「フィルムを巡るエピソード」ワン・セカンド 永遠の24フレーム odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
フィルムを巡るエピソード
中国の田舎町では地域の公民館で映画を上映しているらしい、次の公民館にフィルムを運ぶために青年がバイクのバックにフィルムを乗せるが、夜は運ばないと言ってそのまま酒場に入ってしまう、なんとも不用心だと思ったら案の定、バイクから少年がフィルムを盗む、偶然目撃した男が追跡しフィルムを取り返すが、頭を殴られ、また奪われてしまう。しばらくは取り返したり盗られたりの繰り返し・・。
少年と思ったが実は少女だった。男は映画の冒頭、砂漠を歩いており放浪者かと思ったが訳あって、とあるニュース映画を観たがって上映先を探していたらしい・・。
タイトルの24フレームは映画フィルムの1秒間のコマ数、男が見たかったニュース映画に死んだ娘が1秒間だけ映っていたことを指しているのでしょう。男のフィルムへのこだわりは分かったが、少女がフィルムを盗むのはフィルムでランプシェードを作りたい一心、弟の為だと言っているが盗んだりナイフで襲ったりと根っからの犯罪者のような演出は甚だ疑問、おまけに2年も経ってから砂漠に捨てられた2コマのフィルムの切れ端を探す様、どう考えても無理でしょう。娯楽もなく映画館も少ない時代に町の公民館で上映される映画を多くの町人が楽しみにしているのは伝わりましたし、汚れたフィルムを皆で洗って乾かす様は熱意は感じますが、映画愛とは異質でしょう。
映画好きな町民たち、映画本編ではなく娘の映ったニュースに惹かれただけの男、単に物理的なフィルムを欲しがる少女、ドジな運び屋、生真面目な映写技師などフィルムを巡る様々な視点で描いたエピソード集、巨匠チャン・イーモウ監督作ではありますが作家性が強すぎて好みではありませんでした、ごめんなさい。