「どうしてもモヤモヤが払拭できない」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー らいおんさんの映画レビュー(感想・評価)
どうしてもモヤモヤが払拭できない
公開翌日に見ました。
他の同じようなご意見の方と同じく、まだモヤモヤが払拭できません。
ドラクエ5は、スーパーファミコンで発売された当時、まだゲームをすることに右も左もわからないような年齢で、2つ年上の姉の見よう見まねでプレイしました。
それでも、幼いながらに完成度の高いストーリーに魅了され、時間を忘れて主人公と共に泣き、笑いしました。
幼かった私が、初めて自分の力でラスボスまでたどり着けたのがドラクエ5でした。
その後、PS2、DS、アプリ、全てプレイしました。
大好きな、大好きなゲームの一つです。
その世界が、映画となり最新CGで映像化すると聞いて。
とても嬉しかった。
慣れ親しんだ鳥山明さんのキャラデザではなかったけれど、それを差し引いても見たいと思えるくらい、大好きな世界だから。
とてととても楽しみにしていました。
公開初日は、仕事で行くことが叶わず。翌日に行こうと心に決めて、でも初日の様子がどうしても気になって、ここのレビューを覗き見ました。(もちろん、高評価が沢山並んでいるといいなと期待しながら…
並んだ低い評価とレビュータイトルに、びっくりしました。
何が起こったのかと。
ネタバレはしたくなかったので、恐る恐る。あまり詳細を書き込んでなさそうな人のレビューだけを、さらっと拝見しました。
そこで最後10分〜15分に何かとんでもないことが起こるということだけは読み取りました。
だから、相当な覚悟を持って観に行きました。
何があっても絶対傷つかないぞと、ガチガチに心を武装して。
序盤から終盤の問題のシーンまでは、本当に良かった。
ヘンリーのこれじゃない感や、声優に起用された俳優のミスマッチ。音楽の違和感。消された娘。尺の関係で端折られ、改変されたストーリーも許容範囲内でした。
思わず涙しそうになることも数回。息子が天空のつるぎを鞘から引き抜くところがとても良いです。
美しいCGで再現された世界は、思い出そのものとは違うものの、来てよかったな、と思うには十分でした。
しかし、問題のシーン。
正直、出てきたヤツを見て笑っちゃいました。
武装した心を予想だにしない方向から突き刺してきました。
天才ハッカーのウィルス?だれやねん、お前。
そもそも天才ハッカーやコンピューターウィルスって存在自体、全然新しくなくて凄く古くさくダサく感じたのは私だけ?
終始薄ら笑いでウィルスとアンチウイルスの戦いを冷ややかに眺めました。(山寺さんの無駄遣いはやめてほしい。せっかくならばパパスをやっていただきたかった
監督や制作者の言いたいことがわからないわけじゃないです。
そんなことは、ゲームをプレイする人間みんな百も承知でしょう。
みんな、大人なんだから(笑)解ってますよそんなこと。
だけどそれを感じさせないのが、ゲームちゃうんか。
それを、ドラクエともあろうビッグタイトルを冠した映画でなにしとんねん。
こんなの私のストーリーじゃない。
みんなね、主人公の体験そのものがまさに自分の物語なんですよ。
プレイしてるリアルの人間はそこに存在してなくていいんです。
そもそも、主人公に公式の名前がなく、主人公にセリフもなく、自分=主人公だからこその、没入感がドラクエの持ち味じゃないのか。
元は世界全てがドット絵でした。だけどそんなこと問題じゃなかった。
プレイする人たちの頭の中で世界はリアルに構築され、大切に大切に守られてきたんです。それを追体験(確認)したくて、みんな映画館に足を運んでいるのでは?
私は少なくともそうでした。
それをわざわざドットに分解するシーンはまさに思い出の破壊。
天空のつるぎがドットにさばかれるシーンは、勇者の死だと思いました。(まぁ実際そういう意図なのかもしれませんが?
だからウィルスがミルドラース?
ふざけんな。ミルドラースに謝れ。
はっきり言って事後は、主人公が何を言おうがビアンカが何を言おうが全く頭に入ってきませんでした。
恐らく、こうして私たちが声を上げることで、また映画の興行収入が増え、このレビューそのものも制作者の思惑通りなのかもしれないなとも解っていつつ。
どうしても。どうしても、やりきれない。
そういう、手のひらの中でドラクエファンを弄ぶこの映画の広報戦略と、考え方そのものが、とても悪趣味で無粋だと思いました。
私はそれも含めて、がっかりました。
もし、そうじゃなく、馬鹿正直にドラクエファンみんなが共感して、大成功すると思っていたのなら、感性を疑います。
あくまで、本当にあくまで個人的な見解で、自分の好みの問題ということも自覚しています。
また、高評価の方がいるのも知っています。
でも自分にはあのラストシーンを取り入れた意図が全く理解出来なかったという話です。どうかご容赦ください。