「PJはまたしても映画の革命を起こしてくれた」彼らは生きていた ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
PJはまたしても映画の革命を起こしてくれた
『指輪物語』を手がけた巨匠がどんな作品を手がけるのか。それは世界中の関心事なはず。その点、ピーター・ジャクソンは「伝えるべき内容」と「伝えるための技術」の相性が絶妙にマッチした題材を、観る側が全く予想もしなかった角度で提示してくれた。モノクロ映像の本編にやがて色味がついた瞬間の「あっ」と声を出してしまいそうなほどの衝撃。被写体となった兵士一人一人の表情が克明に胸の中へ流れ込んできて、これまでの戦争映画では感じたことのないザワザワした思いがこみ上げた。それは死を伝えるメディアが生を伝えるメディアへと進化を遂げた瞬間でもあったように思う。そこには体温がある。感情がある。今からほぼ100年前を生きた人々と真向かうことは、その体験そのものが「戦争」や「生と死」について考え、ひいては「映画の可能性」についてもう一度捉え直すことにも繋がっていくはずだ。PJがまたも革命を起こしてくれたことを嬉しく思う。
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