「正義のヒーローに代わって悪党ども(とコロナ)をお仕置きよ!」ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
正義のヒーローに代わって悪党ども(とコロナ)をお仕置きよ!
新型コロナウィルス感染拡大によって話題作が続々公開延期となる中、本作を観れるのは素直に嬉しい。現状況下、唯一のハリウッド最新話題大作と言っていい。
公開に踏み切ってくれたワーナー・ブラザーズ、ありがと~!
余談だが、元々地方故上映本数が少ない事に加え公開延期が相次ぎ、次劇場鑑賞予定は5月中旬の『ムーラン』『燃えよ剣』までナシという、まさしくコロナショック! いやはや…。
暫く劇場鑑賞はお預けになるので、本作をたっぷり楽しんだ。
思えば『スーサイド・スクワッド』を観た時、ハーレイ・クインというキャラをあれ一本で終わらせるのは余りにも惜しいと思った。それだけ魅力的なキャラだった。
ご存知のように、ヒーローではなくヴィラン。ジョーカーの恋人。
性格はブッ飛んでる悪カワ。あの悪党チームの中で、存在感も印象もズバ抜けていた。
『スーサイド・スクワッド』作品自体は厳しい意見が多いが(自分は嫌いじゃない)、ハーレイ・クインについてあーだこーだ言う輩はそう多くないだろう。
それらに加え、演じたマーゴット・ロビーの留まらぬ…いや、さらに勢い上昇中の人気と実力。
スクリーンに戻ってくるのは必然だったのだ。
『スーサイド・スクワッド』のラストで愛しの“プリンちゃん”の元に戻ったハーレイだったが、何と破局! ヴィランの世界にもそういう事あるんだ…。
ハーレイの事だから失恋して泣きじゃくる筈が無い!…と思ったら、意外や意外、泣きじゃくり。まあ、自分の人生を変えた男だったからね…。
とは言え、いつまでも泣いてはいない。失恋女子あるある、髪を切り、過去と決別し、新しいアタシを生きる!
しか~し!
ジョーカーと別れた事が知られ、“ジョーカーの恋人”として散々やり放題やってきたハーレイに、ゴッサム中の悪党たちから狙われる。
現在ゴッサムの暗黒街を牛耳る“ブラックマスク”もその一人。
また彼は、超高価なダイヤを狙っていたが、それをスリ少女に盗まれてしまう。
それをきっかけに、ハーレイはダイヤと盗んだ少女を巡る熾烈な争奪戦に巻き込まれる事に…!
ポップなアニメでの開幕が本作を物語っている。
とにかくただただ、愉快で楽しい!
ユーモアたっぷり。カメラ目線で話しかけたり、突然ミュージカル風になって歌を歌ったり。
ナレーションもハーレイが。なので、まともに語らず、脱線したり時系列がバラバラだったり。
そんなハーレイが魅せる、アクションの数々。
超人的な能力を持っている訳ではないが、抜群の身体能力。繰り出される肉弾アクションは華麗。
ハーレイの武器と言ったら、バットやハンマー。手にした途端、覚醒し、相手をボッコボッコ!
極め付けは、クライマックスのローラースケート・アクション! そのエキサイティングさは、もう立派な超人です!(そういや、マーゴットはトーニャだったね)
加えて、今回主役になった事で、クレイジーさ×キュートさは増し増し!
もし自分の身近に実際に居たらさすがに勘弁だけど、こうやってエンタメ映画として観るなら、ハーレイのクレイジーさとマーゴットのキュートさの魅力で何も言う事ナシ!
敵対するブラックマスクは『バットマン』の中でも人気のヴィランだという。相手の顔の皮を剥ぐ残虐なサイコ野郎だが、何処か笑いの要素もプラスし、ユアン・マクレガーを楽しそうに演じている。
彼に忠実な凶暴部下もインパクトあり。
そんな男敵に挑むは、女たち!
ハーレイを筆頭に、キラーボイスの歌姫、クロスボウの暗殺者、はぐれ刑事、そして騒動の渦中のスリ少女。
いずれも劣らぬ訳アリで個性的な女たちだが、中でも、クロスボウキラー…じゃなくて、ハントレス役のメアリー・エリザベス・ウィンステッドがクール!
当初は敵対し合ったり、出し抜いたりの5人。
5人がやっと組むのは、本当にクライマックス。
ブラックマスク率いる男軍団に包囲され、女たちは即席のチームを組む!
待ってました!の高揚と、アトラクションで繰り広げられる5人の快テンポのウーマン・アクション!
やはり本作の一番の見せ場!
後それから、“ブルース”も可愛かったね。
主役も女性、チームの面子も女性。(女性は女性でも有色人種や中国系など昨今のハリウッド)
監督も女性、脚本家も女性、マーゴットはプロデュースも兼任。
ウーマンズ・パワー!
ひと昔前のアメコミ・アクションでは考えられなかった事。
厳しい意見もちらほら。
まあ確かに、これまでのDCユニバース作品と比べスケールには乏しい。
客観的に見てみれば、ただ入り込んでいるだけで、話は単純な争奪戦。それをノリノリ音楽とハイテンションと過激アクションで押し切っている感も…。
でも、それでもいい!
バイオレントにクレイジーにキュートに!
最凶ヒロインの暴れっぷりをまだまだ見ていたくなる。
今度、あの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガンが『スーサイド・スクワッド』をリブート。キャストは一新されるらしいが、ハーレイだけはマーゴットが!
そうでなきゃ! マーゴット以外のハーレイなんてもう考えられない!
たっぷりの魅力に、痛快スカッと!
こういうご時世だからこそ見たい。
正義のヒーローに代わって、悪党ども(とコロナ)をお仕置きよ!