「ミュージカルというよりは」イン・ザ・ハイツ tkryさんの映画レビュー(感想・評価)
ミュージカルというよりは
オペラみたいな感じですかね。
平場のシーンではなく、歌でお話が進行していくイメージ。
終始鳴り止まない音楽に、陽気な男性陣、美しい女性陣、美味しそうな食事…まさに大画面で観てこその映画でしょう。
お話も、ディズニー・ピクサー映画のように「当初の目的を達成した先に、本当のゴールがやってくる」という起承転結の二重掛け方式で、よく出来ていると思いました。
ただ、私にとっては若干テンポが悪いように感じました。
普通の映画ならば、せいぜい90分くらいで済ませるささやかな話なのに、大抵のシーンがメロディーに乗せて、節をつけて歌うわけですから、長尺になるのも当然かな、と。
また、通常のミュージカル映画と違い、エモーションが盛り上がっての歌唱シーン突入ではなく、基本どのシーンもすべからく歌で進行させる縛りを入れた結果、メリハリが弱く感じ、途中で飽きがきてしまいました。
曲自体も私にとっては、あまり印象に残らないものに感じ、OPナンバーを除いてサントラなどで聞き返す気にはならないかな。
ここは完全に好みの問題です。
テンポで言えば、終盤が特に鈍重に感じました。
よく出来た映画だと、終盤ギアを上げて畳みかけをすることが多いと思うのです。
しかし、この作品は主要キャラそれぞれの旅立ちを、良く言えば丁寧に描いてくれるのですが、裏を返すと終盤こそが極端にテンポが緩くなってしまっているのです。
曲の好みは人それぞれですが、キャストもお話も悪くないので、テンポをチューニングし直せばもっと締まりのある印象になったかな、と。
もしかしたら傑作になり得るポテンシャルはあったと思うので惜しい印象でしたね。