「第一次世界大戦の真の姿を伝える破格の傑作」彼らは生きていた エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
第一次世界大戦の真の姿を伝える破格の傑作
『1917 命をかけた伝令』の感動も覚めやらぬまま、ピーター・ジャクソンが製作・監督した第一次世界大戦のドキュメンタリーと遭遇。これはとんでもない労作であり傑作だった。深く深く感動した。
記録映像と退役軍人たちのインタビューがシンクロし、イギリス兵たちにとっての第一次世界大戦がリアルに蘇った。
1914年の参戦、入隊、国内での訓練、フランスへの出兵、塹壕での生活、砲弾の爆音と激しい振動、おびただしい死体と悪臭、1着しか支給されない軍服、トイレもちり紙もない、シラミとの戦い、出撃、死にゆく仲間たち、死体の中の前進、殺戮、被弾、1918年の終戦、帰る場所のない兵士たち……。
イギリス兵だけで100万人、民間人を含め世界中で2000万人規模の死者がでた戦争だった。私は何も知らなかった。衝撃だった。膠着した戦況が戦争を長引かせ、いたずらに死者を増やした。
『1917』の伝令が救った兵士たちのほとんが、あれから間もなく亡くなったのだ。
それにしてもこの映像の鮮明さはいったい?
スピードが補正されシネスコサイズのナチュラルなカラー映像に!何しろ100年以上前のフィルムである。まさに奇跡の修復、そして着色。気が遠くなる作業だっただろう。
映画黎明期、奇しくもグリフィスが撮ったアメリカ初の長編映画『國民の創生』の公開が1915年だった。
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