「地を這う虫のように勝利へと向かう歩兵たち」アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
地を這う虫のように勝利へと向かう歩兵たち
原作となった小説の映画化はこれで3度目との事だが、過去2作が未見な状態での感想として、とにかく「重い」。
戦火の合間の、兵士同士の和気藹々とした描写もあるにはあるが、それも明瞭なものでなく、どこか陰湿な雰囲気を漂わせている。
そんな歩兵たちが、地を這う虫のように、ひたすら国のために家族のために銃を取る。
それは決してバカな上司のためではない。
だからこそ、実際の戦争とはこういうものだったのかもしれないと思わせるだけの説得力がある。
乱暴な例えをすれば、ボンクラ要素を抜いた『フルメタル・ジャケット』だ。
ただ、エンタメ要素もカタルシスもほぼ皆無な上に、近年の戦争映画の中でも群を抜いて息苦しい展開が続くため、観終わってもドンヨリとした気分になるのも確か。
「見せる」という名目は分かるが、「魅せる」という点では少々辛いかも。
もっとも、そうした安易にエンタメを入れないあたりがヨーロッパ映画らしいとも言えるけど。
あと関係ないが、宣伝コピーで「火薬使用量がギネス記録認定!」とあるけど、映画の内容を鑑みると、このコピーはいささか的外れじゃないのか。
製作陣は、必ずしもそこに注目してほしいとは思っていないような気がする。
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