「話が壊れている」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー akiさんの映画レビュー(感想・評価)
話が壊れている
オリジナル作品で映画を作るなら、このストーリーでも良い。
しかし、原作付きで、このオチは話が壊れている。
終盤までは満足の行く展開で、良かった。
ただ、終盤のオチが、ゲームにウイルスが混入して自説を視聴者に話すという展開で、意味がわからなかった。
監督は賛否両論がある展開になる言っていたが、
話がくだらないので白けた、というのは否定以前の話。
DQの原作付き映画でこれをやるというのは、意味がわからないし、単に脚本が壊れているだけではないですか。
百歩譲ってメタ視点でゲーマーを肯定したいのだとしても、
話が稚拙すぎて、白けてしまいました。
奇を衒ったとしても、作りが雑なのではないですか。
この壊れた脚本を通してしまった映画業界の構造が疑問です。
終盤までの展開、画、特にゲマを演じる声優の演技は素晴らしく、
これを作れるクリエイター、職人が揃っているなら、
ドラクエの世界を真摯に描く作品を作って欲しかったです。
関わる人が作り上げた仕事の結晶を、雑に泥で塗って壊して、
それが前衛的だと言って遊んでいるだけの、残念な作品を見てしまった気持ちです。
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当たり前だが、原作付きの作品であるなら、顧客はある程度は原作から「このようなストーリーでこのような作品なんだな」と想定して映画館に行く。
ただ、今回はDQの世界を描いたフィクションではなく、メタ視点で自説を話す作品という別物を見せられてしまった。
こんなことをされると、意表を突かれたとか、奇を衒ったとかを通り越して、もはや別物なので、ただ映画というメディアに対する信頼を裏切られたという気持ちにしかならない。
この国の映画業界では、顧客の信頼に応える映画作りよりも、炎上商法のような話題作りが優先になっていると、そんなことを思う映画だった。