「私は未プレイで、ゲームクリアしてる人と見ました。」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー みやこさんの映画レビュー(感想・評価)
私は未プレイで、ゲームクリアしてる人と見ました。
私は全くドラクエに触れておらず、同行者がこの映画が酷評されていることから『逆に見たい』と言い出し、二人で見に行きました。(見てもいないのに批判するのは間違っている、とのことです)
私は粗筋を同行者から聞いた程度で、詳しい内容に関しては殆ど知らなかったため、純粋に映画としての感想を述べさせていただきます。
奇を衒う演出があったりゲームをプレイしている人にしか分からないような小さなネタがあったりして、全体的には【ドラゴンクエストを知っている人向け】という印象でした。だからこそ、どうしてあんな【ドラゴンクエストを愛している人が見たら落ち込むような終わり方】を選んだのか、非常に不思議でした。
作品としての作り込みは大変良く、ドラゴンクエストを冠していない作品だったら、もっといい評価を得られるのではないか、これをわざわざドラゴンクエストでやる必要があったのか、それを本当に疑問に思います。
この手法で、このやり方をするなら、オリジナルのシナリオで充分だったのでは?もしどうしてもドラゴンクエストである必要があるなら、初めから作品の進め方を示してしまった方が、余程理解があったのでは?
それこそ、主人公(この場合はゲームプレイヤー)を据えて、キャラクターとしてではなく、何がしかのバグでもなんでも構わないので、意志を持ったリュカと共にストーリーを進行させていくとか、そういう運びだった方が余程上手く受け入れられた気がします。
途中から、おかしいな?と思うところは幾つかありました。特に結婚のくだりとかは、同行者から聞いていた情報とあまりに一致せず、私はもしかして違う話を聞かされたのか?とすら思いました。あれは【プレイヤー目線】ですよね?それであれば、やっぱりこの映画に【リュカ】は必要なかったのではないですか?
例のシーンで、映画館は一瞬時が止まったように、息を殺したように静まり返り、私と同じように、恐らく原作を知らない人たちだけが呼吸をしているように思えました。楽しんでいる方もいらっしゃいましたが、それでもドラゴンクエストを好きだと言っていた同行者は『怖いもの見たさで見るものではなかったかも』と呟いていました。驚くほど落ち込んでもいました。
ああいう映画、と思えば、面白い、いい作品だったと思います。でも、ドラゴンクエスト、と冠していることを踏まえると、少なくともこの映画はドラゴンクエストではなかったのかな、とも感じます。
ゲーム自体は私もプレイしますし、ゲームと現実が別であることも理解しています。
しかし、少なくとも特定のゲーム名を冠しているのならば、徹底的にぶっ壊していくか、ストーリーをなぞらえるか、どちりかにすべきだったのかな、という印象でした。
でも、よく考えたら【ユアストーリー】ですものね、これは【ドラゴンクエスト】ではなく。
なんだか惜しい、もやもやが残るものになってしまいました。