ペトルーニャに祝福をのレビュー・感想・評価
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観る角度を変えて、上げた拳の下ろし所を考える作品だとしましょう。
以前に「岩波ホール」での予告編を観てから、なんとなく興味のあったのとタイミングも合ったので鑑賞しました。
で、感想はと言うと、ツッコミどころはそれなりと言うか、結構あってw、ちょっと変わってる。
でも観る角度を少し変えるとなんか気になる感じな作品。
北マケドニアの小さな町、シュティプに暮らす32歳のペトルーニャは、美人でもなく、太めの体型で恋人もおらず、大学で歴史を歴史を専攻していたが、卒業後も仕事は無く、無職の日々を過ごす。
ある日、叔母から紹介を受けた面接でも、セクハラを受けたうえに不採用になってしまう。
その帰り道、むしゃくしゃしたペトルーニャは地元の伝統儀式に遭遇する。
司祭が川に投げ入れた十字架を男たちが追いかけ、手に入れた者には幸せが訪れるというもので、ペトルーニャは思わず川に飛び込み十字架を手にするが、女人禁制の儀式に参加したことで男たちから猛反発を受けてしまう。だが最初に手にした十字架の事実はニュースで流れ、事件は大騒動へと発展する…と言うのが大まかなあらすじ。
マケドニアとなかなか馴染みの薄い国の作品で国の情勢などに関しての知識が少ないんですが、昔で言うところのユーゴスラビアでギリシャの隣との事。国の経済状況はあまり良くない感じ。
そんな経済的に余裕の無い国の三十路の太めのオバちゃんが、何を思ったか、男性限定の福男祭りに乱入して掻き乱す映画w
まず、大いなるツッコミどころとしては、思わず男性のみの伝統儀式に何故参加したのか?と言う点。それも思いついた様に突然w
これって、兵庫県の西宮神社で毎年行われる「十日戎開門神事福男選び」に突然乱入して、女性が一番にゴールするみたいなものかなと。
まあ「十日戎開門神事福男選び」は「福男」と明記されてますが、女性も参加できるんですがw
普通に考えたら、参加資格が無いのに何の準備もなく、フラッと現れて、フラッと川に飛び込み、十字架を手にして「私のもんだ!」と言われたら、「そりゃ周りは怒るわな」となりますわなw
まさしくそこが1番のツッコミどころで、あとはご乱心の如く、頑なに「これは私のものだ」と固辞する。
固辞したくなる気持ちも分かるが、突然乱入しての参加で横からかっさらうのってどうなんですかね?
また、女性レポーターが入って、この事件を大々的に取り上げ様とするが、周りもそんなに関心は無いし、そんなに広がらない。
女性リポーターの「女性蔑視」論だけが空回りしている感じ。
教会の牧師と言うか事を穏便に収めようとする教会側の意見の食い違いに統制が取れていない。挙げ句の果てに意見がコロコロ変わるから、ヤキモキと言うか、「お前本当に宗教者か?」と疑いたくなるぐらいに神に対しての思想思考が感じられない。
だから観ていても「なんだかな〜」な気分になるw
そんな感じの人達ばかりで、良い奴は皆無に近いし、事件らしい事件も無いから展開も薄い。100分と上映時間もなんか中弛みがする感じ。
じゃあ、全くダメか?と言うと個人的にはそうでもないw
「上げた拳の下ろし方」と言うか、不本意に張ってしまった意地をどう緩めるかに注目するとなんとなく面白いんですよね。
ペトルーニャにしたら、周りに祝福される訳でもないし、そんなに欲しい物でもないw
言うなれば、オークションでライバルと競り合って、意地で競り落としたが、ふと我に返ると「…これ、そんなに欲しかったっけ?」と言う感じw
周りは暇かどうかは置いといてw、ある程度の福男伝統儀式にそれなりに賭けていたので、横からかっさらわれたら「こんちくしょー!」となっても致し方無しだけど、これも拳の下ろし方を何処かで考えていたとしても、未だに男尊女卑が根強く残るお国柄だけになかなか難しいが、周りの反応が冷ややかなのは「正直、それどころではない」と言うくらいに経済不況の方が深刻。
なので、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」とばかりな感じな訳w
でも、周りの人達はペトルーニャの行為を「悪魔の所業」とばかりに避難する。
それも一番エキサイトしてる様に見えるのは実の母親w
そりゃあ、ペトルーニャも意固地になるわなw
でも、ダウンした母親にサッカーボールキックはあきまへんw
なので、ラストのオチもあっさりと言えばあっさり。
でも、上げた拳の下ろし方とすれば、タイミングとしては「ここでしょうね」と言うぐらいなんですよね。
…雪が降った景色を見ると、今までのわだかまりを全てを覆いつくして、ペトルーニャの心も洗い流す様に包み込んだ…と言うと綺麗にまとめ過ぎですねw
個人的にはレポーターとペトルーニャの問題の認識の温度差や、警察の不当逮捕的な拘束や警官同士の共有の不一致。
警察署前での暴動的な行為の見逃しや、友人女性の手のひら返し、面接での意味不明なセクハラと父親の草食っぷり。
そして、ペトルーニャの寝ている際の何故かのオッパイ描写と面接を受けた後に怒りのあまりに持ち帰ったマネキンの方が不本意にも気になりますw
また、ペトルーニャが大学出のインテリな筈なのに、その片鱗が見えない事や共感しにくい不美人な感じ(個人の好みによる)が、徐々になんとなく綺麗に見えていくマジック的な方が不思議。
また、警察署の取調室みたいな部屋の壁がジャングルの奥地の様な壁紙の方が不思議ですw
と、色々と?が付く感じの不思議な作品で、ペトルーニャの意固地になる程の意地は自身の置かれた立場からの逆襲と虐げられてきた怒りなんですよね。
母親にすら自身を信じてもらえない境遇と女性蔑視の数々。
「私は大学で歴史を学んできたインテリやぞ!」と言う声は別に強く秘書になりたかった訳でもない。でもお針子さんになりたい訳でもない。
とりあえず就職が出来れば良いが、下手なインテリが邪魔してるばかりにタチが悪いんですよねw
いろんな部分で見ている側も共感出来たり出来なかったりと慌ただしい作品ですが、マケドニアの作品と言う事も含めて、なんか珍しい作品で客観的に見た「上げた拳の下ろし方」を標準的に教えてくれる作品かなとw
凄く、お勧めな感じではありませんし、観た人の殆どが「是か非か?」なら多分非w
なので、あくまでも個人的な一意見と捉えてくれれば幸いですw
何も起きない「永遠の国」
初めからほとんどラストまで予想通りの展開で、「もう少し何かないのかな?」という残念作であった。
緊張感のある話の展開とは打って変わって、「結局、そこか・・・」という、ふにゃふにゃした結末にはがっかりだ。
「女性差別」もあるが、むしろその点は女性レポーターの方が熱心であって、ペトルーニャ自身はあまり意に介していないようにみえる。
ペトルーニャの行動は、本人も言うように衝動的なものであり、十字架を返さないのは、単に“ずっと虐げられてきた者の怒り”で意固地になっていることが理由で、それが結末にも反映されている。
キャラクターの設定もおかしい。
ペトルーニャの、「中国革命」の歴史を学んだ大卒というだけで就職しようとしている、太った女性というキャラ設定は、単純で深みがない。
神父のご都合主義的なキャラクターも意味不明である。神父のどっちつかずの煮え切らない態度が、最初から最後まで混乱を引き起こしているのだが、“宗教者”としての態度も思想も感じられない。
もちろん、“この事件が原因で女性差別が改善された”ということがあるはずもないが、「宗教」や「女性差別」を扱っているわりには、要となる登場人物に魅力のない、底の浅い作品である。
「神は女性(Her) 」みたいな感じの原題と、内容は釣り合っていない。
ペトルーニャの頑張りに“快哉”を送る人には楽しめるのだろうが、「一体、何がラストに待ってるのだろう」と不思議な気分で観ていた自分は、肩すかしを食った。
知ったんだから改めて。
大学を出てウェイトレスをしている32歳の女性が、女性は参加出来無い長寿と幸福を得られる十字架を取る祭りで、十字架を奪取し巻き起こる話。
専攻が仕事に繫がらないのは世間のせい、志望する仕事に就けないのは人のせい、と何でも人のせいにして努力もせず自立出来ていない主人公。まあ、この作品で何でも人のせいは他の人もそうだから、そういうお国柄なんでしょうけれど。
言い換えれば観客が客席から競技しているフィールドに乱入してゴールテープを切り、景品を盗んで行ったてことですよね?
それを理路整然と論じる人物が誰もいなければ、神父もブレまくりだし、その状況で警察は出しゃばるし、世間は興味ない中でフェミニストリポーターは神事にイチャモンつけて鼻息荒いし…。
そんなやり取りがウダウダ続き、終盤急に話が動くけれど、それって論点ずれてません?
コミカルさは無いけれど、何も為さずにギャーギャー騒いでいただけでラッキーが訪れた棚ぼた映画という感じのコメディですか?
自分には面白さが解らなかった。
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