ニューヨーク 親切なロシア料理店のレビュー・感想・評価
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共助の大切さ
コロナ禍で「自助・共助・公助」という言葉がよく使われた。格差拡大の現代社会では、自助では生きて行けない人がいるが、国が財政難では公助も絞られる。ならば、共助が大切ではないか。しかし、地域コミュニティも空洞化している今、どのような共助がありうるだろうか。
本作は、ニューヨークのロシア料理店に集う人々の共助を描いた作品と言える。夫の暴力から逃れて、2人の子どもを連れてNYの街で行き場を失っている。刑務所から出所したばかりの男をマネージャーに迎えたロシア料理店には、看護師をしながらボランティアでセラピストをしている女性はこのレストランの常連客。それぞれが様々な傷を抱えて生きているが、ふとしたことでこのロシア料理店で出会い、互いに助け合って生きていく。人は一人では生きていけない、助け合わないといけないという当たり前のことを描いた作品だが、役者の確かな芝居とデンマーク出身の監督らしい、リアリズムの演出で深く染み入る。今は失われた共助の大切を切々と伝えてくれる素晴らしい作品。
都市、異国情緒、群像劇の絡み合いに、シェルフィグらしい筆致が光る
一つの街を舞台に群像劇を紡ぐーーーそんな趣向の映画は腐るほどある。だが、大都市ニューヨークとその片隅のパッとしないロシア料理店を掛け合わせ、そこに集う人々の人生を慈しみ深く浮かび上がらせる手法には、北欧出身の名匠シェルフィグらしいタッチが光る。切実な理由を抱えてすがるような思いで逃げ込んできた母と息子たち。彼らの視点をすくい取り、地べたから見つめた都市の姿をありありと立ち上げていく様が興味深い。時に物語は胸をえぐるようなシリアスさにも傾くが、シェルフィグ監督はいわゆる”絶望”を描く人ではない。むしろ本作では、人と人とが微かなハーモニーを奏でるくだりで、ほんのりと幸福な温もりを灯す。夫にまつわる顛末をもっと丁寧に描くべきとの声もあろうが、逆に考えると、この温もりの映画に彼の居場所などなかったのだ。シェルフィグの作家性でもって彼を強制退場させたかのような早急な展開に、私は思わず笑ってしまった。
タイトルは、作品を見ると沁みてきます。予備知識不要です。まずは見てみてください!
まず正直、本作のタイトルには惹かれませんでした。
ただ、原題は「The Kindness of Strangers」で、これもちょっと微妙かもしれません。
なので、本作は見てみるしかないのですが、見ると確かに、それぞれのタイトルの意味が分かります。
最初に、夫婦が2人で寝ていて、突然、妻が起きて2人の子供を連れ出して車でニューヨークへ逃げだします。
どうやら警察官の夫に対して、子供が嫌がっているのが原因のようです。
……と、このくらいで十分で、あとは物語に身を委ねてみてください。
展開が結構、自然で面白いです。
人と人とのつながり合いも描いています。それぞれのキャラクターが「あ~、いるな、こういう人」と興味深く、私にとっては「救急病棟でナースをしていて、その合間に教会でセラピーのボランティアなどをこなすアリス」が一番気になる存在でした。
本作を見ていて、なぜかキャストに存在感があって不思議でしたが、見終わったあとに資料を読んで分かりました。もちろんビル・ナイくらいは知っていましたが、それ以外の人達も「あ~、あの作品の!」という人ばかりで、意外と豪華であることを知りました。
アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされた「17歳の肖像」の監督作ということも納得の心温まる作品でした。
親切と恋心は隣り合わせ
憎めないキャラクターが際立った登場人物に、話としてもよい作品だと思うのだが、なんかもやもや。マークはアリスに気持ちがあって、親切にしていたのは悪くないけど、家庭内暴力でそれどころではないタイミングで、なんか付け込んでるみたいにも見えないのが、うーん、モヤモヤ。いや、マークはいい人なんだけど、みんながみんな、そうじゃないのよ、気をつけて、といいたくなってしまう。
☆☆☆★★ ほんのちょっとだけ。 観終わると暖かい人生ドラマなので...
☆☆☆★★
ほんのちょっとだけ。
観終わると暖かい人生ドラマなのですが、これは賛否が分かれる作品ではないだろうか。
出て来る人物達は、1人を除いて全員が親切な人ばかり。寧ろ親切過ぎてしまい、逆に嫌味を言いたくなって来る人も居るか…と。
その辺りはもう好みの問題だとは思いますが。ちょっとだけ気になるのは、映画全編で《省略》が多いところ。
どうゆう事か…と言うと。観客が『あ?それ知りたい!」と思う箇所を、ことごとく《省略》してしまう辺り。
何かにつけて〝 説明 〟して貰わないと困る人には向かない作品と言えると思います。
最後にホッコリとさせて貰えるだけに、その辺りの大胆な編集にハラハラしてしまいました。
2020年 12月12日 シネスイッチ銀座1
むりやりドラマ作ってる
母親さー夫が警官だから警察行ってもダメとか言って子供連れ回しておままごと続けてて、あまりの状況打開しなさに知的障害って設定?と思ったけどそうでもない。長男がけしかけて初めて法廷行くって。そもそも長男がずーっと何か調べてんだから聞けって。ホームレスの老人が救いの手差し伸べても無視して、仕事を持ってるイケメンにはホイホイついてくのも感心できない。看護婦周りの人間関係も描いたり描かなかったり、手に負えないなら登場人物減らせばいいのに。大都会の片隅で懸命に生きていく庶民を描きたかったことは痛いほどわかるけど下手な映画だなぁーって感じ。高級店だって言ってんのになんの経験もない若者をドアマンに採用するとか、ただただいい話ねって言ってもらいたい一心のエピソードでプロの仕事とは思えない。
上滑り
DV被害で家を出た母と長男・次男の3人。
着の身着のままでニューヨークにたどり着くが…。
レストランのオーナーはとても良い雰囲気だったけど
それ以外の全てが予定調和を感じた。
みんな優しくて良いと言えばいいんだけど、
きっとこんなのはファンタジーだろうなと。
社会のあり方って意味では「わたしはダニエル・ブレイク」の方が良かったし
家族の物語としては「万引き家族」の方が良かった。
優しい人々
ニューヨークの優しい人々による、優しいストーリー。
人は、親切にされるのを拒む必要はなく、自分もいろんな人に新設をしたくなる気にさせます。
邦題がロシア料理店とあるので、もっと店を中心に進む映画かと思いましたが、料理店だけが親切な訳ではないです。
ほんと、題がいただけない。
スプーン
皆んなちょっと問題を抱えながら、他者への優しさを与えなが生きて生きていく。そして世界は結構冷たい。行き辛い世の中である。
お母さんそんなに計画無く家でちゃ駄目よ。子供達が可哀想だ。メアリー良過ぎる人。こういう人が報われて、幸せになれる世の中でありますように。
渋いけど見終わったら、ちょっとちょっと前向きに。
一言「人間の関係は、糸を手繰り寄せるようなものかな」。
タイトルからお店の料理云々かなあ、と。
ロシア料理の描写はほぼなくて。。
原題は「kindness of stranger」。タイトルうまくつけたな。
DV夫から子供を守る為NYに逃げてきた母親の話を軸に。
家賃滞納で家を失った青年、家族がなくいつも誰かの世話をしている看護師。
出所した男と、友その人弁護士。
落ちぶれたロシア料理店の、オーナー。
それぞれがどこかで誰かに、そっと手を差し伸べている。
その手が徐々につながっていく話が、興味深かった。
「辛い経験をした他人同士」でも。
助け合う気持ちが、どこかにあるんだな。
お節介の一歩手前のように。
人は一人で生きてるんじゃない、困ったときにきっと誰かが。
そして自分も誰かに手を差し伸べる時が、くるはず。
ラストは曖昧な終わり方だったけど、それが今回は効いている。
ロシア料理店の隣はコンサートホールで。
「モルダウ」が流れるシーン。人はどこかへ流れている。
あの交響曲のような余韻を、味わいました。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「“いい人“はやめたの」
マンハッタンのロシア料理店
マンハッタンのロシア料理店に吸い寄せられた人たち、男の子二人を連れて暴力夫から逃げてきた若い母親、料理店の経営立て直しにやってきた男、救急病棟で働きながらセラピーの会を運営している女性など。
群像劇だが、ドラマティックな展開は抑えめに、必死に生きる人達を温かい眼差しで見つめる。
余計な
事は話す必要なし。人間は寄り添って生きていければ。
DV夫から子供達を連れて逃げる場面から始まる。見ていて悲しい場面も沢山あるけれど、人の親切に触れ段々と心暖まる。
この映画淡々と物語が進んで行く、決して大袈裟な表現もせず。
いい作品に巡りあって得した気分になる、但しストーリーは単純なんだけどね。
みはじめて違和感が漂った。DVから抜け出すことは本人が悪循環を断ち...
みはじめて違和感が漂った。DVから抜け出すことは本人が悪循環を断ち切れないからかなり難しいと聞く。クララは主婦だと言った。子供にもDVが及んでいるようでこれならDVのための社会福祉施設になぜ行かないのかと。州により少しの違いがあるがDVのため家から出て施設に行けば自宅に返されたり、DVの夫に会わせられることは一切ない。施設はプライバシーが守られて安全なところなのになぜニューヨークにクレジットカードなしで十分な金も持たずに行くのか全く理解できなかった。
クララが子供達に大都会を見せたいというので納得したが、その後シャワーも入れずゴミ箱を漁り万引きもし始めた。ニューヨークの施設に行ってもいいのにと思っていた。絶対夫には知らせないから大丈夫なのに。知識が不足しているとしか思えず非現実的に思えたが十人十色だからこういう人もいるだろうと思ったりもした。
それにこう思っちゃったら、見ず知らずの人にも親切にしてくれるという設定で理想的でありながらよく見かける光景を描こうとしているのが台無しになる。この中に出てくる一人一人が人に優しくしてあげるし気を遣ってあげてる。
それをよく見せていると思う。
アリスは看護婦をしながら、精神的に行き詰まっている人々の話を聞いてあげるというボランティアを教会の部屋を借りてやっている。教会というのは日本の寺や神社と違ってこういうボランティアの場所を提供してくれる。教会も宗派によるので全部が食事を無料で提供してくれるとは限らないが。私は個人的にとか勤めている学校の生徒と一緒にこういうところでボランティアをするから見知らぬ人と会話から始まる気づきや人々の奉仕精神の豊かさがよくわかる。
後でわかったことだが、監督はニューヨーカーじゃなさそうだ。だから、こういう違和感のある映画になったんだとも思った。それにイギリスやらフランスなど多様な俳優を集めたね。
結末がどうなるのか。。。
シュールな人たちがくねくねとした迷路のような糸のような跡を辿って繋がっていく不思議なストーリー。
同時上映で2本観たけど、両方ともよかったと初めて感じたわー。
この映画も勿論◎でした、私的には!
普通に楽しめた映画!
観れば分かりますが、普通に好きな映画です。
脚本の参考になりました。ありがとうございます。
お母さんと一緒に観に行ったのですが、初めて無言で帰りました。決して面白くなかったわけではありません!なにもツッコミ所がないのがよかったです。
ちゃんとしたキャスティングと演出がよくできていて、羨ましいなと思いました。
アメリカとカナダには行ったことあるので少しだけ面影を思い出しました。
人と人の繋がり
アメリカ・ニューヨークでの影を描きながら、訳ありの人達が交わる老舗レストランでの人間模様。素直に良い映画だと思います。個人的にニューヨークの街並みに憧れがあるせいか、描写も非常に好みだった。そこだけで加点ポイントになっている気がする。
ただ脚本的にはメインの登場人物やストーリー毎の盛り上がりがあるんだけど、脚色のせいか全体的に薄い印象になった感が否めないか。そして、いつもながら邦題が…『親切な〜』は映画全体を安っぽくしている気がする。
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