「ファン電影」ワン・セカンド 永遠の24フレーム kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ファン電影
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なんという名前。そのまま映画大好き映写技師を象徴するようなネーミング。中国で一人しかできないと自慢する連続投影のシーンは胸が熱くなった。
終盤はとても良かったし、映画ファンにとっては『ニュー・シネマ・パラダイス』を想起せずにはいられないほど映画愛に満ちているのです。ただ、序盤のドタバタ喜劇風の展開はさほど魅力を感じなかったし、逃亡者(チャン・イー)が過酷な強制労働や脱獄シーンすらなかったことに平穏すぎて感情移入も半減。
さすがにオリンピックの総監督を引き受けたほど国民的大監督のチャン・イーモウだけに検閲の目も光っていただろうし、文化大革命批判の描写はカットされたのかもと想像してしまう。逃亡者もファン電影もリウの娘もいい感じで終わり、めでたしめでたしとなってしまえば駄作となってしまう・・・と思っていたが、ファンの息子ヤンのエピソードが語られると、さすがに目が潤んでしまった。そしてラストには孤児少女と再開して、彼女を養女として育てていくのかな~などと想像させる演出もにくい。
劇中劇でもある『英雄子女』はチャン・イーモウが選んだのかどうかは知らないけど、反米作品なのだろう。そして第22号ニュース映像。たった1秒しか映っていない生き別れとなった娘の姿を何度も見たい。そんな逃亡者の気持ちもよくわかるし、心を汲み取ったファン電影の優しさも心地よい。幼い頃は映画本編前に必ずニュース映像が流れてたなぁ~などと、懐かしく感じてしまいました。いつから無くなったんだろう?
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