「☆☆☆☆ チャン・イーモウの新作は、日本で公開された中国映画の中で...」ワン・セカンド 永遠の24フレーム 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆☆ チャン・イーモウの新作は、日本で公開された中国映画の中で...
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チャン・イーモウの新作は、日本で公開された中国映画の中では『西洋鏡 映画の夜明け』『玲玲の電影日記』に次ぐ映画フィルムを巡るノスタルジー映画。
簡単な感想で。
とても面白かったので、鑑賞後に少しだけネットを確認すると、あらっ?意外と評価が宜しくない💧
曰く『プロパカンダ映画に熱狂する群衆の姿に…」云々。
他には男と少女の行う行為や、何かと見返りを求める人達。そして最後の展開等が、、、と言った辺りだろうか。
でもですね、そもそもですけど。主人公の男はプロパカンダ映画には見向きもせずに、ひたすら自分の娘の姿が映っているフィルムが見たいだけ。
それどころか〝 悪人分子 〟とすら言われる【反乱分子】なだけに、プロパカンダ感は見受けられないと思いますけどねえ。
寧ろ、肝心の娘が映っているプロパカンダのニュース映像自体が、馬車にズタズタになるまで引き摺られてしまう…って辺りは、絶対的な権力に対する《反体制姿勢》にすら見えたのでした。
そう言えば、終盤で捕まった2人はお縄になり、背中を併せて縛られてしまいます。
その状態から、例のプロパカンダ映画を、半ば強制的に観せられる2人の姿は。どことなく、キュープリックの『時計仕掛けのオレンジ』に於ける第九の場面のアレックスの様でもありました。
(いわゆるお仕置きの様なモノでしょうか?キューブリック作品よりは緩めな状況ではありますが)
この場面こそは体制批判には粛清をと言った、官僚主義に対するアンチテーゼの様に見えたのですけど…穿ち過ぎですかね?
最後の展開は確かに観客目線だと「こうあって欲しい!」…との思いからはちょっとかけ離れた結末だったのかも知れない。
しかし、こうとも考えられるのだろう。
今ここに1つの父と娘が存在する。
最早【それ】を探す必要性が無いのだ…と。
まあ…その辺りのある種の〝 あざとさ 〟が批判されてしまうのでしようけど。
そこは少しばかり理解出来るところではありましたが、、、
2022年5月26日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン6