「社会との対決」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー ぐわなーださんの映画レビュー(感想・評価)
社会との対決
予告編のバギクロスに惹かれて見に行きました。ドラクエⅤはビアンカ⇨フローラ⇨ビアンカで、三周くらいクリアしています。
賛否巻き起こしておりますが、個人的には良かったと思います。
(ちょっと軽い言葉遣いとドラクエの世界観とで、ややミスマッチ感がありましたが……)
以下、大変に個人的な感想なのであしからず。
大方の感想は他の方の感想にもありますが、端折りつつも映像と音楽で見応えのある作品になっています。
サラボナでの結婚のエピソードもブォーンを絡めてうまく再構築されていて感心しました。
ルドマンも割と怒ったりして、人間味のあるキャラになっているように思いました。
(昔からこのおじさん、聖人過ぎるだろ……と思っていたので)
それで、賛否を巻き起こしているラストのミルドラース(ウイルス)についてですが、僕にはアレが社会そのもののように感じられました。
ウイルスは自らの存在について
「とある天才の気まぐれで作り出された。特に理由もなく、彼はウイルスをばら撒いた」と言及していました。
最初、その言葉を聞いた時……それはもう冷めました。おい、何してくれてんだよ……と。
しかし、ここまで追ってきたので、途中出場する訳にもいかず……最後まで見守ることにします。
すると、彼は言い放ちました。
「いい加減、大人になれよ」と。
主人公はその言葉に抗い、この世界はもう一つの現実だと主張します。
「こいつらは確かに生きているんだ」と。
そして、それに対するウイルスの反応は「馬鹿馬鹿しい」というもの。
ふと、その時に僕にはこのウイルスが「社会」そのものであるように感じられました。
特に理由もなく、気まぐれに他人の人生に茶々を入れる、周囲の人間達と重なって見えたのです。
「いい加減、大人になれよ」
これは、社会から発せられる抑圧のメッセージ……それを打ち破る主人公は、自分にとって間違いなく勇者でした。
そして、映画の最後はfinでは無く、こう締めくくられていました。
「あなたの物語は続く……」
周囲に負けず、自分の人生を生きろ。
そんなメッセージを受け取った気分でした。
最後に……これはあくまでもかなり個人的な感想です。
ひょっとすると、真っ当に……真っ直ぐに生きている人の心には響かないのかもしれません。
映画単体で見れば、この作品はハッキリ言って褒められた作りでは無いでしょう。
しかし、この映画は各個人が見て、どう感じるか……それがYOUR STORYのテーマなのです。
ですので、批判も正解。
(もちろん、ウイルスにやるせなさを感じるという意見も分かります)
それぞれが感じたことこそが全て……そんな映画だと思いました。
素晴らしい論評だと思います。
全くの同感です。
まさに、その通りだと思います。
賛否の分かれるラストですが、私もそのラストに勇気をもらった一人です。
ちなみに、ドラクエ1からのリアルファンです。