「賛否両論映画」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 史ネマ堂さんの映画レビュー(感想・評価)
賛否両論映画
ラストシーンが大問題となっていますよね
私自身も一瞬「なんじゃ、これ???」となったのは事実
あんなに可愛かったスラりんの声が、生やまちゃん声になったときなんて、さすがにクラクラしてしまいました
あちこちの映画批評サイトでクソミソになじられまくっていて、もう大変な状況になってます
まあでも気持ちは分かるんですよね
鑑賞者にとってみれば大好きだったドラクエV、それも一番最後大盛り上がりのシーンで、本筋とは全く関係なくなるオリジナル要素で展開させエンディングにされちゃうのですから・・・・期待していた人達にとっては冒涜されたと思ってもおかしくないレベルかもしれませんし、冒頭の文面通り自分も一瞬相当やられたのも事実です
ただ自分は勿論ドラクエ大好きなのですが、幸か不幸か天空三部作は全く手を出していませんでした
当時スーファミではなくセガのゲーム機器で遊んでいたので、やりたくてもハードを購入しなければいけなかったため手が出ず、結局やらず終いだったのです
今回の映画鑑賞にあたり、妻が所有していたPS2用ドラクエVを引っ張り出し、初期ロットPS3で鑑賞日前日にプレイ
パパスが殺されヘンリーと旅をし、ラインハット城へたどり着いたところで中断
その後、映画を観に行きました
自分が10時間以上かけ必死に進めた辺りまでは、映画だと僅か5分程度で終了(笑)、そこから先はまだ自分が知らない部分のネタバレだらけ
それでも当然それを分かった上で観ているので、嫌な気持ちになる訳がありません
この後どうなるんだろうとワクワクしながら観ました
ビアンカ、フローラとの結婚問題シーン、石化を解いてくれた息子が天空の勇者だったと分かるシーン(天空のつるぎが遂に鞘から引き抜かれるシーンは、今思い出しても鳥肌がスゴイです)など、どれも心に残りました
そして問題のラストシーンへ
ここについては、特にゲームのドラクエVが大好きで映画版に期待していた人にとってみれば、様々なサイトでの評価も頷けます
だってあの部分はそこまでのいきさつを全部台無しにしちゃうほどの破壊力でしたから(笑)
そうそう・・・あとラストシーンの展開が唐突で関係無さすぎる、という声も相当ありますが、実は作中いくつかのシーンでちゃんと最後に繋がるセリフ各キャラクターは言っています
そこに気づいてないという事は、ゲームはやっていても、映画を普段あまり見ない人なのでしょうね
そういう前フリも山崎監督と堀井さんはちゃんと盛り込んでいます
もう鑑賞しないとは思いますが、そこに気づけなかったのは大失敗だと思いますよ
最終的にゲームではまだラストにすら辿り着けていない自分にとって、ゲームはこうじゃないんだ、真の結末へは自分の力で辿り着かなければならない、とエールを送られた気分になりましたし、これはゲーム原作者堀井雄二さんのゲームのラストを知らない人に対しての気配り、そしてRPGのラストは絶対明かさないという作家としてのプライドを強く感じさせてくれました
最後の方に出てくる重要なセリフは、堀井さんが山崎監督を説得して入れさせた(パンフ記載)そうですが、この映画製作を監修したのもそれがあったからなのでしょう
なので帰宅後、早速ドラクエVを再び始めました
人によっては実写デビルマンと比べているようですが、個人的にはあれほどの支離滅裂感は微塵も感じません
多少の変更やダイジェストはあっても、基本ラインは踏襲していますしね
実写デビルマンはそもそも作品として成立していませんから、一緒にしてはいけないと思いますね
あんな映画とはとても呼べないような作品と大好きなドラクエを同列にすること自体、ドラクエ、そして堀井さんに対しての冒涜だと思います
話逸れましたが、映画は映画なのです
ゲームではありません
ゲームの最後を知らない自分にとっては、これから続けることが楽しみな作品となったのは事実です
なのでゲームと同じ感動を期待して観に行こうとしていた人にはオススメしません
割り切れる人、そしてドラクエに興味を持っていてもまだゲームをやった事が無い人は、劇場で鑑賞してみてください
サブタイトルの由来も分かりますし、堀井さんのゲームに対する考え方や愛を汲み取れる感性がある人には、これもドラクエなんだと理解出来るのではないでしょうか
個人的には大好きな作品になりました
自分の思った通りにならないと一切受け入れない、という人が多くなった世の中ではあります
映画は勿論、エンタメに関わる人達は相当苦労されているでしょうね
その期待にどういう形で応えるのかが常に問われていると思います
全ての人が満足する作品なんてこの世には数えるくらいしかありません
批判があって当たり前なのですから、これらの評価もちゃんと評価として受け止めていただき、今後の参考として更なる道を進んでいっていただけたら嬉しいです
堀井勇二のゲーム作家としての矜持としてDQ5の本当の感動はやはりゲームで得手ほしい、むしろゲームだからこそ得られると考えているとするのはロマンがあるし良いなー。素晴らしい考察です。