「主張と設定・描写の矛盾」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー れれれさんの映画レビュー(感想・評価)
主張と設定・描写の矛盾
「ゲームの世界だって本物だ!俺たちはそれを愛しているんだ!」
という主張のための設定が、記憶を消してVRでゲームの世界体験というのがなんとも腑に落ちません。それって「別人の人生を体験する」ことであって、「ゲームを楽しむ」のとは全く別の行いじゃないですか。ゲームはゲームだから楽しいんでしょうが。作りものだと分かったうえで感情移入できる、冒険できるのがゲームの素晴らしさじゃないんですか。
夢オチ的展開の良し悪し以前の問題で、テーマが破綻していると思います。
それに主人公の態度にも疑問があります。ドラクエ世界をめちゃくちゃ愛してて、主人公の人生を体験したいとまで思うくせに、「ビアンカばかり選んでいたからフローラ選ぶ自己暗示システム使います」って…そこは、自分が本当に主人公だったらどっちを選ぶのかも含めて、ドラクエ世界を体験しようとは思わんのかい!!!
他にも色々ありますが、台無しにされた怒りというより筋の通らなさにイライラしました。
また世間的には褒められているCGですが、確かにルックは悪くないと思います。
でもアニメ―ションは、特別凄くもないし、日常シーンの動作などはハッキリ言って良くはないです。
感情と演技が合ってないし、大げさな動きの割に魂が感じられない。モブの動きがあからさまに省エネ(ゲームだからわざと?いやそれだと余計にテーマと矛盾するのでは…)流石にヒロインに関しては気合が入っているのかそこまでおかしくなかったと思いますが。
雰囲気だけでディズニーレベルだ!と勘違いされる方は多いと思いますが、とんでもありません。むしろこのクオリティを褒め称えることで、日本の3Dアニメーションの限界ってこれなんだな、と思われないか心配になりました。