「良心を取り戻す物語でもあった」黒い司法 0%からの奇跡 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
良心を取り戻す物語でもあった
エンドロールとともに正直考え込んでしまった。死刑制度維持派の自分にとって、あまりにも大きな事実が突きつけられたからだ。被害者遺族の心情、犯罪への抑止力を考慮すると死刑制度の廃止は時期尚早と思っていたが、この映画を観終わって、その考えは大きく揺らいだ。
この手の映画にありがちな、過剰な演出はなく、淡々と物語は進んでいく。他の映画では、どちらかというと感情むき出しの熱い演技をするマイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、ブリー・ラーソンが感情を抑えて、闘志を内に秘める。ノンフィクションである原作をそのまま再現しているように感じた。こう言った演出が、より真実味を増して見ている自分にグサッ、グサッとささる。特に、ブライアンが刑務官に屈辱的なボディチェックをされているシーンなんかは、見ているこっちの頭が沸騰しそうなのに、ブライアンは、正義の実現のための耐え忍ぶ。
アメリカのミステリー小説で60年代、70年代のディープサウスでの人種差別や黒人の貧困問題が題材にされることが多いが、80年代後半になってもここまでひどい差別が続いているとは思わなかった。警察、検察、裁判所、陪審員全部がグルだったら、絶望しかない。
ブライアン、エバの正義へ戦いであるとともに、検事や偽の証言をした人間が良心を取り戻していく物語でもあった。
bionさん、
コメントありがとうございます。私は、原作を読んでから映画でした。コーフィ役とトム・ハンクスがとても良く、笑える個所もあって、作品の印象がとても(いい方に)変わったなと思いました(コメント書く場所、また間違えました…)。
bionさん、
コメントありがとうございます。コーフィではなく(「グリーンマイル」新潮文庫の第4巻で)別の死刑囚のドラクロワが電気椅子にかけられる場面でした。看守のパーシーが、意図的に、海綿を塩水に漬けなかったために大惨事になった場面で、映画でもそのシーンはあった記憶があります(自分のレビューの下に自分でコメント書いてました。すみません!)。
bionさんへ
エジソンは電気椅子も交流送電のネガキャンに使ったそうです。で、その電気椅子の開発ですが、「一発ショックで楽にする事」が可能になるまで、実験を繰り返してるんです。人を使って....一回の通電で楽になれず、苦しんだ死刑囚がいたって事ですね。怖いです。
今晩は。
少し固い話になりますが、私も日本の死刑制度は維持すべきという考えを持っています。(他のレビューでも書きました。)
が、それは三権分立が正しく機能していることが大前提です。(当たり前ですが)
で、今作を観て、行政を司る大本が揺らいでいる国での死刑制度維持は大丈夫なのか?という危惧を感じた次第です。
映画は娯楽ではありますが、今作の様に観る側の姿勢を問うてくる映画を製作する人たちには敬意を覚えます。(だって、場合によっては身の危険が生じる場合も昨今の状況では充分考えられますよね。)
では、又。