子供も憧れるほど人を想い、ちゃんと向き合っている。
自分たちが失いつつあるものが、間違いなくそこにあるから惹かれるのではないか。
観る立場としては何より日頃の食事に感謝できるいい機会ではないか。
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