ジョーカーのレビュー・感想・評価
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“White Room” by Cream
正にラストでの女性との会話が行なわれている場所が“白い部屋”ということで繋がっているのかと思いきや、実際使われているシーンは“町の暴動をパトカー越しに眺める”ところだったのだが(笑
今作品のテーマ性を回想するに、表面上での経済格差、それに伴う弱者の蜂起等が掲げられているだろうが、それより特異なのは、ストーリーの建付けとして、今作品の何処までが主人公アーサーの“妄想”で、どこまでが現実設定なのか非常に曖昧となっている作りなのではないだろうか。1回しか鑑賞していない、しかもパンフレットや原作も未読なので、初見のみで判断が前提だが、前述の通り、あの白い部屋は多分精神疾患病棟内の、しかも厳重な警備での面会室であろうことを思わせる。そして、手錠を掛けられている主人公の嘯く「ジョークを思いついた」「理解出来ないさ」。手錠装着は気になるが、あのシーン迄の延々と続いたアーサーの辛く厳しく、そして“悲劇”が“喜劇”に堕天した一連の叙述詩さえも、実はあの一瞬の思いつきである“ジョーク”そのものではないのだろうかと勘ぐってしまう印象なのである。いると思っていた彼女は実は妄想であったり、所々“信用ならざる語り部”的なフォーマットが差し込まれる件は、これら全てがまるでジョーカーの頭の中で描かれた虚画を見せられた、そんな解釈を抱いてしまう。もし、自分の見立てが間違っているのならば、どなたかご指摘頂ければ大変有難い。
幾度もひっくり返るアーサーの出生事実、そして幼少期の母親からの虐待は、背中に刻まれたケロイド状の痣の痛々しさや、トゥレット障害をより一層際立たせる“伏線”であり“回収”だ。周りに幾度となく心を抉られ、社会からの保護も失われ、底まで堕ちた男の生まれ変わりは、決して大袈裟ではない演出と、地に足の付いた演技としての俳優“ホワキン・フェニックス”の力量で、それがドキュメンタリーとしての要素も帯びた重厚な内容である。分かり易いBGMの効果音や、ニューヨークを感じさせるスタンダードジャズ、そしてあのクリームの有名曲を絶妙に配置することで、否が応でも主人公アーサーへの感情移入が逃れられない。正論を吐くTVショー司会者役の“ロバート・デ・ニーロ”の表現は正に現実社会の代表的意見に他ならない。弱者への労りを無くした社会はこうして“化物”を産み出す胎盤と化すであろう・・・と、ジョーカーっぽくはないが、これもジョークなのだろうか(苦笑
アメリカンジョークが今イチ飲み込みづらい自分としては、スタンドアップコメディの面白さが今作品の鍵であると感じたので、そこがぼやけてしまう事に、自分の理解不足を恥じる部分もあるが、それ以上に“ヒトをクった”作りそのものがジョーカーらしい興味深い作品である。「この人生以上に硬貨な死を」、尤も胸に刺さる言葉である。
呪われてるレベルで最凶の演技!ホアキン!
JOKER
かの有名な
バットマンの名悪役が誕生する時のお話
今回主演のホアキン・フェニックスがまじでヤバい
表情、喋り方に笑い方、動き、雰囲気全てが狂ったオーラを纏っていてめちゃめちゃ見入ってしまった!
辛辣な運命を、狂気と暴力という名の喜劇にしていく様は、痛みと恐ろしさを感じつつも何故か少し気持ちが良くもあって、どこか筋の通ったカリスマ的なカッコ良ささえ感じてしまう
決して肯定はできないけども彼の生き方や考え方は、どこか見ている自分らの"心の中の普段見ないようにしてる部分"を揺さぶってくるよう。
最狂ヴィランの誕生譚映画として
伝説に刻まれるに値する一本だと思いました!
とにかくホアキン・フェニックスの演技がまじで呪われてるレベルですごい😳
地獄から生まれた道化師
『ダークナイト』ヒース・レジャーのジョーカーは、悪魔そのものの「狂気」が人の形をして、地上に舞い降りたような存在だった。
すべてのルール、理(ことわり)を破る存在という意味で「トランプのジョーカー」だった。
本作のジョーカーは、違う。
障害を抱えた貧困にあえぐ人間が、他人から存在を認められず、社会に虐げられ、悪意に晒されて、身体に埋まっていた「悪魔の卵」が徐々に大きく育ち、孵化する姿を描いていた。
悲劇が喜劇に見える、笑えないコメディアン「道化師のジョーカー」の誕生物語だった。
進むも留まるも引き返すも、この世界全てが地獄であり、幸せにはならない理不尽な世の中への憤り、怒り。
そして、恐怖の「笑い」が爆発する。
殺人という行為は許されないとは思うが、無自覚に弱き立場の人をさげすんでいる富裕層~一般人が、実に「殺されて当然」とさえ感じ、ジョーカーに感情移入してしまった。
人種を分断し、社会保障費を削り、格差が広がる一方である現在のアメリカ社会で、これをよく作ったなと感嘆しつつ。
実際に虐げられている(同然の低所得などの)層に、この映画は救いとはならないようにも思えもし。
あと、日本でも、安い仕事しかない若い人や、会社をリストラされたり、ハラスメント関連で鬱になったりした人にとっては、本作の内容は「今そこで現在進行形の地獄」そのものを見せられるようなものかもしれない。
(日本でヒットするなら、この国も貧困に喘いでいる人が多く、社会や政治に不満を持つ人が増えているということであろう)
正直、つらく感じる部分もあったが、これを成立させたのは、ホアキン・フェニックスの怪演であろう。
危ういバランスの中の、面白さであった。
発想が古い
バットマンの悪役JOKERがJOKERになるまでのお話と言う事ですが、
大昔に作られたJOKERの設定があり、それを守ったからなのか、
監督のセンスが古いのかはわかりませんが、
境遇や環境が悪を産んだ、みたいな安っぽい悪役の話になっちゃったなと思いました。
映画のストーリー自体も中盤まではわかりやすい話をダラダラと流してるだけの印象で、
JOKERとバットマンが兄弟!?(結局ガセ風味)みたいな話にしたいのは
序盤ですぐ予想がつくのに
いつまでもマンネリな茶番を見せられている様に感じて疲れました。
そのネタの後にJOKERとして目覚めて行く様は中々格好良いシーン多めで
楽しめました。
(ただ小人症の人に「お前だけは俺に優しかった」と殺さずに見逃すシーンは
まさにしょぼい悪役でガッカリです)
ラストのオチも、
全部妄想だよ~みたいな事を言われても、
つまらない妄想を映画にするなよ、としか。
全てが酷い
要注意
スーサイドスクワットと同じ感じかなあと思いながら観に行き後悔しました。
フランス映画で精神を病んだ男の悲しい人生を延々と見せられる映画を昔見たのですがそれと同じ感じでした。
どこからいつものジョーカーになり悪の限りを尽くすのか?バットマンは?ハーレークイーンは?
全てありません。
精神を病んでる方には見せたくないような内容です。
途中で妄想なのか現実なのかわからないところもありそれは後からわかるのですがマイナス点としてコメディアンとして舞台にあがる場面は何か唐突な気もしました。
とにかく重い重い映画ですがジョーカー誕生の瞬間とも言える場面は最高です。
あと常に画面は暗いです。ダークな世界観に浸りたい人には満点かもしれませんが私には救いのない憂鬱感が少しキツかったです。
ジョーカーの脳内を追体験する122分
笑っているのか、それとも、泣いているのか
悪から生まれたわけじゃない
気候は狂い、台風は暴れ大企業は汚職ばかり
国のトップはSNSやミサイル遊び
今の世も混沌としていて正しいことがわかりづらくなってきてしまってる
そんな時に現れるのかこのジョーカーではなかろうか
悲しみや辛さを笑いで覆い一筋の光となって人々を導く事は容易くはない
ただ、このジョーカーは自分のことだけ見てくれる優しさに飢えていただけなのかも
そりゃさ、誰だってそんな時があるだろうさ
弱気になってる時なんかとくにさ
だから踏ん張って頑張って我慢もして時には自分さえもなくなりそうになっても生きていかなきゃダメな時があるでしょ
辛いことと楽しいことが半分づつとは言わない、むしろ辛いことばっかりかもしれない
人に生まれたのだから仕方がないと諦めることもあるし
その逆もある
人だからこそ心から「幸せ」を実感することも出来る
そんな時はこの上なく暖かい気持ちで覆われて天にも登るような時だってあるよ
あー 生きてて良かったな〜〜と思える時が人生で数回あるだけで儲け物
そんな時がまた来るように踏ん張って頑張って生きていきたいものですね
どいつもこいつも…!!
バットマンの悪役であるジョーカーが誕生するに至った物語で原作にはないオリジナルの話。
コメディアンになりたいメンヘラなパーティークラウン=派遣ピエロのアーサーが、ゴッサムシティの不条理に押しつぶされていくストーリー。
バットマンが登場する十数年前の話だし、ここから狂気に満ち残忍になっていくのかも知れないけれど、言動の訳がわかってしまったし、頭のキレや賢さみたいなものは感じられず。
家庭や友人に恵まれない上に不器用で精神的に病んでいる哀しい男が、荒んだ社会の中で歯車が上手く噛み合わず堕ちてしまった悲運な話としては非常に面白かったけど…確かにジョーカーなんだけど、これジョーカーですか?という感じがあった。
やっちまえ
稀代のジョーカー、爆誕
出だしの鬱展開から、一転して中盤から後半にかけての疾走感の素晴らしさ。
そして、あの「ダークナイト」の凶悪なヒース・レジャーを超えるジョーカーが現れるとは思わなかった。
しかも、ジャック・ニコルソンの狂気を上回りかねない、ラストのカリスマっぷりは見事。
ホアキン・フェニックスのジョーカーは、幼い頃の体験から来る哀しみと、それが故に抑圧された精神が、一挙に解き放たれてしまう昂揚を自然に纏っている。
さて、両親を目の前でジョーカーに殺されたウェイン少年の復讐譚は、ここから始まるのかな。楽しみがまた増えた。
圧倒的カリスマ、共感力の鬼
まず最初に、話題作だからとおもってライトに観に行くとしっぺ返しをくらいます。ご注意を。特にデートなどではお互いが予備知識あって興味ある人じゃないと時間が台無しになると思われます。
本題です。
PV観て、名作確定と思っていた更に上をいく作品でした。ホアキンジョーカーの演技力もハードル上げて観たのに更に超えてきて息するのを忘れるってことことかと感じたレベルでした。ビューティフルデイのホアキンからは想像できない体をしていて、そこにも驚愕でしたね。そこにカメラアングル、音楽が良すぎてもう鳥肌ものでした。
ジョーカーの笑い、悲しみ、怒り、すべてを表現し切ったホアキンに、最後は涙しかありませんでした。(まわりはあまり泣いてなかったようですが)
とにかくしっかりと構えて観てほしい。動作、音、全てもれなく全身で感じて観ないと良さが伝わってこない映画でした。これ、Blu-rayとかで観るとイマイチなやつです。興味ある人は必ず映画館で!
社会が生み出したダークヒーロー
率直な感想としてめちゃくちゃ面白かった。ランキングをつけるわけではないが、近年で観た作品の中でもトップクラスに面白かった。
なぜそこまで面白かったのか、やはり人間誰しも弱さや不安を抱えているのであろう。決してジョーカーの行いは賛同できるものではない。だけど共感してしまうところがあり、いやその共感こそも本来良くないのかもしれないそうやって自分と葛藤して観ることができた。
なぜ葛藤するのかそれはアーサーも語ってたが自分の中の正義や悪は果たして大衆も同じな物差しなのか分からないからであろう。
だから今ある正義が明日には悪にはなり、悪が正義にもなりうる。今ある喜劇が数秒後には悲劇となり、悲劇が喜劇にもなるのだろう。
まさしくアーサーだって同じだ。環境が違えば大衆に支持されるコメディアンになっていたのかもしれない。かれをダークヒーローに導いたのは家庭環境だったり、まさしく社会である。社会が裕福な者だけに幸せを求め過ぎた。求め過ぎたからこそ喜劇からの悲劇の転落であろう。
真反対のことがちょっとしたきっかけで起きてしまう。そのエネルギーは誰しも持っている。そんな事をハラハラしながら観ることができた。
ただこの作品はジョーカーの事だけに共感するわけではない。やはり彼の行いは結果としては悪である。
その暴走する悪に、将来制裁してくれるブルースの存在が分かっているからこそ楽しく観れるのであろう。
最後にホアキンのジョーカーも非常によかった。独特のサイコ感がたまらない。天国のヒースレジャー、ジャックニコルソンもさぞ喜んで観賞しているのではないか。
ぬるい設定ながら熱演に称賛
素晴らしいと感じたのは、ホアキン・フェニックスの演技や存在感は言わずもがな。画の取り方、魅せ方が素晴らしい。
多少目に余る設定のぬるさを感じたもののそれをカバーするに足る、総じて良い印象だった。
・いちいち画になる
階段をダイナミックに踊りながら降りていくジョーカー、
マレーの番組出演直前にたばこをふかしつつ闊歩するジョーカー、
大衆の歓声を受けながら血で裂けた口を描くジョーカー、
廊下窓から後光を受けながら踊るラストシーンのジョーカー、
いちいち絵になるし構図がかっこいい。そこにBGMなんて流されたら映画ってやはりいいなあと思わずにはいられない。
・ヒース・レジャーとはまた違った趣
ホアキン・フェニックス本人が真にジョーカーのような生い立ちを背負ってきたのではないかと錯覚させられそうになる程に彼の演技は突き抜けており、演技力だけでなく表情や顔の作りまで説得力のある存在感を放っていた。特に冒頭のシーンとラストシーンで笑い狂う、彼の深い彫の奥に青白く光る瞳に映える一縷のハイライト、観ているこちらまで吸い込まれてしまいそうな、闇に引きずられてしまいそうな恐ろしさを醸し出している。そんな力をもった役者にはなかなかお目にかかれないだろう。
・「笑う」斬新な設定
楽しい嬉しい幸せの表現である筈の「笑う」という行為に対してこんなにも特殊なイメージを持ってしまうことがあっただろうか。もちろんホラー映画で怪物に笑われたら恐ろしいが「恐怖」だけではない。彼の笑いには悲しみ、怒り、やるせなさとった様々な感情が入り交じる。「笑いたくない場面で笑ってしまう」「病気で笑ってしまう」という設定はなかなか斬新だと感じたし今回のジョーカー像にもハマっていてうまいなと思った。
・ぬるい設定2選
1:地下鉄の殺人をきっかけに若者や貧困層の熱気に火がついた、という設定にやや無理を感じる。いくら富裕層を粛清したとはいえ、只の殺人である。それを上回る共感を得られたというのがちょっとよくわからない。
2:マレーの番組で起きた事件を通じてジョーカーが英雄になった流れになっているがあの番組での言動や行動も只の自意識過剰な異常者にしか映らない。デモを起こしている大衆はどこにシンパシーを感じたのであろう?更に言い合いでは堂々たる姿勢で正論を述べるマレーにやや分があるような状況となり、ムキになって喚き散らして挙げ句にカッとなって引き金を引いてしまった(ような)アーサーには共感し難い気持ちになる。
もうちょい我々鑑賞者を巻き込んで同情や憐れみややるせなさを誘うような、そんな現状を浮き彫りにしてしまうような話があのシーンで出ていれば、ジョーカーにもより説得力が増すんじゃないだろうか?
要するに大衆がジョーカーに突き動かされる流れがかなりいい加減な印象だった。
・ジョーカーの信念は感じない
地下鉄にしても番組にしてもアーサーの信念の発露というよりは、彼の内なる葛藤やトラウマ(このトラウマもインパクトちょっと弱いしもっと驚愕の内容にしても良かった)によって(半場)衝動的に起こされたものであり、ダークナイトのジョーカーのような、大衆を陽動するような、何か革命を起こしてやろうとでも言うような、外に向けてのエネルギーの発露みたいなものをほとんど感じない。ジョーカー誕生の物語であるからそこまで描けないであろうことはわかるが、だからこそ大衆を引き入れてカリスマへと押し上がったという流れに無理矢理感を感じた。
まとめるとストーリー単体でみるとややパンチが弱く、強引である。とはいえ、それがあまり気にならなくなる程にホアキン・フェニックスの演技は奇々怪々であり、圧倒的だった。
ホアキン・フェニックスを見る映画=ジョーカーを見る映画
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