「モヤモヤ感を払拭するためにもう一度観てきました」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー midoさんの映画レビュー(感想・評価)
モヤモヤ感を払拭するためにもう一度観てきました
最初に観た時の衝撃が頭が離れず、数日間引きずって辛かったので、
ミルドラースを笑い飛ばすくらいの気概で再度鑑賞してきました。
話題になっているオチについては最初に観た時と2回目に観た時でかなり印象が変わりました。
最初は「DQ5の原作を映画用にアレンジしたもの」という感覚で観ていたので、大切なDQ5の思い出を破壊されたという怒り・悲しみ・虚無感で一杯でしたが、
2回目は「DQ5の世界観を元に構築した別ゲームのプレイ動画」という感覚で観れたので、厨二病を拗らせたようなミルドラースの言動には何も感じず、素直に主人公の気持ちに共感出来ました。
個人的には、最初からVRのゲームと分かっていれば解釈違いによるストレスやラストの衝撃にも耐えられた気がします。
本当の気持ちに気付くシーンなど伏線はありましたが、「何これ?」程度で「DQ5の原作を映画用にアレンジしたもの」という感覚から抜け出すことはできませんでした。
2回観て「共感した」「この展開もアリ」と仰っている方々の気持ちを理解できましたが、もう少し良い表現方法が無かったのかと残念で仕方ありません。
以下、2回観た感想です。
> ストーリーについて
面白い!ワクワクした!感動した!というよりも、なるほどこういう展開にしたのね、といった印象です。DQ5の主要エピソードがベースになっていますが、詰め込みすぎて1つ1つのエピソードが薄っぺらく感じました。展開が早いので感情移入する間はありません。パパスが死ぬのもあっと言う間。フローラからビアンカに寝返るのもあっと言う間。
DQ5の主人公のイメージと違いすぎて不快でしたが、(映画の中の)現実世界の男性なので違って当たり前ですね。気がついたら異世界で勇者になっていた、というような主人公なのでヘタレ感にモヤモヤしました。オチについては最初に書いたので割愛。
> 音楽について
音楽自体は文句なしです。DQは名曲が多いなと改めて感じることが出来ました。
最初に観た時は、何故DQ5以外の曲を流すんだ?と、DQ5の思い出に浸っていたところに水を差された気分(DQ5以外の思い出が否が応でも蘇ってしまう)でしたが、2回目に観た時は特に気になりませんでした。ここでこの音楽?と違和感がある箇所も幾つかありましたが、基本的には良かったと思います。ただ、序曲は使いすぎてインパクトが薄れた気がしました。個人的には、エンディングの1回くらいで良かったです。
> 映像について
全体的にとても綺麗です。特に、モンスターと装飾品は素晴らしいなと感じました。
スライムのプルプル感、ゲレゲレの毛並み、ゲマのボスっぽいアレンジも良かったです。ルドマンが持ってる杖の宝石がとても綺麗。欲しい。
とあるインタビュー記事に「メタルスライムにダメージを与えられないという演出を私の思うようにやらせて頂いた」とあったので、そのシーンを見た時は「なるほど。」と感心しました。
モンスターが一撃で倒されることが多いので、もう少し長くバトルシーンを楽しめる内容だったら良かったなと思います。欲を言えばスライムナイトも見たかった。
人間キャラクターの顔はちょっと苦手でしたが、観ているうちに気にならなくなりました。
> 声について
違和感がある箇所もありましたが、許容範囲でした。
主人公のヘタレ感とか、ゲマの嫌らしい感じとか、プサンの貫禄ある声は良かったです。
ただ、サンチョはケンコバさんでした。スラりんは山ちゃんの無駄遣いだと思います。
最後に。
私は、幼少期にSFC版DQ5を何度もプレイしていたし、ナンバリングシリーズは一通りプレイしていますが、熱狂的なファンという訳ではありません。
この映画もDQ5懐しいなという軽い気持ちで観に行きました。
それでも、結構なショックを受けました。
低評価のレビューを見て同じ意見の方が沢山いる事に安心しても、モヤモヤした感情は払拭されないし、どうやったら楽しめるのかと肯定的な意見を見ても、全く理解できない。
製作者の意図が知りたくてパンフレットやインタビューを読み漁っても、堀井さんの「結果的にはゲームにはない展開になって、良かったなと思っています。」に何故?と悲しくなり、山崎総監督の「ドラクエだけに関わってられないので(笑)」に憤ったり。
忘れようと思っても忘れられず辛かったので、最初に書いた通り、ミルドラースを笑い飛ばすくらいの気概でもう一度見に行き、新しい記憶で上書きしようとしました。結果、最初とは違った受け止め方ができ、モヤモヤした感情も払拭できたので良かったとは思ってます。(同じ思いをした方はもう一度観て欲しいと思っている訳ではありません。念の為。)
代償は大きいものでしたが、
DQ5が好きだと再認識し、またゲームで遊びたいなと思える映画だったなと思いました。