閉鎖病棟 それぞれの朝のレビュー・感想・評価
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アウトローにしか裁けないもの
死刑執行しても死なない男の話と聞いて、大島渚監督の『絞死刑』思い出した。だが、精神の病を抱えた人々が入院する閉鎖病棟の物語を作るにあたって、平山秀幸監督が意識したのはクリント・イーストウッド監督の『グラン・トリノ』だったそうだ。どうして、これが『グラントリノ』なのだろうと最初は不思議だった。 でも、笑福亭鶴瓶演じる主人公が、法的には死んでいる人間であることを思い出して納得がいった。法的に死んでいるというのは、要するにoutlaw(アウトロー=法の外)ということ。映画でアウトローと言えば確かにイーストウッドである。そして、この世界には法では裁けないものがある。それを裁けるのはアウトローだけ。これは死刑執行が失敗して、アウトローになってしまった主人公が、病院で得たかけがえのないつながりを守るため、法で裁けそうにない悪を裁く話なのだ。笑福亭鶴瓶が素晴らしい。いつもの彼のような、彼じゃないような、絶妙の存在感で新しいアウトロー像を見せてくれた。
これまでの綾野や小松とは違う一面を垣間見れた点は非常に興味深い
綾野剛や小松菜奈のファンにとっては、これまで彼らの出演作とかけ離れているので、多少なりとも戸惑いを感じるかもしれない。笑福亭鶴瓶も含めて、彼らは通常、映画の中に一人立っているだけで、それだけですでに華となる俳優だ。だが、恐らく彼ら自身がその立場に甘んじている現状を打破したいと感じたのではないか。 本作は元精神科医によるベストセラー小説の映画化であると同時に、日本映画界のベテランである平山監督が奇をてらわず、何よりもストーリーを伝えるための作品として作り上げた感が強い。その演出の思いを汲み取って、俳優陣も決して自らのオーラを縦横無尽に放出するのではなく、むしろグッと内側に押しとどめて渦巻かせるタイプの演技で本作に身を捧げている。派手さを封印しているがゆえにどこか地味に思えてしまう節もあるかもしれないが、メインとなるキャストが織りなす疑似家族のような関係性は後から思い返すとしみじみと温かい。
精神科医による原作の映画化。描けた理想と描けない現実
精神科の開業医と作家の二足の草鞋を履く帚木蓬生が書いた原作は、専門家ならではの知見を活かした描写に加え、さまざまな症状の患者たちが助け合い、医療従事者がそれを支える理想を描く。一方でドラマの推進力となるのは入院患者同士のトラブルだが、現実の精神科病棟で表面化する問題はむしろ医療従事者による患者の虐待だろう。終盤に訪れるある種の“救い”を含め、理念先行のストーリーであり現実の問題提起の要素は弱いように感じた。 とはいえフィクションと割り切ればいくつかのエピソードは衝撃的で胸に重く響く。笑福亭鶴瓶の修羅場を経験した男の重み、綾野剛のナイーヴだがチョイ悪な人物設定、小松菜奈の繊細で脆い雰囲気、いずれもはまっている。渋川清彦の憎々しさ、いやらしさも最高だ。
ほんとに胸苦しい映画でした。私は過去に性的暴行を受けたことがありと...
ほんとに胸苦しい映画でした。私は過去に性的暴行を受けたことがありとてもトラウマのように思います。なのでとても辛いし、私のような経験がある方は少し危機感を持って見た方がいいと思います。 自業自得ですが、みてあのシーンが頭に残って後悔しています。ほんとに気持ち悪くて吐きそうです。 震えが止まらないです。映画としては役者さんが上手すぎてほんとに素晴らしい映画だと思います。
原作との比較
原作が素晴らしかったので本映画も視聴。 結論から言えば少し良くないです。 概ね原作と同じストーリーではあるのですが、原作の不要な部分をピックアップして、重要な部分を削除したような感じになっています。 原作は「閉鎖病棟」というタイトルなのですが本映画は「閉鎖病棟 それぞれの朝」となっています。 このタイトルからもこの映画は余計なことをしている感じが出てしまっています。 この映画も原作が良いため悪くはないのですが、この映画が面白かった人は原作はもっともっと面白いです。 小説版は主人公が一人ではなく、複数人の主人公が同じ「閉鎖病棟」をいろんな角度から見ていてそれが小説版の最大の魅力です。 あと映画の役者さんはみんな素晴らしかったです。
閉鎖病棟
気になってた作品です。役者さんの演技力がリアルで色々な気持ちになりました。こういう描写は苦手な方も多いと思いますが、今の時代だからこそ忘れてはいけないのかなと感じます。エンドロール前のシーン。良いですね。
50点
映画評価:50点 日本人が好みそうな内容だ…。 救えない状態の人々を生温い空気が包む。 フィクションでしかない。 ここに当時する鶴瓶みたいな人はいるかもしれない。だけど綾野剛が演じた青年の様な人はリアルにはそうはいない。 空想でしか存在しない。 日本人は気まずい空気から逃げる、 そのくせ、こういう不幸な人たちが少しでも救われる様に見える世界が好き。 リアルでは手を差し伸べないくせに。 これを観て、 少しでも感動したなら こんな感想なんて読まなくていいから さっさと動いてほしい。 自分たちの周りに救いを求めている人が いるかもしれない。劇中の様な悲劇が生まれない様に少しでも手を差し伸べたらいい。 残念だけど、 動かないと思うけど。。。 ps.この作品は味があって興味深かったです。 【2023.2.27観賞】
ありえない設定で内容が頭に入ってこない
2022/12/12@アマプラ ありえない設定が多くて途中何度も見るのをやめた 面白くなかったもののレビューはわざわざ書かないが、これはあまり気もだったので気になる箇所書き出しました ・知的障がい者、精神病患者、うつ病患者、犯罪者、元死刑囚が一緒にいる病院なんてあるのか ・患者が飛び降り自殺を図れる環境 ・患者複数人での外出許可がおりる ・患者同士の喧嘩や一方的な暴力が他の患者の目の前で日常的に行われる ・それらを施設職員(医者?)が止めようとしない ・外出許可を出された患者が、外出先で死亡する ・家族による暴力が原因で入院した患者について、加害者の一言で退院が決まり、結果暴力が繰り返される(入院の理由を医者がわからないまま家に返す) ・2度描かれたレイプシーンは必要だったか疑問 ・患者が消えても気にしない(気付かない?)職員→その後の消息不明 ・院内で殺人事件があったのに特に対策を取っている様子がない ・殺人の理由を突き止めない(施設内に防犯カメラ等がなく患者が1人になれる環境) ・患者の個人情報を他の患者に漏らす施設 ・入院患者は誰でも簡単に脱走できる ・公判に患者を連れてくる ・裁判所も無能 これらを精神科医監修で描かれてるのがやばすぎる 病院がお咎めなしなのが(むしろ被害者ヅラしてるのが)何より腹立つ 気になる箇所が多すぎてストーリーに感動できなかった
倫理的に問題がある作品
特に性暴力被害者、PTSD患者の方々にとっては非常に侵襲性が高く、少なくとも警告表示なしで公表するのは倫理的に問題があると考えます。 映画としては良い部分もあり、少なくとも私は目が離せなかったので、このサイトでの評価基準としては間違っているのかもしれません。しかし、他の方も指摘されているように、精神病院としての管理体制のずさんさや無責任体制、非現実性(たとえば「那須こころの病院」院長のブログを参照のこと)は、今後の精神医療の改善に対する作り手の無関心を表しています。 なぜ20歳未満の被害女性を、加害者のもとへ帰すのか? 病院内での加害が予測されるにもかかわらず、防止手段をとらず、病院が責任を問われないのはなぜか? 入院患者が失踪しても、探さない、警察に届けないのはなぜか? 挙げだしたらきりがありませんが、精神病院体制の酷さに対して、映画の中で批判を突きつけている形跡はありません。わずかに、いわゆる「犯罪者気質」や統合失調症に対する偏見を緩和する要素はあるものの、それを上回る害悪があると考えます。私には最近不幸があったのですが、この映画で救われるどころか心を打ちのめされる経験をして、苦しんでいます。もし性暴力被害者が何の気なしにこの映画を見てしまったとしたら、フラッシュバックやうつ状態に苦しめられる可能性は否定できないし、最悪、自殺の引き金にもなりかねません。 性暴力は「魂の殺人」とも言われるように、そこから這い上がるには、生まれ変わるほどの莫大な努力と時間が必要です。朝焼けの風景描写はそれを表しているのでしょうが、最後のシーンに現れる由紀になるまでに、血のにじむような心的奮闘と、どのような環境的な幸運があったのかをすっとばしてしまえば、なんにもわかりません。トラウマに苦しむ人々にとって、ほとんど役に立たないのではないでしょうか。
レイプ撲滅!殺人より卑劣
アマプラでみた。 閉鎖病棟〜それぞれの朝〜 悲しいはなしだった。泣きました。小松菜奈。笑福亭鶴瓶、綾野剛。 日本の映画は実にレイプがテーマによくなる。なんでかな、わからん。 (レイプって絶対悪が安易に悪モンを作れるってとこはあるような気はする。たとえば殺意の原因として説得力がある) 日本の映画って暗いのはそういうとこだろな。 特には親子のレイプがさらに怖い。いつも見ると目を背けたくなる。性って難しい。事実にあると考えるとこんな親は殺したくなるだろうな。 僕は、極論だけど、犯罪でレイプは殺人より憎いと思っています。主に男性がおかす犯罪でしょうけど、人間として最も卑劣な行為に思う。 しかし、映画では、もちろんそれだけでない人間の再生が描かれています。精神科のはなしです。 人間を描くって実に難しい。 ビールを嬉しそうにプハーって、飲んで笑うシーンも印象的でした。人間のちいさな日常的喜びが愛おしい。 僕ならどうやってこの人間を描くのか、また考えさせられた。 作家の木村れい、どう人間を描くべきだろう。
閉鎖病棟
実際に精神病院に複数回様々な少女、理由で入院をした事があります。 病院によって格差が相当にあります。 人権など無視をしたような扱いをする病院もありました。その経験は生涯忘れる事は無いと思います。 いづれにせよ 患者の管理システム本質的なものは、変わりはなく。 危険物等持ち込みは病棟には不可。厳しい管理体制。 また患者に自由などほとんどありません。 閉鎖病棟に出てくる設定は開放病棟と混合のような、また知的障害者施設にも似通ったところもあったように思えます。 いずれにせよ、病気の症状だけでなく、家族が家で本人を見れないために入院をさせている場合が多く。 精神医療が立ち遅れている日本。精神病院に対する偏見、差別は現存し。 明日へ治癒を望み治療への希望を持つ患者を、日常生活へと導く事ができる精神病院、ドクター、医療スタッフが揃っている病院は僅かです。 また小林聡美さんが演じたような看護師はであったことはありません。 看護師達は日々のルーティン作業やPC入力等々に記録等々追われて、患者に寄り添うような身近な存在にはやくわりがなされておりません。ひどい病院では医師もナースも助手も患者を貶める行為が平気で行われています。今の日本では。隠れた所で。 行き場のない精神に疾患のあるまた訳のある方々が、家族の都合で何年にも渡り入院を余儀なくされています。回復への治療もなさらずに。 現状から踏まえると、この閉鎖病棟の映画で共感できるのは、患者同士の人間的な交流です。 そこに焦点をもっていけば、患者の気持ち、各々のちがいのある症状、個性が浮き彫りになります。 閉鎖病棟、精神病院とはという視点で見ると粗探しになってしまい、真実の現状や管理体制、医療者の姿勢含めて異なる描写が確かにたくさんあります。 しかしながら、外泊をしてゆく木野花さん演じる患者さんの海を眺める場面。 あれはある相模湾の海岸ですが。 心理描写が素晴らしいと思います。 社会から断絶された世界。空間で日々生きる精神の病を持った人たち、重い十字架、過去を背負った、理不尽なものに遭遇して家庭で学校で、社会で疎まれて、虐待されて、痛めつけられても生きようとしている子供達、大人も精神病院にはいます。 私はそういう人たちと何ヶ月かを持病の為に、病名は異なりますが何度も共に過ごしました。 この映画の意味を考えたときに、人間とは?という 広い視点で。 そして長い年月、社会から、家族から隔離されてきた精神病患者の存在、日常の一端を一般の人が関心を持つ、問題意識を持つ。 人間とは。日本社会が持っている精神病患者や病院への偏見に目を向ける機会、映画という意味があるかと思います。 また精神医療、精神病院がまともな治療、医療機関としてぜさいされてゆくことを望みます。 この映画にご出演されている俳優さん達の演技はある病棟で見てきた患者さん達。自然にあらわしておられます。 ヒューマニズムの映画として捉えれば良いのではないでしょうか。 経験があるだけ、身に染みましたし、罪の重み、背負った苦しみ、他人の痛み、自分の苦しみを改めて感じました。
観終わって、ヘビーな内容なのになんだか淡白な感じがした。なんでだろ...
観終わって、ヘビーな内容なのになんだか淡白な感じがした。なんでだろう、ちょっと物足りない感じ。 けれど、キャストそれぞれの演技は良かったです。
Amazon primeのお薦めから
精神神経科をたくさん知ってる訳では 有りませんが、これを見て勘違いする人が 出るのが怖いです。 こんな病院も有るのかも知れませんし、 大半の方は『まぁ映画だからね。』って、 見る方が多いと思いますが、 お勤めしている方やお世話になっている方 近隣の方々が不安になるような作品作りは 辞めて欲しいです、わたしは。 良い映画なのかも知れませんが、 そんな余計な事を感じてしまいました。
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