劇場公開日 2021年5月22日

  • 予告編を見る

「何も起きない「永遠の国」」ペトルーニャに祝福を Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5何も起きない「永遠の国」

2021年5月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

初めからほとんどラストまで予想通りの展開で、「もう少し何かないのかな?」という残念作であった。
緊張感のある話の展開とは打って変わって、「結局、そこか・・・」という、ふにゃふにゃした結末にはがっかりだ。

「女性差別」もあるが、むしろその点は女性レポーターの方が熱心であって、ペトルーニャ自身はあまり意に介していないようにみえる。
ペトルーニャの行動は、本人も言うように衝動的なものであり、十字架を返さないのは、単に“ずっと虐げられてきた者の怒り”で意固地になっていることが理由で、それが結末にも反映されている。

キャラクターの設定もおかしい。
ペトルーニャの、「中国革命」の歴史を学んだ大卒というだけで就職しようとしている、太った女性というキャラ設定は、単純で深みがない。
神父のご都合主義的なキャラクターも意味不明である。神父のどっちつかずの煮え切らない態度が、最初から最後まで混乱を引き起こしているのだが、“宗教者”としての態度も思想も感じられない。

もちろん、“この事件が原因で女性差別が改善された”ということがあるはずもないが、「宗教」や「女性差別」を扱っているわりには、要となる登場人物に魅力のない、底の浅い作品である。
「神は女性(Her) 」みたいな感じの原題と、内容は釣り合っていない。
ペトルーニャの頑張りに“快哉”を送る人には楽しめるのだろうが、「一体、何がラストに待ってるのだろう」と不思議な気分で観ていた自分は、肩すかしを食った。

Imperator