劇場公開日 2020年1月25日

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「亡き祖父に捧げます」彼らは生きていた ミッチさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0亡き祖父に捧げます

2020年3月19日
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ピージャクのこの言葉で、この映画を製作した彼の思いと執念を感じ、そして感謝したい。

私の祖父も、かつて日中戦争に行き深手を追って帰って来た。私が幼い頃祖父に戦争の話を聞いても、話してくれたのは「中国の一般人は日本人を受け入れて、仲が良かった」などおよそ聞きたかった話をしてくれずいつも不思議だった。
祖父祖母が大好きだった私はよく泊まりにいくと、三人川の字で寝ていたが祖父がたまに呻いたり、ワッ!と飛び起きたりしていた。
祖父は怪我の影響で60歳前にこの世を去ったが、それから見せてもらった手記や祖母の話から、戦争で相手を二人殺めた事、爆弾でやられた怪我、そこから港まで命からがら数日かけて引き上げ、運良く停泊した日本船に乗って早々に日本に帰ってこれた事を知った。
それを知って私は涙が止まらなかった。
そんな話をどうして幼い孫に出来ようか。
祖父は帰国後もずっとずっと戦争の事で苦しんでいたに違いない。
私には優しくて優しくて手先の器用だった祖父。

貴方の物語をこの映画で見ているようでした。

今まで沢山の傑作戦争映画があった。プラトーン、プライベート・ライアン、地獄の黙示録、野火、ジョニーは戦場に行ったなど。
どれも強烈でその後の人生観に影響を与えるが、この映画は実写だけに胸に突き刺さるどころか自分の意識も肉体も爆弾と共に吹き飛ばされたようで、観賞後これ以上なくいかに戦争が愚かで、絶対にしてはいけない事だと悟らせてくれる。

アイドルや奇跡の連続のノーテンキな映画もいいけど、このような映画を世界中の若者が観るべきだ。そして我々大人が若者に観せるべきだ。

ミッチ