「日頃から本を読んでないので気づかなかった。」つつんで、ひらいて kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
日頃から本を読んでないので気づかなかった。
読むときは文庫になってから!と貧しかった子供時代に心に決めてから数十年。とにかく、豪勢な装幀を施した新刊本には縁がなかったのだ。そんなに興味ないなら見るなよとお叱りを受けそうですが、実は印刷関連の職に就いていたこともあって、とても興味深かったのです。
いまの時代、パソコンやスマホでも本が読めるので、将来的にはこうした職業の方も少なくなっていくような気がします。基本的に菊池信義さんは文学の書籍に文字だけの装飾をするのが信条。表紙の紙の質だったり、帯と表紙の合わせ技だったり、明朝体の文字を使った書籍デザイナーなのです。
かつては活版印刷だったものが、オフセット印刷となり、印刷技術も多様化した20世紀。16折り印刷から製本に移され、やがて表紙がつけられる。そうした印刷の流れも撮りながら、たまに手作業も必要となったりする美術装幀。なにしろ菊池さんがブックデザインに興味を持ったのが、タイトルが金箔押しされた本だったのです。箔押しや、トレーシングペーパー、和紙のような特徴あるもの、さらにDIC色見本のこだわりとか・・・色々。1万5千もの本を世に送り出しているのだから凄いです。
なんだか本を読みたくなるというより、美術装幀された高価な本を書棚の一段くらいにぎっしり埋めて飾っておきたくなるドキュメンタリーでした・・・
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