「評価の難しい作品」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー かざぐるまさんの映画レビュー(感想・評価)
評価の難しい作品
公開初日に鑑賞しました。
もし、これを学生時代のドラクエ漬けだったときに見ていたら、監督をぶん殴ってます。
こちらで★1を付けている方の気持ちも分かります。
私もFC世代で、ドラクエと共に育ってきました。
中でもドラクエ5は、中学生のとき誕生日に買ってもらった宝物の作品です。小説、CDシアター、4コマ劇場などゲームから派生した物語にも夢中になりました。
ビアンカに恋しましたし、モンスターや仲間たちもあのとき確かに存在していました。
それを作り話に夢中になってないで大人になれ、などと言われたら、胸を引き裂かれる思いでしょう。
ただ、一方で、リアルに大人になり、結婚し、自分も家族ができました。
劇中で息子が産まれたシーンや、パパス、マーサの子を思う気持ちなど、親目線で見て感動する部分も多かったですし、たとえ虚構でも思い出はホンモノだというメッセージも伝わりました。
問題は、伝え方の卑怯さなのかと思います。始めから『体験型ドラクエ』の話なんですよ、と。そういう映画なんですよ、と言っておけよと。
あんな宣伝の仕方…ドラクエ5の映画化!なんて、楽しみにしていた人にとって、完全にだまし討ちじゃないか。
どんでん返しのつもりか知りませんが、最悪のタイミングのネタばらし。この陳腐さはなんだと。
あるいは、そこで一気に冷めて(覚めて)、全て作りものだと見せつけて、それでも、僕達はドラクエが大好きで大好きで仕方ないんだと観客に叫ばせたいのか。監督の自己満足な展開に付き合ってられんわ!
…でも、リュカを演じる青年が、誕生日にドラクエ5をもらって大喜びする場面、夢中でゲームをする場面は、やっぱり涙せずにおれなかったのです。
今や現実の方もなかなかに波乱万丈で、学生時代に比べたらゲームの比重も相当変わってしまいましたが、あの日ゲームで冒険した思い出はいつまでも色褪せません。
この映画を見て、やっぱりドラクエが大好きで、ドラクエと出会えた人生で良かったと思えたんです。
満点の映画ではないです。
人を選ぶ、難儀な結末です。でも、私は好きです。
ほかの方のレビューにもありましたが、自分でどう捉えるかですね。
因みに映像、声優は個人的に大満足です。