劇場公開日 2019年8月9日

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「絶望からの微かな希望」JKエレジー ゴロウ1111さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0絶望からの微かな希望

2019年8月14日
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鑑賞方法:DVD/BD、映画館

悲しい

公開前からタイトル、粗筋や予告映像から主人公ココアが状況に抗うも挫折して希望のないラストだと思った。覚悟して見たが予想より清潔感があった。
劣悪な家庭環境、優秀で努力する人が進学できないという辛い状況を描く社会問題を提起する映画かなと思っていた。
希代彩のココアは思った以上に役に合っていて、川瀬陽太の父シゲル、前原滉の兄トキオのダメさ加減が凄く良かった。
猪野広樹の兄の友人カズオのダメだけど少し得体の知れないところが良かった。
廃校のシーンや友達二人とのシーンはとても良かった。ココアとカズオの空気も予告だと恋愛になりそう。世相を描くより、青春とか家族にフォーカスした方がいいのでは…と思った。
ココアと父、兄のやり取りに、家族は良くも悪くもこのくらいなあなあになるものだなあと共感した。
地方の閉塞した空気感、お祭りが凄く大事な娯楽なんだろうなとか、高校生がアルバイトするのも限られる、車がないと話にならないとか、ダメな大人達のダメさ加減も凄かった。
ラストの「簡単に謝らないで」っていう台詞が良かった。
事態の悪化を招く、自分の失態を改善しようと無茶な行動して、結局年下に助けられるカズオは憎めない。
展開が甘い、ご都合主義な点も多々あった。
部屋の様子とか作り込みが甘い。
社会制度と合ってないと思われる点も多いが、ココアが悪意や暴力からは回避できている点等リアルな現実そのまま描いてはいないのだなと思う。映像は良かったので別の脚本家の作品で監督の次回作に期待したい。

ゴロウ1111