「ニートのススメ」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
ニートのススメ
映像…☆4
脚本…☆2
ドラクエモンスター…☆5
「これだって現実なんだ!」…アホか。
こんな感じの感想だった。
兎にも角にも展開が早い!
その世界観を堪能する前にどんどん過ぎてく。背景は美しく、キャラだってよく動く…いや、あれは、かなり動き過ぎだ。
マウスも、舞台の芝居でも観てんのかと思うくらい大きく、わざとらしく動く。
まぁ、なんせその驚異的なスピードに、没入感は削がれ傍観者としとの立場を強制されるかのようだった。
要のCGは凄くクオリティが高かっただけに、こんな評価なのが残念でならない。
声優さんでやろうよ?
なぜやらないんだ?
あんなわざとらしいマイムをやらせておいて、声のスキルもないような俳優たちにやらせる必然はないだろう…。
話題性なのか、こだわりなのか…でも、それは同時に声優という職業への冒涜にもなり得るだろう。
声優のどなたかが言ってたよ。
「声優の露出が多くなるのは考えものだ。そのキャラの後ろに僕たちの顔が過ぎるのは、作品として良い事と思えないから。」
だそうだ。
その考え方とは真逆の今回。
やはり、キャラの後ろにそれぞれの顔が浮かぶ。正直、邪魔だ。
特徴のある声の人は尚更だ。
聞く頻度の多い声なら尚更だ。
円盤化する時には、洋画に吹替版があるように、声優版を熱烈に所望したい。
そして、今回の決め台詞…。
アレは容認できない。
現実の時間を費やしてはいるけども、アレは現実とはかけ離れてる。
現実ではない。
体験でもない。
ゲームをやり続けたい大人が、そうじゃない大人に向かって言う言い訳にしか思えない。
ゲームを提供する事においてビジネスのスタンスを履き違えないでほしい。
そここそがクリエイターとしての正念場であってほしい。
妙な理屈で正当化しないでほしい。
あんなものに賛同したり感化されたりするバカはいないと思うけど、子供にどう届くかまでは分からない。責任など持てないだろう?
それはダメだ。
現実との線引きを、制作サイドが越えてきたらダメだ。仮想空間は実現できても仮想現実なんて実現できてないんだから。ただの当て字なんだから。そこを抱き込んじゃだめだろ?現実から少し離れた逃げ場が主戦場だろう?そのスタンスは守らなきゃ。
あなた達こそが現実を蝕むウィルスと同義に成り果てる…そうじゃないだろ。
そしてコミニュケーション機能を携えたウィルスってのにも疑問はあるのだが、その機能をある天才が作為的に埋め込んだとして、考えられる動機は、ゲーム制作陣によるサイバーテロを防ぐ良識あるヒーローに思える。
仮想空間に入り浸る人間たちが「これは現実だ!」とわめく世界は正常だとは思えないからだ。
ゲームの中で結婚して子供が産まれる。
ただのデーターでプログラムだろ。
「擬似体験だ!」くらいなら容認のしようもあるが、「現実だ!」は常軌を逸してる。
そんな理念のもとに癒しや憩いを提供されてたかもと思うと、恐ろしくて背筋が寒くなる。
現実の時間を止めねばゲームをプレイしてもらえない。だからこそ、これも現実と一括りに認識させてしまえ的な危険思想の塊に思う。
ホントに心の底から落胆した。
ドラクエのモンスター達を嬉々としてプログミングしてたデザイナーやプログラマーに申し訳ないんだけど、こんな作品は見たくなかった。
「あなたの物語」
残念ながら共感したら負けだと思える内容だった。