「予想だけじゃなく期待をカンペキに裏切った」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー れーぶんさんの映画レビュー(感想・評価)
予想だけじゃなく期待をカンペキに裏切った
映画を見にきた人がほしいものではなく、ほしくないものをぶつけてきたなぁ。
そもそも皆、DQ5が映画になったものを見たかったわけで、ゲームをやる人・やらない人・好きな人・くだらないと思う人の価値観バトルを見にきたわけじゃない。
自分は、ゲーム好きで毎日なにかやってる。まあかなりいい年だが、そんなことは気にしてない。で、DQシリーズはそれなりに遊んできたし、5はシリーズ中かなり好きな作品だ。
けど、今の自分の好みは違っているので、この映画を見に行くつもりがなかった。
しかし、すさまじく低評価なことからさっさと皆さんのレビュー見て、内容知って、マジかそれと見に行った。
そんなわけだから、オチを最初から知っていた。だから、問題の終盤も「あーこれかー」くらいのものだったけど…。
「大人になれ」。
これは、「ゲームなんてくだらない」って意味じゃない。
「ゲームなんてくだらないものに時間使ってる奴は幼稚でくだらない」って意味だ。
否定してるのはゲームだけじゃなく、ゲームが好きな人もだ。
ゲームが好き、DQが好き、DQ5が好き、アニメや映画など虚構の世界が好き……レンタルで済ます選択、見ない選択もあるのに、それより高いお金を払って劇場にいる、お金を払う価値があると思ってそこにいる観客に向かって、「くだらないものが好きな幼稚な奴」と言ってるってことだ。
たとえその後で「そんなことない!」と言わせるにしても、割に合わない。
ビンタされた人に、思いっきりハグして頭なでなでして、いっぱい優しい言葉かけて、俺はおまえの味方だよ、あんな奴気にすんな、俺がぶっ飛ばしてやるからな!て言うんじゃない。
なんの予兆もなく胸に庖丁ぶちこまれて言葉も出ないで茫然としてるところに、あ、ごめん、痛かった?でもこれ、撫でてあげるためだからねナデナデ…みたいなもんだろこれ。
割に合わない。
というか、全然意味ない。
むしろ完璧に逆効果。
内容をなにも知らず、DQ5の世界、物語を楽しみにーーー鳥山さんではないキャラデザ、2時間におさめるには改変や省略が相当なものであるだろうこと、本職声優ではないメインキャスト…DQが好きだから、5が好きだから、いくついくつもハードルを下げ、それでも楽しみたいと出掛けた人たちのショック、痛み、悔しさ、失望、察するに余りある。
そんなつもりじゃなかった、と制作側は思ってるかもしれないが、まあ、自分たちのやったことの結果だ。
こっちだって皆、そんなつもりで見に行ったわけじゃない。DQ5を見に行きたかっただけだ。
最初に書いたように、自分は当事者とはいえない冷めた立ち位置にいるけど、それでも。
ゲームが好き、物語の世界に遊ぶのが好き、夢見るのが好き、しんどい現実の癒やしをゲームに得ている、そんな同志・仲間たちが傷つき悲しんでいることを思ったら、皆に一言、同意を告げたくなった。
「これはひどい」
と。